さもそん
さもそん = さもありなん + そもさん
さもありなん=然もありなん=きっとそうであろう、もっともである、さもあらん
そもさん=怎麽生、什麽生=さあどうだ、いかに、どうなのか
【用例】
みんな大好き奴隷商売について話し合う二人。
見かけは青年と少女な、アルシン君とリリルさん。
「よく奴隷など酷いと言いのたまってくれる輩も多いが、たとえ現代人にとってだとしてそう身近でない話というわけでもなかろうにな」
「そうなの? いやでも日本には奴隷なんていないだろ。世界的に見たってそこまでは……」
「たしかに、身分制度としての奴隷そのものは、な。だが人身売買自体は地球文明においても珍しいものではなかったぞ。日本ですら例外ではない」
「ええ? ちょ、日本のどこにさ。いっとくけどマジもんの裏方筋合いはノーセンキューだぜ?」
「いいや。珍しくもないといったろう。端的にいえば……」
肩をすくめて、アルシンは続ける。
「借金のカタに風呂屋に沈める」
「うわー」
リリルさんドン引きです。
「だが、聞き及ぶにありふれた話ではあるだろう? 現代の高度文明下にあってさえ、人間の織り成す営みなどそんなものだ。ゆえに、いかに異文明のただ中に放り出された身だからとて、一方的に忌避するばかりという態度もまた、身勝手なものといえてしまうのだよ」
「もうなんていったらいいかわかんねーよ……」
「そういうときはな、こんな言葉がある」
もう一度、大げさに肩をすくめながら、アルシンはのたまう。
「さもそん」
「イミフ」
渾身のドヤ顔は意味不明扱いされましたん。
さもそん。
それからどした。
「しっかし、奴隷ねぇ……。人間の主人とかいわれても、なんつーかグラビティ感がハンパないわ」
「たしかに我らには慣れぬ身分制度ではあるが……。よし、ならばこう言い換えてみたらどうだ?」
「なんっす?」
「ワンマン社長とブラック社員」
「うわあ」
「だが似たようなモノだろう?」
「その通りなところがむしろ、うわあ」
「ふう……やれやれだぜ」
「それこそ、さもそんですわ」
「はいさもそんいただきましたっ」
さもそーん。
【類語】
ほらこんなもん。
そうですね。
肩をすくめる。
これは流行る(*´ω`*)