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無限の書  作者: まる
16/19

魔族戦と三国進軍

【魔族戦と三国進軍】


魔族は真っ直ぐに王都、王宮へと向かってくる。


総司令官の立てた作戦通り、王都を背に弓隊が引きつける。

通り過ぎた所で、左右から魔法使いたちによる挟撃。

魔法のインターバルの間、後方から剣士、戦士、騎士による攻撃と弓隊による支援。


そこに遊撃として、エーデルが大公家歴代最強の魔法使いという触れ込みで加わる・・はずだった。


「な、何故、大公殿は弓隊の前に陣取っているのだ? これでは良い的になってしまうぞ!?」


総司令官は慌てふためいている。


それもその筈、3人は弓隊、魔法使いたちの三角形の中心あたりに配置していた。

エールデを先頭に、やや後方をマルスとユピテが固める。


「何で魔法使いが前衛で、剣士である俺たちが後衛なんだ? 絶対おかしいだろう!?」


東国軍総司令官と同じ様に、何やらブツブツと文句を言っているが2人は無視する。


3人の目には先程から魔族を捕らえており、ゆっくりと一歩一歩進んでくる。


エールデ達も、やや早歩きで魔族に向かって歩き出す。

ここでの全力疾走は愚の骨頂である。呼吸が乱れ、体力を消耗し、判断力を鈍らせる。

とても戦う前の状態とは言えない。


「2人とも覚悟は良いか? 来るぞ!」


魔族が自分にわざわざ向かってくる存在に気付き、胸の前に両腕を突き出す。

掌から闇色の何かが溢れ、球形に集まり始める。


エールデは左手の『大いなる力』の鍵をしっかりと握り直す。


「アクティブモード」


視界にターゲットスコープが現れる。


「魔力を受け止めよ。集め、打ち返せ。魔鏡!」


掌を開いた右腕を前に構えると、エールデの体を隠す程の金色の円が現れる。


「−−−−−!」


声なき咆哮と共に、魔族から闇色の槍が放たれる。


闇色と金色が激突する直前の一点で、闇色の力が凝縮されて行く。

魔族からの放出が終わると、魔族の物よりも細く速く鋭い闇色の力が返される。


魔鏡とは、魔力反射鏡の略で、純粋に魔力を反射する。


返された闇の力は魔族の両腕の間をすり抜けて胸に吸い込まれて行く。


魔族は違和感を覚えて、自らの胸を、そこに開いた大穴を、茫然と見つめる。


その隙を見逃す程、剣将マルスは甘くない。


「ハァアアアァァ!」

「光り輝く天界の翼」


マルスは渾身の一撃を膝裏へと叩き込み、エールデは攻撃魔法の詠唱に入る。


魔族は自分の倍を超える大きさで、足の太さもマルスの胴体と同じ位であった。


容易には切れないと判断し、膝関節を狙う。

が、身体強化魔法のブーストに、攻撃力ブーストの効果は、魔族の足をバッサリと切り飛ばす。


「うぉお!? マジかよ!」


驚きながらも、一度戦線離脱する。


「ブラックローズ 解放!」


ユピテがチョーカーに触れながらキーワードを詠唱、喉のあたりにあった蕾が展開して薔薇の様になる。


「グゥルゥガァァァ!」

「幾千幾億の羽を矢と変え」


皆を守ると言う感情の爆発で狂戦士となる魔力が溢れ、その魔力を感じ取って装備の機能が発動する。

意識が飛び、冷静な判断力は失ったが、反面、戦闘センスは格段に上がる。


超硬度化されたレイピアの先端を、体で鍛える事の出来ないか所の一つ、目を狙う。

左足を失いバランスを崩して倒れる魔族の自重が重なり、一気に根元まで突き刺さる。


「グガァッ!?」


逆にそこまで刺さってしまうと反応に遅れが生じ、振り払う右手で打ち飛ばされる。


「悪しき存在を滅ぼせ」


2人の攻撃は、エールデの攻撃のチャンスを作った。


「光翼天弾!」


エールデの背に黄金の翼が現れ、羽ばたく度に光の矢を倒れている魔族へ放つ。


一つ一つの矢は、僅かしか魔族の肉体を削れなくても、一回に千近い黄金の矢を放つ。

数多の羽ばたきは、魔族の再生力を上回る結果となった。


エールデの光の翼が消えた後には、単なる肉の塊しかなかった。

それでも、バキバキっと音を立てながら、再生が始まる。


「うぉお!? 信じられん生命力だな」

「ゴァオォォォッアァァァ!」


マルスが呟いている間に、体勢を立て直したユピテが再び特攻をかける。


「こっちも元気だ」


2人とも魔族にビッチリとくっ付いて、マルスは斬撃、ユピテは刺突を繰り返す。


防御力が下がっているのか面白い様にダメージが通る。

その分、再生に全魔力を注いているのか回復も早く、一進一退の状況である。


あと一撃・・、エールデの魔法が決まれば魔族は討てる。


「天界の宝物殿よ」


魔族だってそれ位分かっているだろう・・、狙うならエールデだと。


「古き盟約により」


エールデを隠し、遠ざけ、忘れさせ、隙を作る・・、2人の命を賭した努め。


「閉ざされたる扉を開き」


天に掲げた右腕に光が渦の様に集まり、天まで届く程、長大で肉厚な剣を形作る。


「我に神剣を与えたまえ・・」


光の剣に気付いた魔族が、2人を無視して再びエールデに向かおうとする。


「させるか!」

「ガァアルァァァァァ!」


渾身の力で、魔族の歩みを止めにかかる。


「天宮神覇!」


エールデの魔法は、マルスとユピテを巻き込んで魔族に振り下ろされる。


「−−−−!」


魔族は剣が触れたとこから塵と化し、声なき声をあげて消滅する。


光の刃が撃ち込まれた大地とその周辺は・・不思議な事に何ともなっていなかった。


「ふぁーあー・・!? 助かった・・か?」


巻き込まれたはずのマルスも無傷で、その場に佇んでいた。


「ゴォォォオァァァ!」


同様に無傷のユピテが、三度目の咆哮する。


「・・魔力切れで止まるんだっけか? 

裏を返せば魔力切れまで止まらないって事のかよ・・」


頭をガシガシと掻いて、軽く溜息を吐くと立ち上がる。


「はぁあ・・、もう一戦、しかも味方とやるはめになる訳か・・」


ユピテがこちらへと向かって、いや特攻を仕掛けてくる。


「いいぜ、とことん付き合ってやるぜ!」


2人は激しく互いの武器を打ち合わせるが、魔力切れまでそう時間はかからなかった。


エールデはマルスに手伝えと文句を言われながらも、興味深そうに2人を見守っていた。






謁見の間には玉座に国王、その前に跪くエールデ、少し後ろにマルスとユピテが控える。


「エールデよ、良くやってくれた! お主のお陰で東国は救われたのだ」

「国王陛下の命を、大公家の威信にかけて果たしたにすぎません」


国王はエールデから、何度大公家のと言う言葉を聞いただろうか・・


「エールデ、すまぬ。そなたの働きに余は何も報いれぬ」


魔族は一種の天災である。国にとっては何の益はないどころか損害のみ。


爵位を抱く者の責務としては正しいのだが、良き働きをした者に国として報いねば誰も付いてこなくなる。


「国王に一つお願いしたき事があります」


やがてエールデは口を開き、願いを伝える。


「何じゃ? 望みの物を与えよう」

「この度の真実を」


エーデルのその一言で、国王は理解する。


「相分かった。王の名において約束しよう。今回の一件の全てを明らかにし、それをそなたへの報償とする」

「有りがたき幸せ」


国王はエールデとの約束を果たすべく、最優先で事の起こりについて調査を開始する。





一日もしない内に、魔族は封印ではなく完全に滅される。

このニュースはすぐ様、東国中に瞬く間に広まっていく。


王宮の地下牢に捕えられている2人にも伝えられる。


「魔法使い不在とはいえ、全軍を用いても勝てなかったあの魔族をたった1日だと? 

しかも封じるでは無く・・、滅したとは」


ザトゥルン公爵は、自嘲的に薄笑いを浮かべる。


「エールデが魔法使い・・、大公家歴代最強か・・。

まさか、この力を使って領土を豊かにしていたと言うつもりか? クックックックッ笑えぬ冗談だ」


脳裏に浮かんだ戯言だが、真実の一端であった事を受け入れられない。




同じように宰相も牢獄で、がっくりと項垂れて呟く。


「やはり大公一人の能力であったか・・」


誰よりもいち早く答えに近づいたにも拘らず・・


「大公家に敵対すべきでは無かった・・」


人間一人の能力では無いと言う先入観から、魔族行使の妄言に振り回された己を責める。




ザトゥルン公爵は、魔族封印の書の出来事から遡って、先代大公であるエールデの母の暗殺まで自分一人の責であると告白する。


「一切は私一人の独断。全てはザトゥルン公爵家を大きく強くするため」




宰相は一切自分とは無関係と言い張り、魔族封印の書についても言い訳を重ねる。


「大公の力の源であると思い、調べるために一時預かったのです。

国家のため、いえ国王陛下のためなのです!」


この様に叫び続けるも、国家大逆罪の余罪追及のために自白魔法や自白剤などを使用され、強制的に証言させられる。




全ての事は、国王のプライベートルームでエールデに伝えられる。


「エールデよ、ザトゥルン公爵と宰相に関しては厳罰を持って処す」

「国王陛下にすべてお任せ致します」


しばしの沈黙の後、国王が口を開く。


「そなたへ色々と負担をかけた。余の不徳の致すところ」

「その様な事は一切ありません」


目を瞑り頭を少し下げると、小さく首を横に振る。


「良いのだ。爵位や余の右腕と言う事に縛られ、証拠欲しさに後手に回ったのは事実。

詫びと言う訳ではないが、公爵領と旧宰相領、東の果ての地は、そなたに譲ろう」

「謹んでお受けいたします」


何時もの様に即答すると、そのまま謁見の前と移り、家臣、貴族の前で真実と、3つの領土がエールデに下賜される事が宣言される。


エールデの存在の大きさに、東国のどの貴族も文句を言えなくなる。






大公領に戻ると領土全体を巡る。

今回は交流と言う名目で離れたため、祝福を取り去っておらず大きな問題はなかった。



与えられた領土で、一番最初に訪れたのは東の果ての地である。

祝福を取り去った上に、ザトゥルン公爵の無策のため被害は大きかった


時間をかけて領地を回り、領民一人ひとりから苦しみや悲しみ、怒り、嘆きといった訴えを聞き、必要な祝福を施していく。


しばらくしたらまた戻ると告げ、最後に領地全体を祝福する。



ザトゥルン公爵領と旧宰相領に関しては、善政を布いていたらしく、特に問題らしい問題はなかった。

前に居た家臣や使用人で残りたい者はそのまま雇い入れ、今まで通りの施政に加え、常に領民の声を聞く様に指示を出す。



再び大公領を通って、東の果ての地へと戻る。



東の果ての地の領民は、エールデの祝福の魔法による劇的な変化を目の当たりにしており、再び祝福が与えられた事に期待をしていた。


そして期待通り、荒れた海は静まり、漁と塩作りが再開される。

山々からは、新しい鉱脈が発見され、鉄と貴金属、宝石が産出され、岩塩も見つかる。

貧しく僅かな平地でも、豊かな実りが戻ってくる。


「エールデ様、見て下され。祝福の魔法のお陰です!」

「いいえ、皆さんの辛抱が忍耐が実を結んでいるに過ぎません」


以前の様に人々の顔に笑顔が戻り、行く先々で温かく迎えられ感謝の言葉が伝えられる。




エーデルは精力的に領地を巡り、耳に入った問題はどの様な些細な事であっても、エールで自身が対応し、必要な人材を適切に配置するように心がけた。


決して自分一人で抱え込むのではなく、人を育てる事も忘れなかった。


1年が過ぎようとする頃、エールデが管理する領土は、日増しに豊かさが増し、平和が享受される。






反面、東国の中央では暗い影を落とし始める。




国王は最近頻繁に報告される事に、避けようのない事態を予想していた。


「北国、南国、王国の国境付近で兵の数が目に見えて少なくなり、小競り合いが減っております」


諍いが減る事は望ましい事である、三国同時でなければ・・


「周辺地域では不作でもないのに、食料品がジワジワと値上がりしております」


兵と食料品が消える。新しく召された宰相は最悪の事態を告げる。


「戦争の準備をしている物と思われます」

「・・三国同時にか?」

「偶然か、共謀かまでは何とも・・。間違いなく魔族による国力の低下は伝わっているかと思われます」


東国に間者が入っているのは当然である。こちらも同じ事をしているのだから。


「絶好の機会だと捉えて当然か」


例え和平条約があっても、自分の立場なら戦争の準備をするだろう。


「それからもう一つございます」

「何かあったか?」

「三国で勇者らしき人物が現れたとの噂があります」


周囲の家臣たちからどよめきが起こる。


「真か?」


勇者の誕生・・、嘘を付いても仕方がない。単なる確認であった。


「各国との上層部のパイプが全て失われております」

「そうか・・」


魔族によって弱まった国、勇者によって強くなった国。

兵を集め、食料を集め、情報を遮断する。


「どうすべきか?」


家臣や名だたる貴族たちに国王は語りかける。


「東国に勝ち目はないかと・・」


自国の誇りとか騒ぐ者はいない、それが現実。


「では降伏か?」


東国は消滅するが、民も、貴族も、王さえも守られる可能性。


「よろしいでしょうか、国王陛下」

「どうした宰相?」


更迭された宰相に代わり、新たに召された宰相が重い雰囲気の中声を発する。


「戦争の事は一時置いておいて、国力の低下の原因は何でしょうか?」

「・・何が言いたい、宰相?」

「我が配下である、ノイ、ズィヘル、フォルに領地を賜りました事は、真に感謝の言葉もありません」


モント公爵も宰相に続けて声を上げる。


「どれだけ優れた補佐が居ようとも、上に立つ者が無能では国力は下がります」

「旧宰相領とザトゥルン公爵領は大公が預かり、出兵も上納の責務は免除されております」


宰相が公爵の言葉を繋ぐ。


「そなたら、まさか・・?」


公爵と宰相と言う図式に、国王は疑いの目を二人に向ける。


「我らをお疑いになっても構いません、しかし事は急を要するのです」

「今動かなければ・・、いや既に手遅れとなっており、このまま手を拱いている時間は御座いませぬ」

「そなたらエールデ、いや大公にどれだけの忍耐をさせ、どれだけの犠牲を払わせたか承知の上で取り上げると言うのか?」


国王は一旦言葉を切る国王に、モント公が更に望みを告げる。


「今一つ」

「・・まだエールデに何を望むつもりか?」

「大公には三国戦に参加いただきたく」

「公の場に出ぬのと言うのが、大公家の・・」

「東国が滅びるかどうかの瀬戸際に、出る出ないではありませぬ!」

「魔族との戦いと同じとお考え下さいますよう」


2人にはエールデが云々より、東国をどうするかという切なる思いが感じ取れる。


「大公にどれだけ恨まれようとも、憎まれ罵られようとも、それが東国のためならば」


最後にモント公爵が締めくくる。


「・・・ふぅー、余が大公に話さねばならんな・・」


国王は深く息を吐き出すと、決意を伝える。


「私が使者として参ります」

「東国は未だ乱れている所が多い。また宰相殿は先日召されたばかりで、なすべき事も多い。

今、宰相殿が抜けるのは得策ではない。私が行こう」


宰相の言葉を止め、モント公爵が先ぶれの使者の役目を買って出る。






エールデが大公領に戻るタイミングに合わせて、モント公爵はエールデの元に赴く。


2人は一度、ノイ、ズィヘル、フォルへの領地下賜の件で、国王の前で顔合わせしていた。


「お久しぶりです、モント公爵」

「大公も変わらぬ、と言いたい所ではあるが、少年から青年、成人へと成長しておるな」


終始二人は笑顔で挨拶を交わし、話が一段落した所で単刀直入に切り出す。


「大公よ、ノイ、ズィヘル、フォルの三人に賜った領地を、国王陛下に返上する」

「・・・」


エールデが沈黙しているために続けて話をする。


「大公にも、旧宰相領とザトゥルン公爵領を返上してもらいたい」

「如何な理由からでしょうか?」


下賜したのは大公とは言え、建前上は三人が領地を国王に返還を申し出れば、こちらとしては特に何も言う事はない。

しかし大公直轄領は、公爵が口を挟む事では無い。


「未だ東国は魔族の復活地である南部地方を中心に、西部地方の一部、王都周辺は乱れておる」

「・・・」

「北国、南国、王国の三国が同時に侵攻してくると言う事が懸念されておる」


エールデは言葉をさえぎる事無く、モント公爵の顔を見つめ続ける。


「他国の侵攻に備えるため、国力の回復、兵の増強、領土の安定・・。

やらねばならぬ事は山の様にあるのだ」

「国王陛下には相談されたのか? 国王陛下は何と申されているのか?」


エールデが重い口を開き出てきた言葉には、既に回答が用意されている。


「国王陛下は重荷を背負わせてきたお主から、領土を取り上げるのは・・」

「ならば断る」


断じる一言に、モント公爵が驚きの表情を浮かべる。


「大公。気持ちは分かるが、国王陛下も苦渋の決断を・・」

「モント公」


言い募ろうとする公爵の言葉を止める。


「・・何かな? 大公」

「国王陛下に苦渋の決断などさせる大公家は・・、東国には存在しない」

「・・・」


エールデの言葉の意味を理解して、沈黙を持って答える。


「我が大公家の存在理由は、国王陛下とその血筋のみ」

「そうであったな・・」


孫だからとか、手柄だとか、犠牲だとか関係ない。

ただ王家の血筋を守り、国王を守るだけに存在する一族。

国王が是と言えば、是である一族こそ大公家である。


「大公に近々、国王陛下より呼び出しがあり領地返上が伝えられる。準備の程を」

「承りました」


これだけで全てが片が付く。

それが大公家であり、エールデと言う存在・・。

決して敵に回してはならないと、モント公爵は改めて肝に銘じる。






後日、王宮へ呼ばれ、国王直々に領土の返還を命じられる。


「大公エールデ、ザトゥルン公爵領と、旧宰相領を余に返上せよ」

「畏まりました」


事情を知らない家臣や貴族たちは驚く中、何時もの如く受け入れる。


「ノイ、公爵領の返却を命じる」

「ハッ」

「ズィヘル、伯爵領の返却を命じる」

「ハッ」

「フォル、伯爵領の返却を命じる」

「ハッ」


こちらの三人と三つの領土も、大公に関する物である事に周囲がざわめく。


「そなたたち三人には、今までの功績として騎士を授与する」

「「「ありがたき幸せ」」」


ノイ、ズィヘル、フォルは爵位は愚か、騎士にすら叙任されていなかった。

彼としては領主勤めから解放され、モント公爵の元に戻れるので万々歳である。


召し上げられた領地には、新たな領主が任じられ、国力回復と他国との備えを命じられる。


「大公、魔族の爪痕は未だ癒えておらぬ。他国との諍いあらば参戦せよ」

「勅命、承りました」


その一言で王命を受諾する。


全ての家臣、貴族たちは事態が戦争に傾いた事を悟る。




しかし宰相とモント公爵が言った様に、時すでに遅く三国侵攻の火蓋が切って落とされる。





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