プロローグ(残酷描写あり)
残酷描写ありです。苦手な人は気を付けてください
昔々、あるところに赤ずきんちゃんがいました。
赤ずきんちゃんはおばあさんのところに、ぶどう酒とケーキを届けに行くはずでした。
しかし、赤ずきんちゃんは途中、悪い狼に騙され、おばあさんに花束を上げるために、花畑へと寄り道してしまいます。
その隙に、おばあさんは狼に食べられてしまいました。そんなことも知らない、無知な赤ずきんちゃんは、悪い狼によっておばあさんと同じように食べられてしまうはず──でした。
狼に襲われそうになった赤ずきんちゃんは咄嗟に、手に持っている物を振り回しました。それはガシャンと耳障りな音を立てて、派手に砕け散りました。
赤ずきんちゃんが握っていたのは、ぶどう酒が入った瓶です。硬い瓶で殴られた狼は、白目をむいて気絶してしまいましたが、赤ずきんちゃんは無我夢中で手に持ったソレを、振り回し続けました。
手の中の瓶が粉々になり、手のひらから血が流れ落ちようとも構わずに、赤ずきんちゃんは狼のことを殴り続けました。
「赤ずきんちゃん、赤ずきんちゃん!」
気が付くと、目の前にあったのは猟師さんの顔でした。ずっと殴っていたのでしょう、狼の顔は既に原型をとどめないほどにぐちゃぐちゃに成り果てていました。
「大丈夫かい、赤ずきんちゃん?」
猟師さんが何かを言っています。しかし、赤ずきんちゃんの耳には入りません。赤ずきんちゃんは滴り落ちる自分の血を、飛び散った狼の脳みそを、周囲を汚すぶどう酒を、ただ呆然と見つめていました。
「……綺麗、だなぁ」
その一言は、自然と赤ずきんちゃんの口から出てきました。もちろん、おばあさんを食べてしまった狼のことは憎いです。おばあさんが死んでしまって悲しいです。しかし、そんな気持ち以上に、その光景は赤ずきんちゃんにとって美しかったのです。
その言葉を聞いて、猟師さんは恐れました、慄きました、身震いしました。しかし、そんな猟師さんの反応なんて気にせずに、赤ずきんちゃんは猟師さんをしっかりと見つめて、満面の笑みを浮かべながら言います。
「ねぇ、猟師さん。動物の殺し方を教えてくださいな?」




