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花詩集  作者: 葵枝燕
35/37

紫陽花

 挿絵が入っています。

二度と出逢えぬと

わかっていたら

その手を離すことなど

決してしなかったのに


溢れ出る涙は

いたずらに透きとおって

憎らしいほどに美しい


見上げた空は

濁った灰色で

憎らしいほどに私の心模様そのもの


それでも

誰も 何も

私の心を晴らしてはくれない


溢れ出る涙は

ただ想いを強くするだけ


見上げた空は

ただ哀しみを濃くするだけ


離してしまった手は

二度と戻らないと知っている


この手を握ってくれる手は

ただひとりだったのに


溢れ出る涙は止まらない


拭う手は

私自身の手じゃだめだ


私の涙を受け止める手は

もういない


雨よ

降り続く雨よ


どうか私の涙を隠して

どうか私の哀しみを流して


この空が

やがて青く晴れ渡るように


私の心も

いつか晴れますように



挿絵(By みてみん)

アジサイ(英名:hydrangea)

ユキノシタ科アジサイ属の花。別名、シヨウカ(紫陽花)、シチヘンゲ(七変化)、テマリバナ(手毬花)、ハイドランジア、セイヨウアジサイ。六月から七月にかけて、白色や桃色や紫色などの花を咲かせる。原産地は、日本、北アメリカ、南アメリカ。花言葉は、移り気、冷淡、冷酷、無情、あなたは冷たい人、辛抱強さ、耐える愛。


 以上、第三十五回「紫陽花」の解説でした。やはり、梅雨の時季と言えばアジサイかなと思って書きました。

 私はいつも、『花詩集』を書くにあたって、複数の本から情報を書き出しています。今回、アジサイについて、色々と初めて知ることが多かったので、それらを書いていきたいと思います。

 まず、英名のhydrangeaについて。ギリシャ語のhydro(水)に由来するという説と、同じくギリシャ語のhydor(水)とangeion(容器)に由来するという説がありました。私が今回取り入れたのは、後者の「水の容器」という説です。だから「私の涙を受け止める手」とか書いてるんですよね。

 次に、花言葉の由来について。「移り気」は、開花してから時間が経つにつれて花の色が変化することからきているそうです。「冷淡」や「冷酷」は、青色や紫色など、花色が寒色であることから受ける印象からきているようです。そんなマイナスな感じのある花言葉が多い中、「辛抱強さ」という花言葉もあります。こちらは、花の時期が長いことからきているそうです。

 最後に、アジサイの花のように見える部分は、(がく)なんだそうです。咢とは、花弁を包むように保護している部分のことです。アジサイは、その咢の中心に目立たない小さな花を持っているのだとか。ブーゲンビレアとかもそんな感じだった気がするので、花弁より咢が主役な花は結構あるのかもしれないと思えてきました。

 さて、この「紫陽花」を投稿したのは二〇一八年六月二十三日、こうして後書きを書いているのは同年六月二十七日——なぜ、四日も空いたのかと思われる方もいることでしょう。実は、六月二十三日に私の住む沖縄県で梅雨明けが発表されたのです。それで慌てて投稿したら、後書きを書く時間がなくなってしまいました。そのうえ、題材にした花の情報を集めきれていませんでした。そんなわけで、後書きを入れるのに間が空いてしまったのです。後書きも楽しみにしてくださる方には、本当に申し訳なかったです。

 では、今回はこの辺で。次回も読んでいただけると嬉しいです。

――――――――――

改稿情報

 二〇一八年六月二十七日、後書きと挿絵を入れました。絵は、「SKIMA」様で依頼した御奈良井ハシル様が描いてくださいました。「男女どちらとも取れるように描いてほしい」から始まり、今回も私の我儘に快く応えてくださり、本当にありがとうございます。転載・使用はご遠慮ください。

――――――――――

参考資料

・中山草司監修『花言葉物語 贈る花に想いをこめて』、永岡書店、[一九九〇年]

・浜田豊著『花の名前 —由来でわかる 花屋さんの花・身近な花522種—』、婦人生活社、[二〇〇〇年]

・高橋竜次、勝山信之著『色でひける花の名前がわかる事典 花屋さんの花・身近な花522種』、成美堂出版、[二〇〇一年]

・金田初代文、金田洋一郎写真『持ち歩き! 花の事典970種 知りたい花の名前がわかる』、西東社、[二〇一五年]

・二宮孝嗣著『美しい花言葉・花図鑑 彩りと物語を楽しむ』、ナツメ社、二〇一五年

・国吉純監修『想いを贈る花言葉 ちいさな花物語』、ナツメ社、二〇一七年

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