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覗いてみた君の気持ち

「…で?そのペンダント買っちゃったわけ?」

「うん…」

 次の日の朝、教室で私は優子にカバンにつけたペンダントを見せた。 

「で、これが説明書?中々洒落てんね。でもこんな怪しげなものにお金払っちゃったんだ…」

 優子が私に渡されたペンダントの説明書をパラバラとめくる。説明書はモノクロの直径5センチほどの小さなノートである。

「えーっと…これであなたの想い人の気持ちがわかります…。…暗めの黄色が恍惚、明るめの黄色が喜び、薄めの黄色が平穏…。そんで、暗めの黄緑が敬愛、明るめの黄緑が信頼、薄い黄緑が容認…。他にも結構細かい感情と色まで設定されてんだね…。それにしてもうさんくさっ!真ん中についてるガラス玉思いっきり透明で色が変わる気配もないじゃん」

 そう言った優子に声をかける人物がいた。

「なんの話してるんだ?」

「木村くん…」

 いつもの木村くんの笑顔に私はついつい見惚れてしまう。 優子が答える。

「なんでもないよ。この子が買ったていうペンダントの話してただけ。それにしても木村くん、昨日も思ったけど派手な茶髪だね」

「ふーん、カラフルなペンダントだな」

 木村くんが言ったように花を模したペンダントはカラフルでそれぞれの花弁は黄色、黄緑、緑、水色、青、紫、赤、オレンジの色がついてる。

「でもさっき透明だとかなんとか言ってたけど、そのガラス、オレンジ色になってね?」

「え!?」

 私が見てみると確かにペンダントの真ん中についたガラスが淡いオレンジ色になっていた。

「な、なんで?」

 私は呆然と呟く。

「それって光とか角度で色が変わるみたいなやつ?」

「そうなのかな…そうなのかも」

 木村くんの言葉に私は曖昧に頷いた。

 木村くんが去っていくとペンダントのガラスはもとの透明な色に戻った。

「どういうこと!?まさか、これ本物なんじゃ…」

 優子が私に小声で聞いてくる。

「そ、そんなまさか…」

 でも、慌てて私は説明書を読んだ。

「この説明書によると、暗いオレンジ色は警戒、明るいオレンジ色が期待、淡いオレンジ色が関心…」

「じゃあ何?木村くんがこのペンダントに関心を持っていたからさっき薄いオレンジ色になったってわけ…?」

「そうかも…。それで木村くんがこの場にいなくなったから、もしくはこのペンダントに興味を失ったから、透明に戻った…とか」

 言いながらも私は半信半疑である。

 でも、このペンダントで木村くんの気持ちが分かるなら…嬉しいと思ってしまうのは浅はかだろうか?



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