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部屋
その後もそのガイドと押し問答しても答えは変わらず。
とりあえず、そのガイドに誘導されてショッピングモール内の個室でバックパックを降ろした。
ホテルのツインルームのように広い部屋で、きちんとメイキングされたベッドも二つある。
「しかしなぜ、このような部屋がモールに……」
部屋にあるテレビをつけてみると、ソロンのいたサトー市東区のような景観を映している。
ような、というのはその映像に人が一人も映っていないからだ。
もちろん、景観映像で人が映らないものはあるだろうが、いくらなんでも市のターミナル駅の真昼に誰一人いないというのは奇妙だ。
CGだろうか?
そもそも、このショッピングモールもそのターミナル駅の近辺に建てられたものだ。
モールに来たのもただ旅の生活用品を買うためであって、別にここが旅の目的地と見当をつけていたわけではない。
それなのに──。
「明日、駅にいってみるか」
テレビを消して、ベッドで眠りにつく。