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姫勇者アナスタシア冒険譚  作者: 森林木
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Interlude

ウィルビー家の一室。ガトー、ナッシュ、リドリーが向かい合いソファに座っている。 


「報告、娘の側には常に二人付き添っていたうえに人通りがあるうちに帰宅したため任務遂行は不可能と判断。」

「わかった。ご苦労だったな。」

「こりゃかなり警戒されてるな。まあ当たり前だが。」

「どうする?騒ぎになるのを覚悟でやるか?」

「………。」


ナッシュの問いかけにガトーは無言だ。


「アラミスさん、娘から手を退きますか。」


ガトーは立ち上がり、部屋の奥にある仕事用机の前に座っているアラミスに提案する。


「うむ。致し方ない、別の手段を考えよう。」

「直接例の女を消すというのもありますが……。」

「可能であればそれが手っ取り早くはあるが……。」

「屋敷に襲撃をかけることになるんじゃねーの?」


リドリーが座ったままガトーに言う。


「ああ、そうだ。」

「雇われてる見張りや警護の連中は問題ないとして、屋敷内にいる護衛がな~。」

「強さも人数も未知数ということか?」

「そういうことだな。」


ナッシュの問いにリドリーが頷く。


「女さえ消えれば、あとは平和的に解決できる。やれるか?」


アラミスの問いにガトーは即答しない。


「時間がないのは承知していますが、明日一日屋敷を張り込みます。それで襲撃の手段を考えさせてください。」

「いいだろう。君たちに一任する。」

「ありがとうございます。ナッシュ、リドリー明日は三人で動く。なるべく屋敷の情報を集める。」

「了解だ。」

「わかった。」


三人はアラミスに一礼し部屋を出ていった。


※※※※※


翌日、朝から三人はベルナール邸の周囲で張り込み、屋敷の中の様子を探った。ナッシュは屋敷の周辺を散歩を装いながら歩いて廻る。屋敷の主人ロイドは朝から出掛けて行った。選挙戦も終盤になりさぞや忙しいのだろう。日中はこれと言って何もなく時間が過ぎた。今日は娘も外に出る事はなかった。娘を誘拐しなくてもよくなった事にナッシュは心なしかホッとしていた。


(ふっ……馬鹿馬鹿しい。)


自嘲気味に笑うナッシュ。歩いていると屋敷の柵の越しに中庭が見えた。


(あれは!?)


柵の向こうでは、先日娘を誘拐しようとした際に追いかけてきた女が剣を振っていた。改めて明るい場所でみると、まだまだ子供ではないか。


(ってことは、あの男もいるってことか。)


追い付かれたあの男、奴は警戒しなければならない。後程ガトーに報告しなくては。ナッシュが屋敷を見上げると二階の窓に人影が見えた。


(ん?)


なんとなく目を凝らして見た瞬間、ナッシュの背筋に悪寒が走った。


(な、なんだ!?)


一瞬だが人影と目が合った気がした。そして、こちらを見て笑っていた気がするのだ。


(まさかな……。)


拭いきれぬ不安を背にナッシュはその場を去った。

御一読頂き誠にありがとうございました。

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