"僕"の懺悔
昔から親しまれる童話に、赤ずきんがありますよね。
怖い狼に騙されて、赤ずきんが食べられてしまう話。
これは、僕と魔物とあの子のお話…
あの日、僕は森に迷い込んだ。
親と喧嘩して、かっとなって自分から森に逃げ込んだ。
その時はまだ何も知らない子どもで、こんなことになるだなんて思っていなかったんだ。
喧嘩の理由は、僕が森に入ろうとしたことを親に咎められたこと。
森は僕にとって入ったことのない道の領域で、どうしても入ってみたかった。
冒険したかったんだ。
それなのに、親はそれを許してはくれなかった。
二人はこう言っていた。
『あそこには魔物がいる。だから、誰も入ってはいけないんだよ』
そんなものはいない、僕はそう反論した。
そして、父さんが言うことを聞かない僕を殴った。
だから僕は森に逃げ込んだんだ。
森に入りさえすれば、どうにでもなると思ってた。自由になれると思ってた。
今ならわかるよ、二人がどうして僕を止めたのかって。
どれ程僕を心配してくれていて、愛してくれていたのかって。
あぁ、ごめんなさい。ごめんなさい。
これからは言うことを聞くよ。約束する。
いい子にするし、お手伝いも勉強もしっかりやるから。
だから助けて、ここからだして。
あれが来るよ、魔物が来る。
あのとき、あの子の言うことを信じればよかったのかな?
あの子は僕を助けようとしてくれてたんだ。
なのに僕は、あいつを信じた。
信じてしまったんだよ…
僕がバカだったんだ。
ほんと、頭の悪いただの間抜けな子どもだ。
謝るよ、ごめんなさい。
今度こそ信じるから、嘘つき呼ばわりなんてしないから。
だから助けてよ、お願い。お願い。
誰カ、僕ヲ助ケテ