表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢レティシアは怒っていた  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/8

第8話 噂戦争

断罪アカデミーの講義室。


朝から学生たちは少し緊張していた。


昨日の授業で、帝国の令嬢カサンドラが圧倒的な観察力を見せつけたからだ。


教室の空気はどこかピリついている。


 


レティシアは黒板の前に立った。


チョークを持ち、静かに文字を書く。


 


噂戦争演習


 


学生たちがざわめいた。


 


「……噂?」


「戦争?」


 


レティシアは振り向く。


 


「社交界において」


 


「最も危険な武器は何か」


 


誰も答えない。


 


レティシアは言う。


 


「噂です」


 


教室が静かになる。


 


「噂は証拠より速く広がり」


「真実より強く人を動かします」


 


そして課題を告げた。


 


「本日の演習」


 


「嘘の噂を」


 


「学園全体に広めてください」


 


沈黙。


 


学生たち


「え?」


 


「それ授業?」


 


「やっていいの?」


 


王子アルフレッドが後ろで呟いた。


 


「この学校ほんとに大丈夫か」


 


レティシアは平然としている。


 


「制限時間は一時間」


 


「開始」


 


その瞬間。


教室が一斉に動いた。


 


学生たちは走り出す。


廊下へ。


中庭へ。


食堂へ。


 


断罪アカデミーは一気に騒がしくなった。


 


最初に動いたのはフィオナだった。


 


赤い髪の少女は講堂の中央に立つ。


 


そして大声で叫んだ。


 


「大ニュース!」


 


学生たちが振り向く。


 


フィオナは腕を広げる。


 


「第一王子アルフレッド様!」


 


「婚約決定!!」


 


一瞬の沈黙。


 


次の瞬間。


 


「えええ!?」


 


ざわざわ。


 


フィオナはさらに演出を加える。


 


「王宮からの極秘情報!」


 


「相手は――」


 


わざと間を置く。


 


「秘密!」


 


学生たちは完全に食いついた。


 


「誰だよ!」


「どこの令嬢!?」


 


噂は一瞬で広がった。


 


廊下。


食堂。


中庭。


 


あちこちで同じ話が出ている。


 


一方。


 


リリスは別の方法を使っていた。


 


彼女は数人の学生を集め、小声で言う。


 


「知ってる?」


 


「この学園」


 


「地下牢があるらしい」


 


学生


「え?」


 


リリスは真顔で続ける。


 


「悪役令嬢用」


 


「レティシア様が使う」


 


学生たちが青ざめる。


 


「怖い!」


「ありそう!」


 


噂はじわじわ広がる。


 


リリスは満足そうだった。


 


「悪役令嬢の基本です」


 


その頃。


 


レオンは机に座っていた。


 


紙。


インク。


 


彼は真剣に記事を書いている。


 


完成したのは――


 


新聞。


 


タイトル。


 


王子婚約報道の真相


 


内容は噂を分析した記事。


 


証言付き。


 


証拠付き。


 


学生たちは記事を読んで言う。


 


「これ本当っぽい」


 


噂はさらに広がった。


 


その頃。


 


王子アルフレッドは頭を抱えていた。


 


「なんで俺が結婚してるんだ」


 


 


しかし。


 


一時間後。


 


最大の混乱が起きた。


 


廊下で誰かが叫ぶ。


 


「聞いた!?」


 


「王子退学だって!」


 


学生


「え!?」


 


「本当に!?」


 


その噂は爆発的に広がった。


 


中庭。


食堂。


講義室。


 


全員がその話をしている。


 


王子本人の前で。


 


王子


「俺ここにいるぞ!」


 


しかし誰も止まらない。


 


噂は止まらない。


 


王子は怒鳴った。


 


「誰だこんな噂流したの!」


 


教室に戻ると。


 


レティシアが結果を確認していた。


 


「では」


 


「誰が王子退学の噂を作りましたか」


 


沈黙。


 


学生たちは顔を見合わせる。


 


「俺じゃない」


「私も」


 


誰も手を挙げない。


 


そのとき。


 


後ろの席から声がした。


 


「私よ」


 


カサンドラだった。


 


王子が振り向く。


 


「いつやった!?」


 


カサンドラは静かに答える。


 


「何もしてないわ」


 


沈黙。


 


王子


「は?」


 


カサンドラは言った。


 


「噂を作る必要はない」


 


「流れを作ればいい」


 


学生たちが注目する。


 


カサンドラは説明した。


 


「まず」


 


「王子が最近元気ないと言った」


 


「次に」


 


「王宮から呼び出しがあったと言った」


 


「最後に」


 


「何か問題を起こしたのでは?」


 


そこで止めた。


 


学生たちは息を呑む。


 


カサンドラは言う。


 


「続きは」


 


「人が勝手に作る」


 


沈黙。


 


レオンが呟く。


 


「……噂の誘導」


 


レティシアは少しだけ目を細めた。


 


そして言う。


 


「高度です」


 


カサンドラは微笑んだ。


 


「でしょう?」


 


王子は椅子に座り込む。


 


「この学校」


 


「怖すぎるだろ……」


 


レティシアは静かに言った。


 


「これが」


 


「社交界です」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ