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【長編版】 吹奏万華鏡0 打楽器ソロコンテストの章  作者: 幻創奏創造団
古叢井瑠璃 打楽器ソロコンテスト編
6/15

【Ⅴ】 マルチパーカッションの章

マルチパーカッションは、複数の楽器をたった2人で演奏する形態のこと(※本作は)を言う。

まず、2人がやることは基礎打ちだ。

とん、とん、とん、とん、とん

基礎打ち用の台で、まずはテンポよく打つ。

「優愛お姉ちゃん、何でこんなことするの?」

「…色々な楽器を叩くけれど、やっぱり基礎打ちしておかないと、大変だからね」

「大変?」

その時、優愛がメトロノームを止めた。かちっ!という音が楽器室に響き渡る。

「…それじゃあ、今回演奏をする曲だけど…」

すると真新しい紙が、目の前に出される。

「だんしんぐすぷらっしゅ?」

「うん」

ダンシングスプラッシュとは、吉岡里菜作曲のパーカッションソロ曲だ。この曲は難易度が高いので、ふたりでやることになったのだ。

「ダンシングスプラッシュは、本来ソロ曲なんだけれど…」

そう言って彼女は、楽譜を手にする。

「…じゃあ、楽器を集めてみますか」

そう言って、奥の薄汚れたホワイトボードに楽器の名前を書き出していく。

全て書き終えるまで、瑠璃はずっと優愛の手元を見ていた。早く太鼓をやりたいと、目を煌めかせながら。

「いいかな?」

優愛が首を傾げるようにして訊く。

「了解しましたー!」

すると瑠璃は言われた通りの楽器を、空いた空間に置き始めていた。体が小さいというのに、軽々と持ち上げていた。

「…瑠璃ちゃん、腕の筋肉凄いのかな?私も筋トレしようかなぁ…?」

対照的に、少し重いと感じた優愛は、そんな言葉を溢していた。

「大丈夫だよ。私は筋トレとかしてる訳じゃないよ」

「えっ?」

本当に瑠璃は筋トレをしていないのか?優愛は少し疑惑の視線を向ける。

「…ちょっと昔ね」

「?」

しかし、今は言えない、と瑠璃は楽器運びに集中し始めた。


揃った楽器に、優愛は資料通りに形成する。

「優愛お姉ちゃん、シンバルはどこ?」

「…ここかな〜」

「了解!!」

瑠璃は楽器を叩きやすい位置に置いた。

「…じゃあ、まずは最初の方から。ここはクレッシェンドするようにやってくよ」

「はぁい!」

瑠璃は優愛と同じメーカーのスティックを握った。学校の備品だが、一方の優愛は私物だ。

とん…とん…とん…とんっ…とんっ…とんっ!!

優愛が手本を見せるように叩く。しかし、瑠璃は腕を主軸にスティックを振る。

これは駄目な例だ。


次にバスドラムだ。バスドラムはペダルで踏むものを使用する。早速、瑠璃は右足をペダルへ突っ込んだ。

「これ、踏むんだよねー。私、好きなんだ」

「い、良いことだよ」

優愛はそう言って、瑠璃を見守る。

瑠璃は適当にバスドラムを踏む。彼女の細い太ももが揺れる度、

どぉん!!どぉん!!どぉん!!どぉん!!

とんでもない轟音が響く。その音は空気を一斉に引き締める。彼女の右足に合わせ、フットペダルが勢いよく上下する。

いかにも破壊少女のようだった。


ズカズカと踏み込む瑠璃は楽しそうだが、ペダルを当てられた皮は、悲鳴のような唸りを上げている。

「ち、ちょっと太鼓が可哀想」

跡を気にした優愛がそう言うと、瑠璃はビクッとしながら足を止めた。

「ごめんなさい」

そして、泣きそうな顔になりながら謝る。しかし優愛は怒らない。

「…大丈夫だよ。でも強いかな。そこまで踏まなくても、皆に聴こえるからね」 

「うん!」

「…まぁ、こんな感じかな」

そう言って優愛は、ペダルを押し出すように踏んだ。

どん!どん!どん!どん!どん!どん!

何度も、何度も、お手本のように…見せつけるように踏む。

「…わぁあ」 

「こーんな感じ」

すると瑠璃は、優愛を真似るように、そっとペダルを踏み込む。

どん!どん!!どん!!どん!!どどん!!

安定した音だが、音量は未だ安定しない。全く太鼓類をやらせていなかったことが、裏目に出たか。

「う、うーん、音のハリが凄いかな。毎回これだと、強調したい時とかに苦労するよ?」

「うん」



その時だった。

『これじゃあ、ドラム任せれないかもよ』

誰かがそう言って、楽器室に入ってきた。

「か、中北先生!?」

その誰かとは、副顧問の中北だ。

「…ドラム、やってみたい」

瑠璃は先程とは打って変わって、暗そうな表情をする。半年前のような雰囲気になりかけている彼女を心配した優愛は、

「できるよ。その為に今、頑張ってるんだから」

そう言った。

「…そうだよね!私、たっくさん叩いて上手くなる!!」

「…ふぅ」

どこまでも素直で純粋な彼女が、優愛はとても大好きだった。

しかし、このあと…トラブルが勃発するのだ。

読んでいただきありがとうございました!

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次回もお楽しみに――!!





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