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帰り道

 木村くんと帰るのは、昨日も一緒に帰ったので不自然過ぎて無理。と思っていたが、意外にもその予想は覆された。

「今日も一緒に帰ろうよ」

 そう言った中山くんに優子が連れて行かれてしまった。

「…帰るか」

 中山くんに取り残された木村くんが私に言った。


「いやー、中山って意外と積極的だよな」

「それって優子に対して?」

 自転車を漕ぎながらの木村くんの言葉に私も自転車を漕ぎながら聞き返す。木村くんは頷いた。

「なんていうか、応援したくなる」

 首に付け替えたペンダントのガラスの色を見ると黄緑。これは木村くんが中山くんに対して信頼を抱いてるということだ。明るい黄緑にも暗い黄緑とも言えるその中間くらいの色だったから、敬愛の気持ちも木村くんは中山くんに対して抱いているのかもしれない。それにしても木村くんが優子のことを好きなのであれば、ペンダントでいうと青の哀愁の気持ちでも抱いてるのかと思ったから、変だなと思う。勇気を出して聞いてみた。

「木村くんは優子のことが好きなんではないの?」

「は、なんで?」

「……優子が木村くんが知らない人が好きだって言ったとき、微妙な表情していたような気がしていて」

「マジ?俺そんな顔に出てた?」

「うん」

 嘘です。その時木村くんは表面上普通に話してました。ペンダントの色が変わったから、わかったんです…と思いながらも私は頷く。罪悪感と同時にやっぱり木村くんは優子のことが気になるのかなと不安がよぎる。

「あーあれは杉崎の好きな相手が中山じゃなさそうだったからだよ」

 杉崎というのは優子の名字だ。ペンダントの色は変わらず黄緑。嘘をついてるわけではないらしい。

「何だ、そう言うこと」

「あ、でも梅田は微妙か。杉崎の好きな人って俺らの知らない人なんだろ?中山は横恋慕してるわけだし」

「ううん、それは多分、優子が木村くん伝いに中山くんに伝わることが心配だったんだと思う。だから、優子の好きな人って…」

 私が意味深な表情をすると前で自転車を漕ぎながら、こちらをちらりと見る木村くん。

「なるほど。でもそれって俺に言って言いのか?」

「…本当はだめかもね。けど、木村くんは中山くんに勝手に伝えりしないだろうし、優子と中山くんがうまく行くように協力してくれるでしょ?」

「まあな。お節介なんだろうけど、俺らに出来ることってねぇかな」

「4人で一緒に出かけるなんてどう?」

「なるほど!それで俺らが途中で行方をくらまして、中山たちにデートをさせるんだな!?」

「え!?そ、そう!うん、そう、そうだよ!」

 動揺しながら、私も答える。4人で遊びに行くと言う提案をしただけだったのに少なくとも木村くんと一緒に帰ることができそうだ。

 また、ペンダントをちらりと見る。ガラスの色は明るいオレンジ。これは木村くんがこの計画に期待をしてくれているということだ。その中に1%でも私と遊びに行くのが楽しみだなんて気持ちがあればいいのになぁなんて思った。

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