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悪役令嬢レティシアは怒っていた  作者: 南蛇井


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第5話 最初の授業

断罪アカデミー。


朝の中庭は、奇妙な緊張感に包まれていた。


白い石の校舎。

整然と並ぶ窓。

そして中央の講義棟。


その前に、第一期生たちが集められている。


約三十人。


貴族の子女。

平民の学生。

見た目からして変わり者も多い。


 


ざわざわ。


 


学生たちは小声で話していた。


 


「本当に授業やるんだ」


「断罪って何勉強するんだ?」


「法律とか?」


 


そのとき。


講義棟の扉が静かに開いた。


 


レティシア・グランベル。


 


黒いドレスのまま、ゆっくり歩いてくる。


学生たちの視線が一斉に集まった。


 


レティシアは壇上に立つ。


 


そして言った。


 


「おはようございます」


 


静まり返る中庭。


 


「本日から」


 


「断罪アカデミーの授業を開始します」


 


学生たちは少し緊張している。


 


レティシアは黒板に文字を書いた。


 


第一授業


 


チョークの音が響く。


 


書かれた言葉。


 


嘘観察


 


学生たちがざわつく。


 


「え?」


「何それ」


 


レティシアは振り向いた。


 


「断罪において」


 


「最も重要な能力は」


 


「嘘を見抜くことです」


 


一人の学生が手を上げる。


 


「どうやって見抜くんですか?」


 


レティシアは答える。


 


「観察です」


 


そして指をさす。


 


「あなた」


 


学生がびくっとする。


 


「今」


 


「右手を三回触りました」


 


学生が慌てて手を引っ込めた。


 


「え?」


 


レティシアは言う。


 


「人は嘘をつくと」


 


「無意識の動作が増えます」


 


学生たちがざわざわし始めた。


 


「怖い」


「全部見られてる」


 


レティシアは続ける。


 


「次」


 


黒板に書く。


 


噂戦争


 


学生


「???」


 


レティシアは説明する。


 


「社交界では」


 


「噂が武器です」


 


「真実より速く広がる」


 


一人の学生が聞く。


 


「それを勉強するんですか?」


 


レティシア


「はい」


 


「今日の課題です」


 


学生たちは少し期待している。


 


レティシアは言った。


 


「今から」


 


「この中の誰か一人の噂を」


 


「三十分で学園全体に広めてください」


 


沈黙。


 


学生


「え?」


 


「え??」


 


「それ授業!?」


 


レティシアは真顔だった。


 


「噂の広がり方を理解しなければ」


 


「断罪は扱えません」


 


学生たちは完全に困惑している。


 


そしてレティシアは黒板に三つ目を書く。


 


断罪マナー


 


学生


「マナー?」


 


レティシアは真面目に言った。


 


「断罪にも礼儀があります」


 


そして言う。


 


「例えば」


 


「証拠なしで告発するのは」


 


「非常に失礼です」


 


学生たちが笑いそうになる。


 


そのとき。


 


講義棟の後ろの扉が開いた。


 


一人の青年が入ってくる。


 


学生たちが振り向いた。


 


そして。


 


一斉にざわめいた。


 


「え?」


「王子?」


 


第一王子。


アルフレッド。


 


王子は少し気まずそうに言った。


 


「……聴講生だ」


 


さらにざわめきが広がる。


 


「王子が学生!?」


「断罪されるの?」


 


王子は頭をかいた。


 


「昨日」


 


「レティシアに言われた」


 


そして小声で言う。


 


「断罪を理解しろって」


 


学生たちが笑いをこらえている。


 


レティシアは冷静だった。


 


「王子も学生です」


 


「特別扱いはありません」


 


王子がため息をつく。


 


学生たちの視線が集まる。


 


そのとき。


 


レティシアが静かに言った。


 


「覚えておいてください」


 


学生たちが注目する。


 


彼女はゆっくり言った。


 


「ここは」


 


少し間を置く。


 


「学校ではありません」


 


学生たちが息をのむ。


 


レティシアの声は静かだった。


 


「断罪を学ぶ場所です」


 


風が中庭を吹き抜けた。


 


学生たちはまだ理解していない。


 


この学校が。


 


どれほど危険な場所になるのかを。


 


そして――


 


その中に。


 


王国史に残る問題児たちが


 


すでに紛れ込んでいることを。

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