遊園地の名は
私の名前は皆川愛佳。高校生をしている。
「ねぇ、話聞いてる?」
この子は私の親友、如月萌。オカルト大好きな女の子だ。
そんな私たちには自慢ではないが彼氏がいる。
「あ、ごめん。なんだっけ」
「あー、あれだろ?遊園地だろ?」
こいつは萌の彼氏千尋。陽気に振る舞いムードメーカーなため、みんなから好かれている。
「そうなの。私遊園地行きたくてさぁ!」
「いってらっしゃい」
私は惚気ているのかと2人を後にしようとすると萌が私の手を掴んできた。
「愛佳もいくの!彼氏と」
「は?」
なにを言っているんだ。そもそも私の彼氏はそんなワイワイしてるところには…
「許可ならとってあるぜ。ちゃんと俺から聞いたからな。ダブルデートだ」
あの人の心境になにがあるのかわからなかったが、許可も取ったということで強制的に行くことになりました。
当日
私の彼氏は無言のことが多いがこちらから話せばちゃんと話してくれる。ただ付き合っているとはいえ、キスすらした事はない。でもなんだかんだで分かっているような気はしていた。一緒にいてくれるだけでとても安心すると。それに率直に思った事は言ってくれる。
「お待たせ〜」
2人で待っていると萌と千尋が来た。
「じゃあ行くか!」
2人は本当にはしゃぎすぎだ。それに私達なんか見えてないように思える。
遊園地にはいる。いろいろな乗り物がある。ゴーカート、ジェットコースター、ブランコ、船。お化け屋敷や映画館まで揃っている。
一つずつ私達は楽しんでいく。
「遊園地、楽しいね」
「…ああ。」
彼氏は私の頭を撫でた。それがどれだけ私をドキドキさせているか彼は知らない。
お昼のバラードはとても魅力的だった。噴水が飛び散ったりはしたが、最悪彼氏が守ってくれた。終わった後にタオルを借りてみんな体を拭いている。
バラードも終わり、みんなでアイスを食べることになった。萌がいきなり流行ってるからとか言い出して一つのソフトクリームを2人で食べることになった。それも彼氏と。
その後は、何事もなかったかのように遊園地を楽しむ。
アナウンス「え〜皆様、遊園地は7時までとなっております。それから3時間ほど入り口は空いておりますが、お早めにお帰りいただけますよう心よりお願い申し上げます。」
それを聞いたのは5時くらいのことだ。みんなそんな放送を忘れて遊んでいる。私達はまだ知らなかった。このアナウンスがとても丁寧なことを。
7時になった。みんな帰り始めている。
「私たちも帰ろ」
「え〜!観覧車乗ってから!ねっ?いいでしょ?」
萌の言葉に弱くて萌のゆう通りにしたが、観覧車はゆっくり上へと上がっていく。これはかなり時間が経っているのではないかと思う。下降りるのでちょうど1時間。観覧車からの景色は綺麗だった。あたりも暗くなってすっかり夜景だった。観覧車を降りた後、私は帰ろうとした。でもあたりをみると人は全くいない。みんな帰ったのかと思いながら出口の方を目指す。
すると草むらからガサガサガサと音がする。後ろを振り返ると、そこには大量のゾンビ達がいた。
「逃げろっ」
千尋は萌を抱えて逃げる。私たちも逃げるが私はその2人についていくのがやっとで転んでしまった。
「あいたっ…」
続々とゾンビ達が迫ってきている中、私は少し動けずにいた。彼氏は私に話しかけてきてくれている。やっと動けるようになったと思ったらその時はもう5、6歩で届く位置になっていた。
「にげろ…お前だけは」
「え、どうしてそんなこと言うの?」
私は立ち上がったがもうゾンビ達が彼氏を囲んでいる。
「早く!」
「いやだよ!こんなの…どうして…!」
嫌なのとは裏腹にこちらにもゾンビ達がたまってくる。彼氏はそれをどかす。
「俺の理性があるうちに早くにげろ…」
私は泣きながら走った。怪我したところが痛いながらも走った。出口に向かって精一杯。
出口を出たところに2人がいた。
「ど、どうしたの?そんなに泣いて」
「おい、あいつは?」
「…私のせいだ。私が転んだから…」
2人は察したように私を慰めてくれた。
次の日から私は抜け殻のようになっていたのかもしれない。でも2人がいてくれたからなんとか生きて来れた。高校の卒業式。それはもうなにも楽しくない卒業式。でも私は決めていた。高校卒業したら、1人でまたあの遊園地にいく事を決めた。どうしてあんなにアナウンスが丁寧だったのかはきっとああなる事を考慮した上でのこと。だからいまだにあの遊園地は続いている。
私は6時頃に遊園地にはいる。本当はとても怖かった。でも彼氏がいると思ったらどうしても動かずにはいられなかったんだ。
私は遊園地のアトラクションはなにも乗らず1人でそこらへんを歩いていた。そういえばここで撫でて貰ったっけ…。1人で思い出に浸っているとガサガサという音がした。あの時と同じだ。でもあの時とは少し早い時間帯だった。それに周りを見てもたっくさんゾンビはいなく、むしろここはこいつだけのようだった。でも私は一目見たときそれが彼氏だと気付いた。
「道!(みち)」
私は気がついたら彼氏の名を呼んでいて両手を私の両手で掴み唇にキスをした。そしたら遊園地全体に大きな風が吹いたが、私たちのキスは終わらなかった。そして目を開けたとき、そこにはちゃんとあの時の道の姿があった。周りはなぜか静かで、ゾンビなんかはいなかった。
「みち…!」
私は泣いた。そして、今までの事、卒業式も終わったことを話した。
「そうか…俺がこんな事になっている間に時は立っていたんだな…」
少し残念そうに言う道は私を責めたりはして来ない。私が転んだせいで道は…
「そんな悲しい顔するなよ。な?」
優しい声。優しい顔。道は優しさに溢れ、私の頭を撫でた。あのときと一緒だ。
私達は無事に遊園地を出た。看板を見るとこう書かれている。ルールはお守りください。ここはテルミーランドです。テルミーは教えてくださいという意味だ。特に意味はないのかもしれないが。
私はずっと道にしがみついている。
「お前から、キスしてくれるなんてな。」
「…ばかっ!私ずっとあのときのこと…っ!」
「わかってるって。ありがとな。」
私はこの遊園地のことを忘れないだろう。
そしてこの出来事も。そしてずっと道と一緒にいることを誓った。
ここはテルミーランド。あなた達の関係性を調べさせてもらいます。相手がゾンビになってしまったとき、あなたは助けますか?それともこの主人公のように改めてきて助けますか?それとも逃げますか?友情と愛情、どんな気持ちが含まれていても貴方の気持ちなどを本当かどうか知るために指定の時間以上残った方々には本物のゾンビと出くわして頂きます。
貴方なら一緒に逃げますか?
1人で逃げますか?
助けますか?
是非、またのご来店をお待ちしております。