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おばさまたちの証言

 次の日、女性の方がいいだろうと言うことで唯希が(女性じゃないけど)午後5時に上がるグランドホテルの清掃員のおばさまを張っていた。

 裏口から年配の女性が数人出てきて賑やかに話をしていたが、何やら2、3人が一緒に行動をするのか、もう2人と通りでふたつにわかれた。

「私美味しいところ見つけたのよ〜こんな都心なのに安くて美味しいの」

ー食事に行くのね…お店に入る前に話聞けないかなぁー

 唯希はさりげなく後ろを歩きながら、話しかけるタイミングを伺っている。

 が、しかし、前を歩いていた3人がいきなり振り返り、

「私たちに何か用でもあるの?」

 下手くそな尾行がバレていたらしかった。こうなったら仕方ない。

「あ…あの、少しお話し聞きたいことがあって…」

 迫力に圧倒されて、いつもの強気が出せずにモゴモゴとそういう唯希に、おばさまたちは唯希を上から下までじろりと眺めた後、

「化粧品ならいらないわよ」

「宗教もお断り」

「スカウトだったらお話し聞くけど?」

 といっぺんに捲し立てられた。

「えっと、こちらがちょっと聞きたい事あるだけなので、3分ほどお時間を…」

「いただけないわよ?」

ーえ〜〜こわいいー 

 仕事終わりで髪を後ろにきっちりとシニヨンに言ったおばさまがきっぱり言ってきた。

 唯希をもう一度上から下まで見て

「めっちゃ明るい茶髪、前が大きくあいたインナー、白い上着、太もも半分のハーフパンツ、靴は歩きやすいよう&すぐすり減るからコンバースの厚底?カタギじゃないでしょ」

 えええ〜…唯希はそう言われて、えっと探偵ってカタギ…じゃ無い気もするけど、犯罪するわけでもないし…ええと…

 おばちゃん3人位から詰め寄られておごおごしていると、後ろから

「千代子さんじゃないすか〜」

 と能天気な大男が現れた。時臣だ。

ーえ!ボス?来るなら来るで最初から…ー

「あら!時ちゃんじゃ無い。この間ぶり」

 シニヨンが、唯希の時とは全く違う顔で時臣の前に跳ねた。

ー今跳ねたよね…ー

「うん、この間はありがとうな。助かったよ」

 他2人のおばちゃんが、だれ?とか何?とか言ってくるが、シニヨンはこの人知り合いなのよ〜かっこいいでしょ?

ーこの人か…従業員名簿持ち出したのは…チクってやろうかしらー唯希はあからさまに態度を変えたおばさまに、メラメラとした視線を送るが全くわかってはもらえなかった。

「どうしたの?今日は。時ちゃん」

「聞きたいことがあってね、いいかな?時間取らさないよ3分くらい」

「ここでいいなら」

「ん、ここでじゅうぶん。この子見たことない?」

 時臣はジャケットの胸ポケットから金井菜穂の写真を取り出して、3人に見せた。

「ん〜私たちお客さんの顔はあまり見ないようにしてるのよね。それにあまりお客さんいる時に表には出ないし…」

 写真を回しあって見ていると、1人のパンチパーマが

「あ…もしかしてこの子…」

 と反応をくれた。

「知ってるんですか?」

「多分この子だと思うのよ。髪がもう少し短かった気もするんだけど、私お客様が床にジュースこぼされたと聞いて、清掃に出向いたの。その時その部屋に行くまでの途中でね、ドアを叩いて『ごめんなさい、入れてください、おねがい』って言ってる子がいたのよ。その子に似てるわね」

 時臣と唯希は震えた。

ー繋がったかー

「間違いないかな」

「もう1ヶ月くらい前の事だから、はっきりと間違いはないとは言い切れないけど、うちのホテルではめずらしいことだったからね、びっくりしてつい顔も見ちゃって。この子な気がするわ〜」

 写真を手に取って、パンチパーマは首を傾げている。

「中にいた人物は見てない?」

「うん、私が通り過ぎて10歩くらい後に後ろから『バカ!大声出すな!帰れ!』って偉そうな声がしたけど、顔は見なかったわ。ちょっと怖かったしね」

 菜穂の友達の証言とも一致する。

 近藤と会ってたという確証はないが、グランドホテル常連の近藤。冷たい彼氏。それと付き合っていた菜穂…決めてもいいんじゃないか…。

「うん、ありがとう皆さん。大変助かりました。これ、お礼と言っちゃなんだけど、お食事券。多分都内ならどのお店でも使えるはずだよ。今からお食事だったら、使ってやって」

 おばちゃんの背丈に合わせてかがんだ時臣は、食事券1万円分を手渡してニコニコと笑っている。

「ええ〜〜いいの?ほんとに?ありがとう〜〜〜今からご飯行くところだったのよ〜助かる〜〜」

ーお食事券いちまんえん…今月のボスの取り分から引いとこ…ー 時臣の後ろで取り敢えずニコニコとしてた唯希におばちゃん達の目がゆき、

「あの子は?」

 と時臣に聞いてくる。

「俺の助手だよ。怪しむよね。でも優秀な子だからこれからもよろしくね」

ーやだボスったら、さっきの一万円見逃してあげるー 

「助手さんだったんだね、ごめんね〜圧かけて」

 自覚あったんだ…

「いいええ」

 なんとか笑顔のまま取り繕って、手を顔前でペラペラと振った。

「今度泊まりに行くよ、ホテル」

「あたしと泊まる?」

「千代子さん旦那さんいるでしょ〜」

「やだ、ただ泊まるだけよぉ、何考えてるの時ちゃん、やらしい〜」 

 そんな和やかにやらしい話してる場合なのかしら…すごい情報手に入れたのに。

「ボス〜行きますよ」

 腰に両手を当てて時臣を呼ぶ。

「へいへい、んじゃね、これからを楽しんで〜」

 またね〜と手を振り合っておばちゃん達と別れた。

「今の出来事のことは何も言いませんけれども!重要な証言得ましたね」

 一緒に歩きながら、前を向いて話をする。

「確証ではないけど、ほぼ確定でもいいんじゃないかなとは思う」

 しかし、あと2、3証言が欲しいところだ。できれば近藤と一緒に居るとかそう言う奴が…

「まさか近藤と金井菜穂がそうだったとはねえ…可能性の域は出ませんけど。まあ情報としては良かったのかもですね。欲張らないで、今日はこれで…」

 と唯希が言いかけた時、唯希のスマホがなった。

「酒井さんだ」

ーなんで酒井は毎回俺じゃなく唯希にかけてくるんだよ…。男だって教えてやるかなー

 電話を受けている傍で、イラっとしながらポケットに手を入れる。

 唯希は通りの脇により、壁際で話をしていたが、ついてきていた時臣の顔を目を見開いて見たかと思うと

「代わってください」

 とスマホを渡してきた。デコデコした機体を受け取ると

「お前さあ、代わるんなら最初から俺にk」

『金井さんが…』

「あん?金井さんがどうした?」

『金井さんが影山のアパート付近を彷徨いていたと言う証言が取れました』

「あ?金井さんが?」


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