夕顔
あなたは私を愛していたのでしょうか?
あなたは あなたのことを
私に何も教えてくれない
どこの誰なのか
私は何もあなたを知らない
でもそれは 私も同じ
私も あなたに
私のことを何も伝えてはいない
手も 声も
触れるほど近くにいるのに
あなたは
私を愛していますか?
それだけがわからない
それだけのことを 訊くのがこわい
私はきっと
あなたを愛しているのに
あなたが私を
本気で愛していなくてもいい
今 この夜だけは
あなたと私
二人だけのもの
それだけは確かだから
願わくばそれが
永遠に続く時間であればいい
ユウガオ(英名:calabash gourd、whiteflowered gourd)
ウリ科ユウガオ属の花。別名、カンピョウ、ヨルガオ(夜顔)。八月から九月にかけて、白色の花を咲かせる。原産地は、熱帯アメリカ。花言葉は、夜の思い出、悪夢。
以上、第三十回「夕顔」の解説でした! 第二十八回から今回までのある法則付けから作ってみました。それと、『源氏物語』の登場人物の一人である夕顔さんをイメージしました。
まずは、法則付けの答え合わせから。第二十八回が「朝顔」、第二十九回が「昼顔」、そして今回が「夕顔」――つまり、朝→昼→夕の順番にやってみた、でした! 単純ですね。
次は、今回モデルとして取り入れた『源氏物語』の夕顔さんについて。光源氏が十七歳の夏に出逢った、光源氏より二歳年上の女性です。光源氏の義兄で友人でライバルである頭中将の元恋人でもあり、頭中将との間に一人娘(のちの玉鬘)がいます。光源氏との逢瀬のさなか、もののけに襲われて急死してしまうという、悲しい最期を遂げる方ですね。その夕顔さんをイメージしつつ書いてみました。
どうしても夕顔さんをイメージして書きたくて、吉海直人氏監修『やっぱり面白かった『源氏物語』』という本を探し回りました。絶版になっているらしく、全国チェーンの書店さんに頼んで、他店舗に残っていた本を取り寄せていただき入手しました。わかりやすいしおもしろい本だと思うんですけど……絶版なんて思わなかったですよ、本当。ちなみにその本に、自分がどの登場人物に近いかわかる男性キャラ・女性キャラ別のチャートみたいなのがあって、私は六条御息所さんタイプでした。……うん、わかるかもしれない――と思いました、正直。手に入りにくいとは思いますが、興味のある方は読んでみてくださいね!
さて、ようやっと三十回。今後とも、マイペースにやっていく所存ですので、よろしくお願いいたします。
それでは、また次回お目にかかれますように。
葵枝燕でした。
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参考資料
・浜田豊著『花の名前 —由来でわかる 花屋さんの花・身近な花522種—』、婦人生活社、[二〇〇〇年]
・吉海直人監修『やっぱり面白かった『源氏物語』』、PHP研究所、二〇一一年
・金田初代文、金田洋一郎写真『持ち歩き! 花の事典970種 知りたい花の名前がわかる』、西東社、[二〇一五年]




