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姫勇者アナスタシア冒険譚  作者: 森林木
112/281

姫様の提案

夕食後、アナスタシアは他の三人を自室に集めた。


「気配ねぇ。」

「うん、なんとなくって程度だけど。」

「また、エマを誘拐しようとやってくるって事ですか?」

「それはわからないけど……。」

「ふむ。確かに議長選も終盤で、いつ敵が来てもおかしくはない状況ではありますしな。では、今日から投票日までは今まで以上に警戒いたしますか。」

「うん、それが良いと思うんだ。」

「わかった。いつ何があっても戦えるようにしとくぜ。」

「ああ、私もそうするつもり。」

「わ、わかりました!」


四人は交代で不寝番をたて警戒することにし、今日はアナスタシアがその任についた。しかし、その晩は何事もなく過ぎ去り朝を迎えた。


「ナーシャさん……どうしたの?」


朝食が終わるとエマがプリシアに尋ねた。目の下に隈をつくり朝食の席に現れたアナスタシアを心配しているようだ。


「あ~。実は、昨日から夜は誰かがずっと起きていようって相談して決めたんです。」

「そ、そうなんだ……。」

「大丈夫ですよ。昼間にぐっすり眠りますから。」

「うん。」


エマにもプリシア達の緊張感が伝わったようだ。プリシアはしまったと思い、努めて明るく言う。


「今日は午後から家庭教師の先生がいらっしゃるんですよね!じゃあそれまで私に付き合ってもらえませんか?」

「うん!何するの?」


エマの表情がパァっと明るくなる。


「厨房をお借りしてお菓子でも作ろうかなって思いまして。手伝ってくれますか?」

「うん!」

「ふふふ、ありがとうございます。」


※※※※※


深夜、グレンはラウンジにいた。今晩はグレンが不寝番だ。テーブルにプリシアに渡されたクッキーが籠に入って置いてある。グレンはそれを一つ摘まむと口へ運ぶ。


(結局……敵の全体像が掴めずにここまで来ちまったな。)


エマの誘拐未遂に遭遇して以来この屋敷に滞在してきたが、エマへの襲撃はなかった。


(諦めてくれてりゃありがたいが……。)


ソファに寝転び天井を見つめるグレン。武闘家としては強敵と戦う機会はありがたいが、あんな小さな子を危険に晒すのは論外だ。


(さてと……。)


グレンは反動をつけてソファから立ち上がる。柱時計を見ると1時を回っている。見回りに行くために、手持ちランプを片手に廊下を進み一回へと向かう。


(風が強いな……。)


今夜は風が強く吹いており、窓ガラスがガタガタと揺れている。その時、微かに破壊音がした気がした。


(!?)


気のせいか、あるいは侵入者か。


(夜襲にはもってこいだが……さて、どうする?)


まだ見ぬ敵に向かってグレンが声に出さず問いかける。黙々と廊下を歩き、廊下の突き当たりにある厨房の前にやってきた。両開きの扉を引いて開けると中へと踏み込む。ランプを掲げながら中を見渡す。灯りの届かない奥の方で、吊るされた調理器具がカランっカランと鳴っている。風の吹き込む音もする。グレンは気配を探るようにゆっくり歩く。窓が一つだけ割られていた。グレンは即座に臨戦態勢になった。





御一読頂き誠にありがとうございました。

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