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無限の書  作者: まる
8/19

東の果てへ

【東の果てへ】


ザトゥルン公爵が国王に謁見を願い出る。


「国王陛下にお願いの儀があってまいりました」

「どの様な事か? ザトゥルン公」


孫娘の不始末があったとはいえ、国王は公爵に冷静に対応を心がける。


「大公領の特産、名産を求める声が日々高まっております」

「そもそも流通量は少なかったはずではないか?」

「蟄居されて流通が止まり、口にする事は出来ておりません」

「そうなのか? 余の所には変わらず届けられておるぞ?」

「それは大公の監視する方々を通じて、モント公爵が献上しているためです」

「そうであったかのぉ・・」


国王は惚けながらも、ザトゥルン公爵にチクリチクリと言ってくる。


「そのため貴族を代表して、大公領を解放していただきたくお願いに参りました」


その言葉に、国王が冷たい言葉を威圧と共にかけてくる。


「この事を招いたのは、誰のせいであったか?」


公爵も、傍に居た宰相も流石に冷や汗を流す。


「それは、大公の未熟さ故かと・・」


更に国王の威圧が増す。


「本気で言っておるのか? 余が何も知らぬと?」

「国王陛下が何をご存じかは分かりませんが、大公自ら自分が至らぬ故とお認めになっております」

「その通りじゃ! 大公は己が罪を認めた訳では無く、不甲斐なさを認めておるだけであろうが。

同じ孫とは言え、どこぞの令嬢とは大違いよのぉ!」


流石にヴェーヌスの謁見の間での態度は、貴族の娘として有るまじき物だ。


「国王陛下自らも、謁見の間で皆の前で沙汰を下されております・・」

「ならば大公領の解放は無い!」


娘の事を言われて顔を歪め言い募るが、はっきりと否定の事が出てくる。


そこで宰相が思わず口を挟んでくる。


「国王陛下、よろしいでしょうか?」

「何じゃ、宰相?」

「大公領からの軍へのポーションの提供も止まっております」

「それがどうした? 大公の善意に甘えておっただけであろうが」


本来であれば、大公領の提供を考慮せず予算を組むべきであったし、余った予算は予備としてプールすべきであったはず。


「経済的な問題も少なからずございます」

「大公領一つで、我が東国が左右されると申すのか?」

「い、いえ・・」


大公領が経済に与える影響は大きいとはいえ、一国を揺るがす物ではない。


「そなたたちは一体何を考えておるのだ?」

「大公エールデ様の事にございます」

「エールデの? どう言う事じゃ?」


宰相の言葉にいぶかしみ、話の続きを促す。


「一部にはエールデ様に非無しとお考えになる方もいらっしゃるでしょう。

しかし国王陛下がお決めになった事に異を唱える者はおりません」

「余の間違いであったとせよと?」

「いいえ、滅相もございません!」

「では、どうせよと言うのだ?」

「ここでエールデ様に、一旦大公領から離れていただき、時期を見て戻っていただいては如何でしょうか?」

「・・・ん? 領を? 何ゆえじゃ?」


宰相の言葉の真意を探るかのように、国王は視線を注ぎ続ける。


「国王陛下、私めも申し上げたかったのはそこです。

我が娘の仕出かした事もありますが、国王陛下自らも認められているのも確かです」

「自領から離れる事が、どうして大公のためだと言えるのか?」

「公式に罪を償って戻ってきたとするのです。

本来は留学などが良いのですが、隣国との関係を考えると些か・・」


表面上は和平を保っているが、国境では常に小競り合いが続いている。


「そこで少しの時間、他の領地へ移っていただければと考えております」

「その間は、誰かに大公領を預けられては如何かと」

「ふむ・・」


国王は二人の言葉に思い巡らす。


確かに醜聞を揉み消すために、地方の閑職に飛ばす事は良く行われている事だ。


先の件はエールデの冤罪と知りつつ、ザトゥルン公爵と宰相を懲らしめるために、蟄居と言う沙汰を出してしまっている。

結果としてザトゥルン公爵と宰相は泣きついてきた訳だが。


ただこれを覆させるほどの働きは、蟄居中の大公自身が行うのは非常に難しい。


「どの程度で戻す?」

「如何でしょうか? 新し婚約者を選定し、お子がお生まれになった時、国王陛下へのご挨拶と共に大公領に戻ると言うのは?」

「少々長い時間の様な気がするが・・」

「お子が居れば、過去のいざこざに何か口を挟む者はおりません」


しかしこの二人には、何のデメリットも無いのが気に食わない。

・・が、冷却期間と考え、ひ孫の顔を見せにくるタイミングなら、誰からも文句を言わせずに戻す事ができるだろう。


二人の仕置きの後は、エールデの事を考えてやらなければならないのは確かだ。


「移封させるエールデには、一切苦労をかけさせてはならぬ。

必要な物は大公領からの収益とザトゥルン公爵が負担せよ、良いな?」

「仰せのままに」

「畏まりました」


いずれ戻させると言う2人の真意にたどり着けず、エールデの蟄居を解くならばと。


「何時、出立させる?」

「名目は領地開拓として、既に新たな領地は選定してございます」

「妻たる者の選定は?」

「婚約者に関しましては、念入りな審査をさせていただければと考えております」


国王は目を瞑り天を仰ぎ、しばし考えると一言発する。


「良きに計らえ・・」

「「お任せを」」






数日後、エールデは国王より呼び出しを受ける。


国王は家臣一同、貴族たちの前で決定を伝える。


「大公、そなたを新し領地に所替を命じる」


国王の新たな決定に、ざわめく貴族たち。


一部の者たちは、更に罰が加えられたと考える。

一部の者たちは、大公に非はないのにと考える。


「移封の件、謹んでお受けいたします」


大公家は、血を守るための一族。先祖代々の土地を守るための者ではない。

国王の決定に全く異を唱える事無く受け入れるエールデ。


「ただ一つだけお聞きしてもよろしいでしょうか?」

「構わぬ、申せ」

「先祖代々が民を愛し、大地を愛し、今の大公領がございます」

「尤もだな」

「後を任せる者が誰であるか、お聞かせいただきたい」


そこでヴェーヌスの父であるザトゥルン公爵が口を出してくる。


「我が信を置ける者たちを送るから、安心されよ」

「つまり全責任はザトゥルン公が取られると言う事ですか?」

「少しは口を慎まれよ、大公」


宰相が口を出してくるが、ザトゥルン公爵が止める。


「そう言う認識で良い、大公」

「よろしくお願いいたします」


大公、宰相、公爵が話を済ませると、国王が纏める。


「後ほど妻となるべき良き人物を、余が責任を持って送ろう。

ザトゥルン公がより美しくした大公領を、子に渡してやるが良い」


貴族たちは国王の真意に気付きザワつく。


大公の所替えは一時的な物で、子をなせば戻ってくる。

先般の醜聞を消すための、一時的な措置であると。






エールデは領地に戻ると、家臣たちに国王の決定を伝える。


「この度国王陛下より、移封を命じられた」

「エーデル様・・」


侍従長以下家臣たちは、グッと堪えている。

主人が何も言わない以上、自分たちが騒ぎたてる訳にはいかない。


「近々、ザトゥルン公爵が選ばれた者たちの使者が来るだろう。

万事恙無く引き継げるように準備をして欲しい」

「畏まりました」


一部の家臣や使用人たちは、エールデを迎えるために新たなる領地へ先に出発する。




出立を間近に控えたある日、ノイ、ズィヘル、フォルたち三人の訪問を受ける。


「前回の件も、今回の件も納得いかん!」

「そうだ! 何故エールデだけがこの様な目に会わねばならんのだ」

「大公も大公だ。もう少し文句を言っても良いんだぞ」


三人の友人の言葉に、少し困った笑顔で答える。


「大公家が、国王には絶対に反旗を翻してはならない。

国王が白と言えば白、黒と言えば黒なのだ。

大公家が元凶となって国を割ってはいかんのだよ」


エールデの言葉に、大公家の責務の大きさに三人の友人は押し黙る。


「まあ、嫁さんを国王陛下が送ってくれるって言うんだから」

「今度はまともな令嬢だと良いな」

「なぁ誰が選ばれるか賭けねぇか?」

「・・お前たち。その内、本当に不敬罪で罰せられるぞ?」


相変わらずの三人のやり取りに、苦笑いを浮かべるエールデ。


「それで何時、出立の予定なんだ?」

「正直、向こうの準備が出来たら連絡を貰う手はずだから、何とも・・」


口を濁すエールデに、急に決まった事だから大変なんだろうなぁと3人は思っていた。


「そっか。じゃあ決まったら連絡くれ」

「見送りに来てやるからな」

「簡単な手土産ぐらいは準備するから」


騒がしく現れて、騒がしく去っていく3人にエールでは小さく溜息を吐く。


「後で怒られても存じませんぞ?」

「別れと言うのは・・、正直好きじゃないんだよ」


侍従長の言葉に苦笑いすると、明日の出立に向けて最後の準備をする。




3人は後日、あの時出立の日が決まっており、エールデが既に一人旅立った事を知る。


「クックック・・、いい度胸じゃねぇか。エールデ?」

「そうだな。俺たちを騙して、黙って行くとはなぁ・・?」

「キッチリと思い知らせてやらんと・・。まずは不幸の手紙かぁ?」


連日の様に友人たちから、怒りと嘘つき呼ばわりされる手紙が届くようになる。






エーデル東の果ての領地に着くと、まずは先に送っておいた家臣たちからの報告を聞く。


東の果ての領地は、東国の王都から真っすぐ東へ伸びた街道の果てである。

領地の東側は海に面しており、三方を山で囲まれ、平野は殆どない土地であった。


「平野に関しましては、土地その物が少ない上に痩せ細っており、収穫量はかなり少ないとの事です」

「海に関しましては、常に荒れ狂い漁はは殆ど出来ておりません」

「山々には金属を採掘する坑道がありますが、良質な物は産出で来ておりません」

「何処でもかなり生活が厳しいんだね。各地を回る準備を」

「畏まりました」


それぞれの家臣から報告を受けると、直ぐに領地の巡視に向かう。





エールデは大公領で行った様に、領内を順番に回り、領民の声と家臣からの報告に差異が無い事を確認しながら、必要な事を整えて行く。




最初は海に面した村々から訪れる。


「天候は悪くない、風も穏やか。それなのに海だけが荒れている・・。そんな事があるのですか?」

「この辺りに人が入った当初は、遥か沖の方は荒れていました。

それが少しずつ荒れた海が岸の方に近づいて、今ではこの有様です」

「そうですか・・」


海から糧を得ていた人々には命がけ・・、命がいくつあっても足りないだろう。

話では浜辺に打ち上げられる魚を拾って、生活しているとの事だ。


「村長、漁業組合の代表。直ぐに漁業に携わる人たちを集められますか?」

「えっ!? そりゃあ領主様のご命令とあらば・・」

「今は漁なんか行けねぇですから、大抵の者は家に居ると思います」

「では、出来るだけ集めて下さい」

「何をなさるおつもりで?」


領主の命令とはいえ、一応は理由を聞いておきたい。

正直、村の人たちを罰せられたり、無理に海に行かせられては堪った物ではない。


「皆さんは、この海から豊かな恵みを受けてきたと思います」

「そりゃそうです」

「では、我らをお創りになった神には感謝を捧げてきましたか?」

「そ、それは・・、個人ではしてきたかと」

「では漁業関係者全員集まって、神や海に感謝をしてきた事がないと言う事ですね」

「・・ない、ですな」


地方に行けは行くほど、神と密接になり神に頼る祭事は増える傾向にある。


「領主である私が、神へ感謝をささげる儀式を行おうと思います」

「感謝を捧げる儀式ですか・・」


生活があまりに厳しく、神や海への感謝と言う気持ちが擦り切れたのだろう。


「出来るだけ多くの人を集めて下さい」

「分かりました。直ぐに皆を呼びにやります」


しばらくすると次々と人々が集まり始めるが、感謝の儀式と聞いて疑いの表情を浮かべてている。


「それでは皆さん。今だけは心に感謝の気持ちを満たして下さい」


集まった漁業関係者に感謝の祈りを捧げる様に指示をして、『大いなる力』鍵を捧げる様に持つと『大いなる力』を発動する。


「パッシブ:祝福 海と海に住む魚と、海から糧を得る人々に」


人々の心の祈りの最中、魔法をを発動する。


金色で描かれる幾何学模様がエールデから扇状に沖の方まで広がっていく。


「ありがとうございます。皆さん、終わりました」

「えっ!? もうですか?」


あまりに短い時間に首を傾げている。儀式と聞いて長時間を考えていたのだろう。


「はい、この海に魔法をかけました」

「ま、魔法・・?」


儀式と思っていたら、実は魔法だったと聞いて驚く。


「そうです。海への祝福の魔法は初めてなので、どの位効果が得られるか分かりませんので、しばらくしましたら立ち寄る様にいたします」

「はぁ・・」


呆然とする村長や村人に説明終えると、次の場所へと向かう。




次の山間の村を訪れると、村長や鉱山組合の代表がこの辺りで取れる物を見せてくれる。


「ご覧ください。この山々からはこの程度の物しか手に入りません」

「これは何ですか?」

「銅の鉱石です。一緒に取れる錫と合わせると青銅が得られます」

「へぇー、勉強になりますね」


熱心に銅鉱石を手に取って調べるエーデルに、村長は笑顔を見せるが一瞬で曇ってしまう。


「しかし今や鉄の時代。鉄が産出せねば見向きもされません」

「それでも青銅で何とか皆は、生計を立てております」

「鉱山が開かれてからずっとですか?」


青銅だけで苦しいのであれば、他に生活の糧を得る手段がないか確認する。


「周りを見ていただければ分かりますが、木々は殆どなく野生動物も少ないため、狩りでの生活は難しいのです」

「我らは青銅に頼るしかないのです」

「もっとも鉄が取れるようになるまでは、とても賑やかでしたがな」


寂しそうに語る村長や鉱山組合の代表に提案をする。


「鉱山関係者を集めていただく事は可能ですか?」

「そりゃ働きづくめと言う訳ではありませんので・・」

「何をなさろうとしているのですか?」


新しい領主が何をしようとしているのか興味が惹かれる。


「いままで鉱山や、山々からの恵みに感謝されてきましたか?」

「そ、それは・・」

「命令でもあり、無理にでも採掘をしなくてはならなかったのではありませんか?」

「そう言う事は・・」


前領主に対する不満を聞きだすための質問に、口ごもる村長たち。


「そこで神に、この山の恵みに感謝を捧げ、これからも豊かな恵みを得られる様に感謝の儀式を行いたいと思います」

「・・祈祷と言う事でしょうか?」

「その通りです。領主である私が行いますので、出来るだけ多くの人を集めて下さい」

「分かりました」


領主の命令と言う事で、出来る限り多くの人が集められる。

しかし海の村と同じように、人々は疑いの目を向けてくる。


「お集まりの皆さん。神に、山に感謝の気持ちで心を満たして下さい」


その様に支持を与えると、鍵を手に『大いなる力』を発動する。


「パッシブ:祝福 山々と山々から糧を得る人々に」


不謹慎にも多くの人がエールデを見ていたため、多くの人が『大いなる力』の発動を見る事になる。


金色で描かれる幾何学模様がエーデルから山々に広がっていくのを見て、その場に居た全員が茫然とする。


「ご協力ありがとうございます、終わりました」

「えっ!? は、はい・・」

「この山々が豊かになる魔法をかけました」

「今のが魔法?」


祈祷とばっかり思っていた村長は驚きを隠せない。

目の当たりにした人々も、固まったまま動く事が出来ずにいる


「山々に祝福の魔法をかけた事がありませんでしたので、しばらく様子を見たいと思います。何か変わった事があったら教えて下さい」

「・・わ、分かりました」


エールデは後を村長に任せると、次の目的地へと慌ただしく向かう。




今度は目的地とはいえ自宅のある領都周辺、即ち平野のある場所になる。


エールデは村長に状況を確認する。


「見て下さい。お分かりになりますか? 

土は痩せており、平野も少なく収穫できるのが不思議なくらいです」


悲痛な叫びは、代々の領主にどのように届いたのだろうか。


「これは開拓当初からですか?」

「はい・・。海や山からの得られる物を期待しての開拓でした。

何とか自給自足をと目指しましたが、結局は近隣の村々から届けられねばならぬのです」

「なる程。敢えて聞きますが、皆さんはこの土地にどれほど感謝していますか?」

「・・感謝? 殆どしておりますまい。何とか生きて行くだけで精一杯なのです」

「分かりました。農業に従事する人を集めて下さい」

「えっ!? お、お待ち下さい。けっして領主様への不満では無く・・」


ハッとして自分が領主の前で、不満をぶちまけてしまったと思ったのだろう。


「誤解のない様に言っておきますが、村長や領民を罰するつもりはありません」

「えっ!?」

「皆さん揃って、私たちを創ってくれた神や恵みを与えてくれる大地に感謝を捧げたいと考えています」

「感謝を捧げる? 何かの儀式と言う事ですか」

「その通りです」

「・・分かりました。直ぐに集められるだけ集めます」


今さら何の儀式をするのかと言う表情ではあるが、領民を集めに行く。


村長から急に領主の命令で集まれと言われたためか、不満が隠し切れていない。


「お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。

これより、神と大地に感謝の祈りを捧げたいと思います」


領主命令だから仕方ないという雰囲気がありありと出ている。


「今だけでも心を、神と大地に感謝の気持ちで満たして下さい」


そう言うと『大いなる力』鍵を天に捧げると、『大いなる力』を使う。


「パッシブ:祝福 平野と平野から糧を得る人々に」


疑いの視線が集まる中『大いなる力』が発動する。


エールデからに金色で幾何学模様が描かれ、自分たちの足元を通って大地に広がっていくのを見て、その場に居た全員が驚き跪いている。


「無事に終わりました」

「い、今のは一体・・」

「この平野が豊かになる魔法をかけたのです」

「魔法だったのですか? 今のが・・」


感謝を捧げるとは魔法をかけると言う事を知って、集まった全員が驚いている。


「この祝福の魔法が、この平野にどの位効果が出るか分かりませんので、しばらくしたらお伺いしますね」

「・・分かりました。お待ちしております」


驚きと混乱する人々を家に帰すと、自分も邸宅へと戻っていく。




初めて各地を巡り終え、邸宅に戻って来た夜の事、大公領と同じようにバルコニーに佇む。


「この地の人々はたくさん苦しんできた。ほんの少しで良い・・」


代々の領主が、どのように彼らを扱ったかは知る術はない。

バルコニーに寄りかかり、目を瞑り天を仰ぐ。


「東の果て地に暮らす人々に、僅かな喜びが訪れる様に・・」


病気にかかりにくくなるでも、病気が少し軽くなるでも良い。

明日、いつもより早く起きられるでも、何時もより良い目覚めでも良い。

ちょっと疲れにくくなるでも、ちょっと元気になるでも良い。


大公領の時に思った事を思い、『大いなる力』の鍵に手を重ねて祈る様に『大いなる力』を発動をする。


「パッシブ:祝福 この東の果ての地に住む人々に、ささやかな恵みを」


エーデルに月から黄金の光が注がれ、彼を中心とする幾何学模様が一気に広がっていく。





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