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【長編版】 吹奏万華鏡0 打楽器ソロコンテストの章  作者: 幻創奏創造団
古叢井瑠璃 打楽器ソロコンテスト編
2/15

【Ⅰ】 再会と過去の章





           原作

         幻創奏創造団

       (原作 吹奏万華鏡シリーズ)

       小説家になろう 掲載中






【2025年 茂華(しげはな)(ちょう)

 茂華町。町民3万人ほどの小さな町だ。小学校は茂華小学校と江逆小学校の2つ。中学校と高校は茂華中学校と茂華高校のたった1つずつと、とても少ない。それでも自然豊かな町で、地域交流も盛んな町だった。


 この日は、優月の所属する東藤高校吹奏楽部は休みの日だった。そして、この日は茂華中学校の文化祭の日だった。

そんな訳で優月は今、親友の小林想大と母校の茂華中学校を歩いている。

「…演奏会、終わっちゃったね」

「そうだな」

優月が言うと、想大は名残惜しそうに頷く。

「てか、優愛さんいるんじゃないの?」

「さっき会ったっ、てか連絡してみる」

その時だった。


『瑠璃ちゃーん!』

『優愛お姉ちゃん!!』

聞き覚えのある2つの声。

榊澤優愛と古叢井瑠璃だった。

「…あ、いた」

「…」

しかし想大は少し気まずそうだ。瑠璃と想大は夏祭りまで交際していた。しかし、遠距離恋愛ということが仇となり、半年ほどで恋人関係は終わってしまった。

優月と想大に気付いた瑠璃は、小さく手を振る。前までは大振りに振るはずだった彼女。何だか成長したんだな、と2人は思い、目を細めた。

そんな瑠璃よりも早く、女性がふたりに話しかけて来た。

「…わっ!小倉君と小林君!茂華祭以来ね」

「…お久し振りです!」

吹奏楽部顧問の笠松明菜に、優月は慌ててお辞儀をした。

「演奏、凄かったです」

そして本音をぶつける。

「そ?あそこにいるよ?古叢井さん」

「…はい」

もう知ってた、と言う前に、瑠璃は2人へ突っ込んできた。

「やっほー!」

「やっほー…」

それを優愛は、愛らしいものを見るような目で見つめていた…。


下校後…。

優月と想大、優愛が、学校前の公園で待っていると、瑠璃と凪咲がやってきた。

ちなみに、この公園は瑠璃と想大にとって、思い出の公園だ。

「…やっほぉ!」

「瑠璃ちゃん…」

瑠璃は真っ先に優愛に飛びついた。どうやら凪咲はついでのように、連れてこられたらしい。

「本当に、めっちゃティンパニうまかったよ」

優愛が言うと、瑠璃は嬉しそうに目を細める。

「…優愛お姉ちゃんに、そう言われるの2回目」

「…あ、」

そっか、と瑠璃の笑顔を見て思い出す。

それと同時、黄昏色の光に照らされたあの笑顔が蘇った。

確かに、そんなことがあったな…、と。


「…小倉さん?こんにちは」

一方の凪咲は、優月に話し掛けていた。瑠璃がよく優月の話しをするので、自然と優月が気になっていた。もちろん、奏者として。

「…あ、こんにちは」

優月は、極力柔らかい声で返した。凪咲とこうして話すのは初めてかもしれない。

「…小倉さん、知ってますか?」

「えっ?」

優月が首を傾げる。凪咲の声があまりにも高かった。

「瑠璃…、東藤高校に行くんですよ」

「えぇええ!?」

しかし、1番驚いたのは想大だった。

「…あ、瑠璃の元かの…!?いや、失礼」

凪咲も取り乱した。

(…あははは)

優月は、少しカオスな瞬間を目の当たりにし、苦笑してしまった。



その時。

『…凪咲ちゃーん』

誰かが手を降ってきた。

「あ、久城さんと鈴衛さん」

凪咲は、ふたりの友達に手を振られ、手を振り返した。

オーボエの久城(くじょう)美心乃(みこの)とフルートの鈴衛(すずえ)音織(ねお)

優月の目から見れば、ふたりは今や3年生だった。

(…なんか立派になってるな)

改めて、彼はそう思った。

何だか、2年前を思い出す。

「…」

それは、瑠璃も同じだった。

優愛や優月と想大との出来事は、まるで昨日のことのように覚えている。




       ――思い出す

          あの過去を――

読んでいただきありがとうございました!

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次回もお楽しみに――!!





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