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透明人間の詩
人身事故の為ただ今運転を見合わせています。
死ぬ時くらい誰にも迷惑かけずに死ねよ。
そう言われたい。
嫌悪感。殺意を向けられたい。
だから今日もまた誰かが線路に飛び込む。
電車が止まる。
誰かが大事な会議に遅れる。
誰かがデートに遅れる。
あなたの言うことはごもっともです。
だから今日も飛び込む。
それまでは私は存在すら認めてもらえなかった。
でも飛び込んで。死ぬ。
そこで初めて私という存在を認めてもらえる。
うざい。ふざけんな。
心地よいです。
私に関心を持ってくれてありがとう。
死んでよかった。
死んだのに生き返ったみたいだ。
透明人間の私に色を付けてくれてありがとう。