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狂気の赤ずきんちゃん  作者: 鳥見風夫
狂気の始まりと終わり
3/4

第2話(残酷描写あり)

残酷描写ありです。苦手な人は気を付けてください

 赤ずきんちゃんは、物足りなさの原因を必死に考えました。もちろん、考えながらも狼は殺しましたが、一度物足りなさを感じてしまった以上、赤ずきんちゃんは満足することはありません。

 「あぁ、どうしましょう? どうすればもっと気持ちよく、狼を殺せるのでしょう?」

 赤ずきんちゃんは悩みます。何度も何度も考えました。そして、ある日気付きました。

 「復讐、でしょうか?」

 赤ずきんちゃんはおばあさんを狼に殺され、その直後におばあさんを食べた狼をぐちゃぐちゃに潰して復讐したのです。

 今まで行ってきたのは、ただ狼を殺すだけの虐殺です。それに気付いた瞬間、赤ずきんちゃんにまるで雷に打たれたような衝撃が走りました。

 「そうよ、復讐、復讐、復讐なら! もっともっと、楽しめるんじゃないでしょうか!」




 赤ずきんちゃんは早速実行することにしました。といっても、復讐するにはまず、誰かを狼に殺させないといけません。

 試しに近くの人を狼の群れに放り投げ、その狼たちを惨殺してみましたが、最初の時のような恍惚感は味わえません。そこで、赤ずきんちゃんは思いつきました。

 「もっと近い人を殺されてみたらどうでしょう!」

 赤ずきんちゃんは早速、家に帰ってお母さんを連れて行くことにしました。

 「ねぇねぇ、お母さん。とっても素敵なお花畑を見つけたの。一緒に来ないかしら?」

 お母さんはあっさりと付いてきてくれました。赤ずきんちゃんは正直に、お母さんを花畑に案内します。そこは最初、赤ずきんちゃんが狼に騙されて寄り道した花畑でした。

 お母さんは無邪気に喜んでくれました。それを見て、赤ずきんちゃんは昏い笑みを浮かべます。

 その背後にはじっとりと鋭い視線を向ける狼たち。赤ずきんちゃんは気付いていましたが、お母さんは全く気付く様子もありません。

 赤ずきんちゃんは手に持ったバスケットの中に入っている、ぶどう酒の瓶を強く握りしめます。すると一斉に、お母さんに向かって狼たちが飛び掛かりました。

 お母さんは為す術もなく、狼たちに食いちぎられました。後に残ったのは、引きちぎられ、噛み千切られ、食い漁られたお母さんの遺体でした。

 それを見ると、赤ずきんちゃんは迷うことなく、狼たちの群れに突進しました。

 お母さんが死んで、悲しい気持ちはあります。寂しい気持ちだってあります。しかし、あの狼たちを殺したときの期待の方が、ずっとずっと大きかったのです。

 狼たちはあっさりとみんな死んでしまいました。しかし、赤ずきんちゃんはとっても楽しかったのです。それこそ、血にまみれ、脳みそにまみれ、赤ワインにまみれても、とってもとっても楽しかったのです。

 「やっぱり、やっぱり、やっぱりやっぱりやっぱり、復讐ってとっても楽しい」

 赤ずきんちゃんは口元に付いた血を、ぺろりと舌で掬いました。誰の血か分かりませんでしたが、それはとっても美味しかったようです。


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