もう遅せ〜企画『かぼちゃ魔法でマギカッ☆』
いや…。既に後出しは虚しいすが。
とりあえず!
始まり始まりっ!
目の前の景色が勢い良く流れていく。
程よい揺れをリズミカルに感じながら、車内窓際で何の素振りも無い表情で佇む青年――。
ふと、とあるデパートの看板が過った瞬間、うつむきながら何かしらを思い出す。
「(そっか…。すっかり忘れてたな。)」
そう、窓の外を流れる景色も、背後で賑わう乗客達の会話もある行事の話題で持ちきりなのだ。
トンネル内に突入したのか、じっと窓越しに映り込む自身の表情を見つめながらもう1人の自分に語り掛ける。
「(今日だったか
俺達が出会った忘れもしないあの日だったな。)」
――へえ?あんたもそんな物思いにふけるんだ、以外だねっ!
「(悪かったなぁ!以外で)」
――ふふっ?又々外方向いちゃってさっ。
「(ちっ!又々文句を。なぁ"かぼ――")」
「(…。ったく何やってんだろうな俺は、あれから誓った筈なのになパンプキン――。)」
特別な名前。そして彼にとって特別な日、何のそっけもない、ましてや成績やその他も全て半人前、そんな彼の何時もと変わらない人生に突如介入し、彩のある生活に導いてくれたもう1人の自分。
『パンプキン』と名乗る1人の少女と過ごした日々が昨日のように脳裡に過った。
又あの日が巡って来たんだと――。
★
「んん〜〜…。」
絶え間なく流れる雲を仰ぎながら気分転換の背伸びをする。
天気予報は意外な事に今日は的もに当たっているようだと…。
そんな事を思いつつ駅郊外に設置されている柱時計に視線を滑らす。
「うしっ。未だ午前9:30だな、えっと――待ち合わせまでだいぶ早く来たけどなっ、まっ!早いにこした事はねえなっと。」
その一言を口内に1人呟きながら歩きだす。
とある遊園地前の広場までゆっくりとした足取りで歩きだす。
季節的にはヤハリ秋も真っ盛りな10月だけあり、
時折吹く、冷たい風が地肌に突き刺さる。
凍える両手を思わずズボンのポケットに入れ、何かしら折り畳まれた用紙がある事に気付く。
そして、何げに歩きながら綺麗に折り畳まれた用紙を広げて行く。
「ったく…。何で又こんな場所で同窓会なんだよ。」
ぶつくさと1人文句を吐きつつ広げた用紙に目を通して行く。
かつて通い慣れた学校である『桜ノ宮中学校』その同窓会に誘われた彼
斎藤健
は自分の名前がある事と、そしてかつて好きだった彼女の名前を真っ先に探すのだが。
「けぇ〜んちゃんっ!にゃはは。」
「ぶげっ!?むぐぅってこらっ放せっつの!」
しかし電車を下車した時点から彼の背後から尾行する別の人物に突然両肩を背後から叩かれる。
続け様に両肩に触れた手をそのまま首元まで回され羽交い締めにしようとするのだが?。
「ぐはぁ…。」
「ったく。俺の身体能力を見縊っては…。あれ?おいっ久しぶりやなっ」
当然羽交い締めから逆に返り討ちに合い足元で這いつくばる彼の悪友。
その悪友の背後から長く伸びた黒髪を揺らしもう一名が合流する。
そしてかつての中学時代の仲良しな三人。健を筆頭に、『菊地宏治』と名乗る少年。 更に『霧島榛名』と名乗る少女。が揃うのだ。
しかし健はその仲良し組に混じるもう一人の少女のシルエットを思い描く。
そして首を小刻みに振りその幻想を無理やり否定する、
そう、もう既にかつて共に過ごした彼女はこの世界には――そして同じく仲間である宏治や榛名の記憶にも永遠に刻まれる事は無いのだから――。
☆
「うはぁ〜…。マジぎもぢ悪いw」
「ったく宏治の奴無駄にはちゃけてたけどてんでダメダメだっつの!」
「うぅ…つーかお前だって足元震えてない?ほんと2人してだらしないんだから。パンプキンだったら…。」
「「…え?」」
かつてのクラスでの楽しい遊園地ツアーである同窓会はあっという間に過ぎ時刻は既に夕方16:30過ぎにさしかかる。
季節的には日が落ちるのは早いのか。オレンジ色に飾られた遊園地での公園広場をゆっくりとした素振りで歩く仲間達。
そんな中。三人はふとある噴水のある場所までたどり着き。各々が懐かしい昔話に花を咲かせる。
そんな中意外な事にもう一人の仲間の名前を無意識に告げる榛名。
その風景がそうさせたのか。夜の戸張がさしかかる中今夜の特別なイベント。 かなり賑わいを見せる広場内にあちこちに設置されて行くオブジェクトを眺め。ふと意外な人物の名前が浮かぶ。
「おいっ!榛名っ。アンタまさか。」
「あっ!そうだっ。健っ。何であんたが居てあのパンプキンが居ないんだよ!」
一体何がそうさせたのか。目の前を横切る仮装する人物達をバックに一番大切なかつての仲間を思い出す。
頭での記憶は完全に無い筈がヤハリ心のどこかに刻まれた記憶は消せないのか。
そんな矢先…。ふと健は両目を疑う。
仮装の輩に紛れながら約一名の小さな人物がこちら側に気付き、ゆっくりと近づくのだ。
忘れもしない特徴のある彼女のトレードマークであるかぼちゃの刺繍が入った紺色のトンガリ帽子。
同じく紺色のマントから時折見え隠れする黄色いシャツに紺色のブーツ。
仮装パーティーでの灯りに照らされ程よく伸びた緑髪ショートが歩く度揺れる。
紛れもない。4年前突然彼の前に現れ、共に数々の難問と戦って来たかつてのパートナー。
「あ…。」
「一体三人揃ってなにしてんのさ」
「アンタ…。まさか。かぼちゃっ!」
「ちがうっ!!又々忘れたの?私はパンプキンよ!」
両手をスレンダーな腰にあてがいはにかみながら元気な一言を告げる彼女。
4年ぶりに、この特別な日に同じ広場で再開した事に複雑な気持ちを押し殺しその彼女に一言つげる。
「お帰り、パンプキン。」
「何かさ。ごめんなさい。又こっちの世界で問題が…。つーか健っ。あんたさぁ老け?」
「いや!こう見えても俺。高2だけど…。そんなアンタこそ全然成長してないな…。中学の」
「うるさい!まぁ…えっとその」
「事情は分かるぜ。ま。とりあえず又々宜しくなっ!んじゃ。行こうぜ。みんな待ってるから」
「うんっ!!」
――そして、再びこの特別な日に再開をした2人の不思議な物語がゆっくりと動き出すのである。
――このハロウィンと言う名の夜空の下で。
END……。
〜後書きコーナー〜
マリオン?「はいっ。この後書きコーナーに代理で頼まれましたマリオンと?」
光雄?「……。」
マリオン「ほらっ!早くっ。もうカメラ回ってるよ。」
光雄「うは?…いやいや。そんな訳で同じく代理の光雄です。今回でのヒロインを演じるかぼちゃ…。」
かぼちゃ「……。」
光雄「いや。つーかこれ。すげーてきと〜な名前じゃね?かぼちゃぁ?パンプキン?ほわぁっ!?」
かぼちゃ「イラッ……ったくよぅ!"ネタ"で悪かったよ。このクソピンク頭っ。ひょっとしたらナニか?このアタシの名前にケチ付けるんか?あ"ぁんっ!!」
光雄「いひっ?」
かぼちゃ「いひってwwそ〜か。そんなに可笑しいんか!このアタシの姿や名前を"バカ"にしてるんだな!!ちと裏まで来て〜な!そのお気に入りな"かぼちゃ"300個食わせたる!」
光雄「へっ?さっ3びゃ?無理無理むりっす。つかアンタ何故途中から関西弁にぃ?中の人。まさかっアネゴっ!"紫●"か?」
光雄「ひぃぃ〜…紫●怖いぃぃぃ……。」
◇◆
マリオン「はれれ?光雄にパンプキンさんはっ?」キョロキョロ。
マリオン「はわわ(汗)…。突然の皆様不在で。終了しますね。」
健「何か俺…。何げに出番がw」