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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜  作者: 波羅月
第0章  新たな出会い
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第10話『部活動紹介』


「なぁ晴登」


「どうした大地?」



 4月も終盤に差しかかる中、とある日の午後1時。昼休みをただボーッと過ごす俺に大地が声を掛けてきた。正直面倒だから無視しようかと思ったが、さすがにと思い、俺は大地の方を向かないままで返事をした。



「部活動だよ。お前何に入るんだ?」


「部活動……」



 何の用かと思ったらそれか。

 今日は先輩たちによる部活動紹介が5、6時間目にある。そこでの部のアピールを元に、俺らは入る部活動を決めなければならなかった。



「小学校では帰宅部だっただろ? 中学ではさすがに何かやった方が良いんじゃないか?」


「えぇ~」



 大地の言う通り、俺は小学生の頃は帰宅部で活動していた。活動内容は主に無し。自主練というものだ。うん。

 だってやりたいスポーツとか無いし。


 だが部活をやっていないにも拘わらず、運動能力は平均をキープしていた。『普通』という才能が、ここではプラスに生きている。だが正直誇れることではない。



「俺はもちろんサッカー部だ!」


「知ってる」



 まぁそうだろう。

 大地は小学生の頃からサッカー部に所属し、好成績を修めていたそうだ。サッカーが好きで、よく俺も誘われる。

 そのおかげでサッカーの実力も『平均』なんだが。



「何の部活動があるんだ?」



 俺は最もな質問を大地に告げた。選択肢があった方が決めやすいし、何より先に知っておきたい。

 と思っていると、大地が自身のポケットを漁り始めた。



「ちょっと待ってろ。パンフレット持ってるから!」



 パンフレット? 学校のやつか?

 何で今持ってるんだと気になるところだが、それなら都合は良い。パンフレットなら部活動は掲載されているだろうし、絵とか付いていてわかりやすいだろう。



「お、これこれ」



 大地が差し出してきたパンフレットを、俺は受け取り開いた。そして部活動のページを見つけると、そこを注視した。




『日城中学校パンフレット』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

《部活動一覧》

・野球部

・サッカー部

・テニス部

・バスケ部

・バレー部

・水泳部

・陸上部

・水球部

・卓球部

・ラグビー部

・剣道部

・弓道部

・柔道部

・空手部

・相撲部

・射的部

・吹奏楽部

・合唱部

・美術部

・料理部

・演劇部

・コンピュータ部

・科学部

・読書部

・茶道部

・華道部

・写真部

・チアガール部

・ボランティア部

・インドア部

・アウトドア部

・英語部

・魔術部

・帰宅部          裏へ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「待て待て待て!!」


「どうした?」



 俺が大声で驚いたことに、多少引き気味に大地が問うてくる。

 でも理由なんてただ1つだし、それくらいわかってくれるだろう。



「どうしたもこうしたも多すぎるだろ!?」


「他にもあるみたいだが……」



 『裏へ』という言葉が何かしらの恐怖感を煽らせてくる。表だけで知っている部活動は網羅されている気がするのだが、まだあるというのか。


 でも既に表に……!



「魔術部って何だよ!?」


「さぁ」



 いやそんな軽めに答えないで! 俺は結構真剣だから! ガチで気になるから!


 もう裏に書いてあるのは読む気にならないが、唯一表にある『魔術部』だけは気になる!

 てか何で『帰宅部』書いてあんの!? アレって部活に入っていない人の名称でしょ!?



「何なんだこれらは……!」


「それを説明するための部活動紹介が今からあるんだろうが。そろそろ行くぞ。集合の時間だ」


「お、おう……」



 大地に飽きられたような反応をされるが、仕方ないことだろう。ホントに気になるんだから。

 体育館へと足を進め始める大地の後に、俺は続いた。






 体育館にて──



「それでは部活動紹介を開始します。各部活動は整列し、待機をお願いします」



 真面目な司会により、部活動紹介が始まろうとしていた。正直入りたい部活がないんだが、しっかり聞こうと思う。

 紹介は全てステージの上で行うそうだ。



「ではまずは1つ目。王道、野球部です!」






「──はい、ありがとうございました! では次が最後の部活動となります。魔術部です!」



 うぅ……かれこれ100分。映画と同じくらいの時間を体育座りで聞いていたら疲れるな……。

 だがやっと気になる魔術部の謎が解ける!




「皆様、ご機嫌はいかがでしょうか?」




 3年生で部長と思われる男子がステージに出てきた。黒のマントを身に纏い、いかにも『魔術師』といった風体だ。まさか本当に魔術なんてものが存在するのか……?



「今回は我々の活動内容を説明する。準備しろ!」



 眼前の彼は作ったような凛々しい声で指示を出す。

 すると、部員と思われる方々がゾロゾロと出てくる。いや、4人しか居ないな。意外と人が少ない……。



「展開!」


「「はっ!」」



 『展開』? どういう意味だ?

 俺がそう思った瞬間、彼らは人の何倍もの大きさの紙をステージの床に広げ始めた。真っ白な紙の中に何か黒色で模様が描かれている。


 目を凝らしてよく見ると──



「魔法陣……?」



 俺の目にあの模様はそう映った。

 マンガの魔法モノにお馴染みの魔法陣。あれは少なからず、それに似ている気がする。

 もしかして、ホントに魔術を使うのだろうか。それならちょっと興味あるかも。

 ……そんな訳ないか。マジック部とか、その辺の誇張だろう。



「さぁ皆さん、陣の中心にご注目」



 部長らしき彼が部員を率いり、先程の魔法陣をぐるっと囲んだ。まるで何かの儀式が始まるかのような進行である。

 と、不意にステージ……いや体育館全体の照明が落とされた。少々びっくりしながらも、「ということは発光するのか?」などと俺は勝手に予想を立てていたりする。



「では始めますよ。今から5秒数えます。数え終わると変化が起こります。皆さんはその変化を見てどう思うでしょうね?」



 部長らしき人はそう言った。自信に満ち溢れているのが伝わってくる。ちょっとワクワクしてきた。



「5……4……3……2……」



 カウントダウンが始まった。それに合わせて俺の鼓動は早くなっていく。



「1……ゼロ」



ドォォォォン



「なっ!?」


「「「「うわぁぁぁ!!!」」」」



 カウントが0に達した途端、体育館は突如ステージから放たれる黒い煙と衝撃波に席巻された。強風のような勢いにたまらず飛ばされそうになるが、なんとか耐える。

 元々暗かったこともあってか、周りの様子が一切確認できない。原因は間違いなく魔術部。原理は……不明。



「──皆さん、落ち着いてください」



 断末魔がいまだに響く中、司会の声が聞こえたと同時に目の前が明るく開けてきた。

 どうやら窓を開け換気して煙を外に出し、更には照明をつけたようだ。

 でも、この状況で落ち着くのは無理がないか?


 けど良かった、と思い前を見直した俺に目を疑うような光景が映った。



「……は?」



 俺が呟いたと同時に部長らしき人が話し始めた。



「ふふふ。皆さん、何が起こったのかわかりましたか?」



 嘘だろ? 何で……?

 状況だけは理解できる。だが、原理が非現実的すぎる……。



「少し貸してもらったよ」



 途端、部長らしき人が不思議な発言をする。

 だが皆は意味がわかるはずだ。もちろん俺も。だってこの言葉は"俺に向けられている"のだから。


 この場に居る誰もが声を発さず、ただ呆然とステージを注視する。



 ステージの魔法陣の中心に現れたものは──俺だった。



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