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狂気の赤ずきんちゃん  作者: 鳥見風夫
狂気の始まりと終わり
2/4

第1話(残酷描写あり)

残酷描写ありです。苦手な人は気を付けてください

 それから数年が経ち、赤ずきんちゃんは立派な猟師になりました。

 真っ赤なずきんと、狼の毛皮で作られたマフラーが特徴的な、可愛らしい猟師です。

 「猟師さん、猟師さん。今日はまた狼を狩りに行ってきてもいいですか?」

 「またかい、赤ずきんちゃん。赤ずきんちゃんはいつも狼しか狩ってこないね」

 「えぇ、もちろんです。だって、狼を殺しているときが、一番楽しいんですもの」

 赤ずきんちゃんはうっとりとした表情で言います。それを見て、猟師さんはやれやれとばかりに溜息を吐きました。

 「行ってらっしゃい。ケガはしないようにね」

 「はい、もちろんですわ」

 赤ずきんちゃんは走って森の中まで行きました。そこなら狼が見つかります。赤ずきんちゃんはいつもの様に、バスケットを持ってスキップします。

 バスケットの中に入っているのは、ぶどう酒が入った瓶です。赤ずきんちゃんはあの日以来、これしか使ってきませんでした。

 「どこにいるのかしら?」

 赤ずきんちゃんは堂々と身をさらし、森の中を見渡しました。いつもと変わらない森の風景。しかし、その中にはいくつもの狼の目があることを、赤ずきんちゃんは分かっています。

 「早く来てくれないかなぁ」

 小さな声で赤ずきんちゃんは呟きます。その声には、隠しきれない興奮の色が滲んでいました。

 すると間もなく、赤ずきんちゃんの視界の端に、黒い影が映りました。赤ずきんちゃんはすかさず、ぶどう酒の瓶を振りぬきます。

 「ギャンっ‼」

 「あらあら、可愛らしいお声ですね!」

 容赦なく、赤ずきんちゃんは狼の顔面を殴打していきます。目を潰し、鼻を折り、頭蓋を砕いてもなお、殴ることを辞めません。赤ずきんちゃんの口元には笑みが浮かび、自然と声が漏れ出てしまいます。

 「アハ、アハハ、アハハハ、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ・・・・・・‼」

 もちろん、周囲の警戒も怠ったりはしませんが、赤ずきんちゃんは目の前の狼に夢中です。しばらく経つと、狼の顔面は原型が分からなくなるほどに崩壊し、あたりには狼の目玉や脳漿や血液など、様々なものが飛び散っています。

 それらは赤ずきんちゃんの服やずきんにまでも及び、ビロードで出来たずきんは既に本来の赤を失い、どす黒く濁った赤に染まっています。

「あぁ、今日も楽しかったです。だけど、」

どこか物足りませんわね、赤ずきんちゃんは確かにそう言いました


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