第1話(残酷描写あり)
残酷描写ありです。苦手な人は気を付けてください
それから数年が経ち、赤ずきんちゃんは立派な猟師になりました。
真っ赤なずきんと、狼の毛皮で作られたマフラーが特徴的な、可愛らしい猟師です。
「猟師さん、猟師さん。今日はまた狼を狩りに行ってきてもいいですか?」
「またかい、赤ずきんちゃん。赤ずきんちゃんはいつも狼しか狩ってこないね」
「えぇ、もちろんです。だって、狼を殺しているときが、一番楽しいんですもの」
赤ずきんちゃんはうっとりとした表情で言います。それを見て、猟師さんはやれやれとばかりに溜息を吐きました。
「行ってらっしゃい。ケガはしないようにね」
「はい、もちろんですわ」
赤ずきんちゃんは走って森の中まで行きました。そこなら狼が見つかります。赤ずきんちゃんはいつもの様に、バスケットを持ってスキップします。
バスケットの中に入っているのは、ぶどう酒が入った瓶です。赤ずきんちゃんはあの日以来、これしか使ってきませんでした。
「どこにいるのかしら?」
赤ずきんちゃんは堂々と身をさらし、森の中を見渡しました。いつもと変わらない森の風景。しかし、その中にはいくつもの狼の目があることを、赤ずきんちゃんは分かっています。
「早く来てくれないかなぁ」
小さな声で赤ずきんちゃんは呟きます。その声には、隠しきれない興奮の色が滲んでいました。
すると間もなく、赤ずきんちゃんの視界の端に、黒い影が映りました。赤ずきんちゃんはすかさず、ぶどう酒の瓶を振りぬきます。
「ギャンっ‼」
「あらあら、可愛らしいお声ですね!」
容赦なく、赤ずきんちゃんは狼の顔面を殴打していきます。目を潰し、鼻を折り、頭蓋を砕いてもなお、殴ることを辞めません。赤ずきんちゃんの口元には笑みが浮かび、自然と声が漏れ出てしまいます。
「アハ、アハハ、アハハハ、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ・・・・・・‼」
もちろん、周囲の警戒も怠ったりはしませんが、赤ずきんちゃんは目の前の狼に夢中です。しばらく経つと、狼の顔面は原型が分からなくなるほどに崩壊し、あたりには狼の目玉や脳漿や血液など、様々なものが飛び散っています。
それらは赤ずきんちゃんの服やずきんにまでも及び、ビロードで出来たずきんは既に本来の赤を失い、どす黒く濁った赤に染まっています。
「あぁ、今日も楽しかったです。だけど、」
どこか物足りませんわね、赤ずきんちゃんは確かにそう言いました