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依頼調査

送られてきた遺体の画像が、たった今名前が一緒だと確認したばかりの“近藤智史”とは違う顔だった。

警察も調査段階だろうし、まだ本当は見えないがこちらとしては遺体より近藤の調査だ。時臣はそのために仕事上で付き合いのあるヤクザの飛田へと連絡を入れる。

「誰だこれ」

「今送られて来たんです。酒井さんが追加情報って。これ『近藤智史』の遺体の顔だって言うんですけど…」

 目を瞑り、毒殺の影響で肌がどす黒いものの時臣が持っている画像の近藤智史とは全く違う人物だった。

 確かに顔立ちは似てはいるが、知っている近藤よりは顎が張っていて男らしい印象だし、眉も濃く何より唇が厚い。そして、髪が金髪だ。

「捜一は何を根拠にこいつの身元を定めたんだ?」

「持ち物らしいですよ。ちゃんとリフォーム会社『IKENO』の社員証持っていたみたいだし」

「免許証とかは?」

「さあ、それはここではわからないですね」

 社員証が出た以上、警察もこの写真を持って会社には行っただろうに、何故気づかないんだ?それともまだ行く前か…。

「顔立ちは似ている気はしますよね。金髪も、失踪中にいくらでもできるし、眉や顎の違和感は…そんなに人って他人の顔覚えていない感じでスルーされてしまうんでしょうかね…」

 探偵だから違和感が判るのかもしれない、と思うと素人目ではなかなか見られない。

 見慣れた会社の同僚もわからないほど似ているだろうか。

「悠馬、ちょっと来て」

 時臣が未だソファでぼんやりしている悠馬を呼んだ。

「へ〜い、なんですかぁ?」

 ぼんやりした返事をして、クラゲみたいに歩いてきた悠馬にスマホと引き出しから出した写真を並べて見せる。

「同一人物に見えるか?」

「え?ああ〜見えると思えば見えますし…見えないと思えば見えないような…髪色とか髪型違うだけで違う人に見えますからね。そうさせようとしている風にも見えます」

 確かに金髪なだけで、髪型も…多少は似ている気はする。近藤の方がきちんとはしているが。

「え?じゃあこれは、本当の近藤さん??」

 唯希が2枚を覗き込んで眉を寄せる。顎とか、偽物の方が男らしい気がするんだけどなぁ…と唯希は殊更じっと見る。

「そうとも言えるし、そうじゃないとも…」

「わかった、ありがとうな悠馬」

 デスクに向き直って、今スマホに送られて来たものを自分のパソコンに取り込んだ。

 言われた悠馬は、またクラゲのようにフヤフヤとソファに向かったが、

「あ、ちなみにスマホの方の画像は、この間お前が見つけた仏さんだ。よかったな、はっきり顔が見られて」

「え!?」

 そう言われて動きを止めた。悠馬の顔が青ざめて唯希の顔と時臣を交互に見回す。

「い…今の…シンダヒトノカオ…?」

「そうなのよーごめんねこれしか画像なかったから。そうかぁ…素人目にはそう見えるのか…勉強になったわ…じゃあ両方の線を探さないとなのね…」

 ふむふむ、とうなづきながら唯希(いぶき)もダイニングテーブルへ戻り、時臣もパソコンに入力してからその後どこかに電話をかけ始めたりして、青ざめて硬直している悠馬は誰にも構われずにショック状態のまま放置されていた。


「送った画像見てくれたか?」

 相手が電話に出た途端、要件から入る。そんな気心知れた相手は、等々力組若頭

飛田(とびた)しかいない。

『ああ、見たけどこれなんだ?生きてるような顔に見えねえんだけど。新しい趣味か?』

 毎度なんか言わないと気が済まねえのかなこいつ…と一瞬スマホを見つめてしまうが、

「お前がそろそろその辺に目覚めると思って…な訳じゃねえわ。そいつ知らねえかなって」

『この顔じゃなあ…顔色も悪いし、生きてねえしじゃあ…』

 少し間が開くのはスマホを見てくれてるからだと信じたい。そのために組事務所の電話にかけたのだから。

「そいつ、近藤智史って名乗っててな、IKENOっていうリフォーム会社の社員らしいんだが…」

『IKENOの近藤さんなら知ってるぜ。でもこんな顔だったかな』

「マジか。この画像のやつは近藤じゃねえのか?」

『いや、似ちゃあいるんだがな…金髪だしこんな派手なイメージじゃねえな。うち主催のバカラにたまにくるんだよ。ありゃあボーナス入った時とかに来てるんだろうな。綺麗な遊び方だよ』

 それで、ギャンブルの噂が立ってるんだな…競馬とかもやってそうだな…時臣は画面に調査書類を開き、見ながら話を続ける。

「じゃあ、画像の男には面識がないんだな?」

『ああ…ないね。近藤さんと似てるなら尚更記憶には残ってるはずだし』

「それもそうだな。わかったありがとう。あ、それと知ってる範囲でいいんだが薬売りは近藤は関わってないか?」

『いや、あの人あんだけ綺麗に賭博関係遊んでるとこ見ると、そういう不味い仕事はしないと思うぜ。そう言うやつは守るもの持ってんだよ」

 ふむ…そう言われると、恋人の心配様もすごかったと思う。

「そうか、わかった。急に悪かったな。ありがとう」

『いやいいさ。また飲みにでも行こうや』

「仕事が被ったらな、じゃ」

 素っ気なく切って、時臣はスマホを置く。

 一方勝手に切られた飛田の方は、

「お前と仕事が被るわけねえだろ。被らないなら被せていくまでだけどなぁ…」

 などと不穏なことを言って、こちらもスマホを内ポケットへと仕舞い込んだ。飛田にとって時臣は、少し気になるおっさん…な感じだ。

「俺もバカだねえ」

 そう呟いて、飛田はー関わっちゃおうかなーなどと笑って立ち上がった。


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