Interlude
ウィルビー家の一室。アラミス、ガトー、リドリーの三人がいた。
「ちっ!まだかよ……。もう昼だぜ。」
リドリーが苛立たしげに呟く。
昨晩、ナッシュがベルナール邸に向かった。任務を遂行しているならもう帰ってきても良い時間だ。
「ガトー、どうするよ?」
「ナッシュは……恐らく失敗した。」
夜が明ける前に帰って来なかったナッシュ。ガトーは早朝にベルナール邸に赴き、外から屋敷の様子を探った。しかし、普段と変わらずロイドは朝から出かけていき、娘も護衛を付けて出かけていった。
(普通過ぎる……。)
ガトーはウィルビー家に戻りリドリーと共にナッシュを待った。
「アイツに限って任務を放棄して逃げるわけねー。帰ってこないって事はそういう事だろうよ。それで、どうするんだ?」
やや、苛立ちながらリドリーが問う。
「ナッシュが殺されたにしろ捕らわれたにしろ、平穏過ぎる。」
「なんだよそれ?」
「生きていようが死体だろうが憲兵に引き渡すはずだ。隠す必要はない。まるで襲撃などなかったような平穏さだ。」
「どういう事だよ……。」
すると、部屋のドアがノックされた。
「なんだ?」
「私です。」
どうやら執事らしい。
「入れ。」
執事がアラミスの前まで来る。
「旦那様に荷物が届いております。」
「私に?誰からだ?」
「それが……不明でして。使用人が言うにはいつの間にか玄関に置かれていたそうです。旦那様宛の手紙と一緒に。」
「なんだと?」
アラミスはガトー達と顔を見合わせる。ガトーがアラミスに向かって頷く。
「わかった。持ってきてくれ。」
「承知いたしました。」
執事が一旦下がる。
「どう思う?」
「わかりません。ただ、警戒は必要かと。」
「そうだな。」
執事が大きめの旅行鞄と手紙を持ってきた。荷物を置いたら執事は退室していった。
アラミスは自分の名前が書いてある封筒から手紙を取り出して読む。
「これはっ……。」
アラミスが目を見開く。
「よろしいですか?」
「ああ。」
手紙をガトーに渡す。手紙にはこう書かれていた。
「親愛なるアラミス=ウィルビー様
貴方のお気持ち、私めにしかと伝わりました。そのお気持ちにお応えしてささやかなプレゼントをさせて頂きます。気に入って頂けると嬉しいのですが。それではごきげんよう。」
文末には不吉なキスマークがつけられていた。
「アラミスさん、下がってください。」
ガトーがアラミスを遠ざけ、リドリーと共に鞄の中を確認する。
「!?」
二人の顔が凍りつく。鞄の中には、凄まじい形相のナッシュの首とバラバラにされた身体が入っていた。
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