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竜の旋律  作者: シキ
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オムライス

お久しぶりです。

なんか第1話の前書きに本文が、本文に別の話の設定が入ってたのに気づき一気に書く気うせてましたシキです。

とりあえず消しちゃうのもなぁーと思い、どちらの設定も生かせるように考えています。ということで、再起スタート!(ああ・・・あらすじと全然違う話になりそう)

クライスは、家族と共に夕食の席についていた。


一日の仕事も終わり、晩酌をする父親。

せっせと夕飯の支度をしていた母もサラダを机の上に運び終えると席につく。

母の隣では光竜のリーンがスプーンを片手にキラッキラした瞳で目の前のオムライスを注視している。

クライスも自分の前に置かれているオムライスに目を移した。


はぁ・・・卵がとろとろしている。うまそう。


そう、これは一種の現実逃避。

しかしオムライスに罪はない。

たとえ、2者から鋭い視線を投げられていても・・・オムライスの魅力にはかなわないっ!


「お兄ちゃん。私の聞いてるの?」


妹のティファがなんか言っている。


「ねぇ、お兄ちゃんってば!!」


妹よ。それどころではない。この黄金に輝く卵をみよ!

なんてことも言えず、クライスは妹に目を向けた。



「なんだよ、ティファ。」


「なんだよ、ティファ。じゃないわよ!さっきから無視してくれちゃって!」


いやだって、ティファさん。あなた、同じセリフしか言わないじゃないですかー。


「なんで竜と契約しなかったの!?」


ほらきたー。想像ついちゃったもん、お兄ちゃん。


半ば、キャラ崩壊寸前のクライスに今度は反対側から声がかかる。ブレゼだ。


「そうだぞ!クライス。なんで契約の儀式やらなかったんだよー!」


クライスは、ティファとブレゼの顔を交互にみて、結局ブレゼのほうをみて答えた。


「だって俺はブレゼを愛しているから!ブレゼ以外考えられないんだ!」


ブレゼは一瞬唖然とし、どんっと拳を机に叩きつけた。


「クライス、ふざけるなっ!俺は真面目にきいてんだぞ!」


机が揺れた拍子にお皿が飛び上がり、それまで我関せずとばかりにオムライスを見続けていたリーンの瞳がこちらに向けられる。


「ブレゼ、行儀悪い。机、たたくな。オムライス、こぼれる。」


いつもの穏やかなリーンが、高圧的な態度でブレゼに話かける。

しかし、熱が上がったブレゼに効き目はない。


「リーンは気にならないのかよ!クライスが俺らと契約しない理由!俺らがどれだけ人の子等と契約をのぞんでると思ってるんだ!リーンだって、そうだったろ!?」


リーンは未だ握っていたスプーンを机に置くと、首をかしげた。


「そうだったかしら~。とくに私は、歌えればどこでもいいの~るらら~」


そして、るらら~と歌が食卓へ流れ始める。

ブレゼは、リーンを睨み付けた。


「リーン・・・お前。その気持ち悪いしゃべり方やめろ。」


そして、ひとつ大きく息を吐き出すとイスにきちんと座りなおしクライスへと顔を向ける。


「熱くなって悪い、クライス。でも分かってほしいんだ。竜界には人と共に暮らすことを心待ちにしている子竜がいっぱいいる。クライスがしたことは、そんな心待ちにしてる子竜のチャンスを減らすことなんだよ。竜界が住みにくいわけじゃない。でも人間と共に暮らした年配の竜の話をきくと自然と夢を抱くんだ。俺もそうだった。だからアッシュに出会えて凄く嬉しかったし誇らしいんだ。だから、クライス。竜と契約をすることを、そんなに拒まないでくれ。俺すごく寂しいよ。」


いつになく、しおらしいブレゼにクライスは面食らった。そして、とまどった。

だからだろうか。言わないと決めていた本心が漏れてしまったのは。


「寂しい・・・か。俺も寂しいよ。」


それまで、黙って話を聞いていた父親のアッシュがブレゼの頭を撫でながらクライスに語りかけた。


「クライス。立ち向かうのは辛いだろう。不安だろう。苦しいこともあるだろう。でも、今の自分が嫌なら逃げるのはやめろ。寂しいと思うなら、立ち向かっていけ。失敗したときに、また考えればいいと思うぞ。」


しんみりしてしまった食卓。まるで時間がとまってしまったような・・・。


そこへ母親の柔らかな声が再び時間を動かすように降り注いだ。


「さっ!ごはんにしましょうか!ふふふ。さめちゃうわよ。」


それに一番に反応したのがリーン。


「やったわ~るらら~。ついに~。オムライス~ちゃん、いただきま~す。」


そして一口、口にいれると、とろけてしまいそうな笑顔を浮かべる。


「るらら~。一仕事した後のオムライスは格別ね~。おいしーい。」


そこへブレゼが食いつく。


「リーン、今日は仕事してねーだろうが。」


「るら~。あら、誰のお陰でブレゼの気持ちを伝えられたと思ってるの~」


その言葉に、ブレゼはハッっとした顔をしてリーンをにらみつけた。


「リーン、お前。おれに精神作用のある竜術つかったな!?」


リーンはスプーンをくわえると、にっこり微笑んだ。


「だって、あのままだとオムライスさめてたもの~るらら~」


そして、それを気に入らなかったブレゼがギャーギャーとわめき、今日もいつもと変わらない煩い食事へともどっていくのだった。


クライスの心が、変化しながら。








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