姫様、話し合う
エマは話し終えると不安気な顔でプリシアを見た。果たしてこの人は自分の話を信じてくれるだろうか?子供の戯れ言と一蹴されるかもしれないという不安を抱えた顔。プリシアは真っ直ぐエマを見て言った。
「わかりました。私たちに任せて下さい。」
エマの手をギュッと握るプリシア。
「信じてくれるの?」
「はい。勿論。」
エマの瞳が潤む。ずっと一人で抱えてきたのだ。
「私達で何が起こっているのか調べてみます。エマさんはなるべく普段通りにしていて下さい。できますか?」
力強く頷くエマ。
「さっそく皆さんと相談してきますね!エマさん、安心してください!」
プリシアが両手を握りしめ部屋を出ていこうとすると、エマがプリシアの袖を掴んだ。
「ん?どうしましたか?」
「…………エマでいいよ。」
「え?」
「エマでいいよ。友達だもん。」
プリシアの顔がパァっと華やぐ。
「はいっ!じゃあ私もプリシアでかまいませんよ。友達ですから!」
「うん。プリシア……ありがと。」
※※※※※
「なるほどのぅ……。」
プリシアはすぐに三人に声をかけ自室に来て貰いエマから聞いた話をした。
「どう思う、ジイ?」
「うーむ。確かに気になる話ではありますが、これだけでアミークラ殿を元凶と決めつけるには……。」
「それによー、仮にあの女が全部仕組んでたとして、俺らが父親に言ったところで信じねーんじゃねぇか?即クビにされて終わりだ。」
「そう……ですよね……。」
「何か証拠があればね。部屋でも探してみる?」
「それは止めた方がよろしいでしょうな。仮にアミークラ殿が何か良からぬ企みをしていたとしていて、わざわざ自室に証拠など残さんでしょう。それに魔術師の部屋に無闇に入るのは危険です。どんな罠があるかわかりません。」
四人の話し合いは行き詰まる。
「まぁ、今は引き続きあの嬢ちゃんの護衛を続けるしかないんじゃねぇか。あの女が嬢ちゃんに危害を加えるようなら、その時は……。」
「そうだね。少なくともエマを誘拐しようとした敵は確実にいるんだ。まずはそいつらから守らないとな。」
「は、はい……。」
プリシアが下を向く。
「ふむ、プリシアよ。儂もそれとなく探ってみよう。お主はなるべくあの子の側にいてやると良い。」
「私に何か手伝える事はありませんかっ!」
「まずは儂だけで動いてみよう。もし手が必要ならその時は改めて頼むとするかの。お主はなるべく自然に振る舞い気取られぬようにな。」
「はい…わかりました……。」
四人は引き続き外からの敵に警戒しつつ、内側の敵の存在も考えるということで話が纏まった。三人が部屋を出ていくとプリシアはベッドに倒れこんで考えた。
(私にできること……エマの側にいる事、それもあるけど……。)
ガバッと起き上がり机の上に置いてあった魔術書を手に取る。
(側にで守るために、少しでも強くならなきゃ!)
プリシアは椅子に座ると魔術書を続きから読み始めた。
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