12月21日(金)#2
「たびたびすみません。もう一度お話をお伺いさせていただけますか?」
黒川と薫が訪れたのは、事件現場の隣人、神谷悠真の家だった。
「…またですか。わかることは以前全てお話ししましたよ」
神谷は以前と同様、警察の訪問を疎ましく思っているようだったが、素直に扉を開き話を聞く体勢を作ってくれた。
「ありがとうございます。お隣の三浦さんとはあまり親しくなかったんですよね?」
「はい、たまに顔を見る程度でした」
「部屋に上がったりしたこともないと」
「そうです」
「お隣から物音を聞いたのは何時ごろでしたっけ?」
「夕方です。時間までは分かりません」
「言い争いのような声や大きな物音は耳にされていない?」
「前もそう言ったと思います」
「すみません、確認ですので。夕方に耳にした音はどんな音でしたか?」
「どんな音と言われても…」
神谷は焦れたのか、どこか落ち着きのなくなってきた様子で応じた。黒川は淡々とメモを取りながら質問を重ねる。
「大きいとか小さいとか、何か覚えていることがあれば教えていただきたいんです」
「そんなに覚えていることはありません。ただテレビの音が続いていて迷惑だなと」
「テレビの音ですか?」
「もういいでしょう。今日はもうこれで」
そういうなり神谷は無理やり扉を閉めた。あっけに取られる黒川と薫に鍵をかける音が届いた。
「怪しいですね」
薫がこちらに顔を向けた。
「ああ、令状の準備をしてくれ」
それだけ告げると黒川は薫とともに神谷の部屋の前を去った。




