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推理

成長する目ヤニ

作者: 山目 広介

 最近になってようやく猫が懐で寝てくれるようになった。

 去年は一か月早かったのに。思い当たる節はあるけど。

 オス猫がいなくなったから部屋のあちこちで寝れるからね。

 寝る子は育つ、冬毛になっただけだった。

 寝る子は育つ、目ヤニがね。


 はぁ~、ぬくぬく。

 しかし、しかし。一緒に寝るのはいいんだけど、変な時間に起こすのはダメ!

 なぜ起き抜けは顔を洗わないのに、私を起こすときは私の胸の上で洗顔をするの?

 やめてぇ~。その大きく育った目ヤニをどうするのッ!?


 そして私の布団の周りにまた猫が起こしに来た証が積み重なる。




 事件が起きたのに気付いたのは洗顔時だ。

 頬にピリリと痺れる感覚で鏡を見て気付いたものだ。

 薄っすらと赤いお髭が数本描かれていた。

 ミミズ腫れだ。

 私は犯人確保のため犯行現場に向かう。犯人は現場に戻るともいうからな。

 昨日の風呂では私の頬は何ともなっていなかったため、これは深夜私の睡眠時に行われたことだろう。

 つまり私の寝室が犯行場所だということだ。


 そこには容疑者が寝ていた。

 容疑者の名はケイ。兄弟とともにピンクレディーから名付けられた。兄弟のミーはオスだが。

 最大の理由はテレビで同じ番組に出演していた黒人歌手ジェロから容姿が似ているからという理由で名付けられた兄弟がいたからだ。 (※1)


 そう、事件が発覚したのに暢気に寝ていたのだ、この犯人は!

 いやいや、まだ犯人と断定するのは良くない。

 ちゃんと推理を繰り広げなければ()探偵とは言えない。

 私の物音に漸く目が覚めたのか、容疑者が寝ぼけ眼でこちらを見る。

 私は布団の上に真新しい黒い物体を発見しティッシュで包んで、証拠として押収。

 そして容疑者の顔には起き抜けなのにいつもはついてる目ヤニがついていないことを確認した。

 私の頬の傷の間隔は凶器の間隔と一致していることはもう調べが付いている。その凶器は容疑者の手にあるものだ。

 以上の事から推測するに犯人はこの容疑者しかいないッ!

 つまり「犯人はおまえだ!」と決め台詞を使い時。

 使っても気にせず、両手を伸ばして伸びをしている犯人。

 つぶらな瞳でこちらを見上げてくる。


 そして確保して取り調べと言う朝食をしにキッチンへと向かうのだった。

 朝食はカツ丼じゃないけど。




 翌日。

 この事件の探偵ごっこの犯人がまた新たに赤いミミズばれを私の頬に付けられるのは別のお話。


 犯人と言ってますが犯猫ですね。



※1:「あるモデルの苦悩」という掌編小説の主人公。




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― 新着の感想 ―
[一言] もうね、贅沢ですよ。 ネコと寝られるだけで・・・。
2018/11/02 20:13 退会済み
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