【Ⅰ】 再会と過去の章
原作
幻創奏創造団
(原作 吹奏万華鏡シリーズ)
小説家になろう 掲載中
【2025年 茂華町】
茂華町。町民3万人ほどの小さな町だ。小学校は茂華小学校と江逆小学校の2つ。中学校と高校は茂華中学校と茂華高校のたった1つずつと、とても少ない。それでも自然豊かな町で、地域交流も盛んな町だった。
この日は、優月の所属する東藤高校吹奏楽部は休みの日だった。そして、この日は茂華中学校の文化祭の日だった。
そんな訳で優月は今、親友の小林想大と母校の茂華中学校を歩いている。
「…演奏会、終わっちゃったね」
「そうだな」
優月が言うと、想大は名残惜しそうに頷く。
「てか、優愛さんいるんじゃないの?」
「さっき会ったっ、てか連絡してみる」
その時だった。
『瑠璃ちゃーん!』
『優愛お姉ちゃん!!』
聞き覚えのある2つの声。
榊澤優愛と古叢井瑠璃だった。
「…あ、いた」
「…」
しかし想大は少し気まずそうだ。瑠璃と想大は夏祭りまで交際していた。しかし、遠距離恋愛ということが仇となり、半年ほどで恋人関係は終わってしまった。
優月と想大に気付いた瑠璃は、小さく手を振る。前までは大振りに振るはずだった彼女。何だか成長したんだな、と2人は思い、目を細めた。
そんな瑠璃よりも早く、女性がふたりに話しかけて来た。
「…わっ!小倉君と小林君!茂華祭以来ね」
「…お久し振りです!」
吹奏楽部顧問の笠松明菜に、優月は慌ててお辞儀をした。
「演奏、凄かったです」
そして本音をぶつける。
「そ?あそこにいるよ?古叢井さん」
「…はい」
もう知ってた、と言う前に、瑠璃は2人へ突っ込んできた。
「やっほー!」
「やっほー…」
それを優愛は、愛らしいものを見るような目で見つめていた…。
下校後…。
優月と想大、優愛が、学校前の公園で待っていると、瑠璃と凪咲がやってきた。
ちなみに、この公園は瑠璃と想大にとって、思い出の公園だ。
「…やっほぉ!」
「瑠璃ちゃん…」
瑠璃は真っ先に優愛に飛びついた。どうやら凪咲はついでのように、連れてこられたらしい。
「本当に、めっちゃティンパニうまかったよ」
優愛が言うと、瑠璃は嬉しそうに目を細める。
「…優愛お姉ちゃんに、そう言われるの2回目」
「…あ、」
そっか、と瑠璃の笑顔を見て思い出す。
それと同時、黄昏色の光に照らされたあの笑顔が蘇った。
確かに、そんなことがあったな…、と。
「…小倉さん?こんにちは」
一方の凪咲は、優月に話し掛けていた。瑠璃がよく優月の話しをするので、自然と優月が気になっていた。もちろん、奏者として。
「…あ、こんにちは」
優月は、極力柔らかい声で返した。凪咲とこうして話すのは初めてかもしれない。
「…小倉さん、知ってますか?」
「えっ?」
優月が首を傾げる。凪咲の声があまりにも高かった。
「瑠璃…、東藤高校に行くんですよ」
「えぇええ!?」
しかし、1番驚いたのは想大だった。
「…あ、瑠璃の元かの…!?いや、失礼」
凪咲も取り乱した。
(…あははは)
優月は、少しカオスな瞬間を目の当たりにし、苦笑してしまった。
その時。
『…凪咲ちゃーん』
誰かが手を降ってきた。
「あ、久城さんと鈴衛さん」
凪咲は、ふたりの友達に手を振られ、手を振り返した。
オーボエの久城美心乃とフルートの鈴衛音織。
優月の目から見れば、ふたりは今や3年生だった。
(…なんか立派になってるな)
改めて、彼はそう思った。
何だか、2年前を思い出す。
「…」
それは、瑠璃も同じだった。
優愛や優月と想大との出来事は、まるで昨日のことのように覚えている。
――思い出す
あの過去を――
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