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初回ガイダンス

「お待たせしました。オダカ市観光ガイドのソクラマと申します。これよりソロン様の案内をさせていただく者です」

その身なりは、よく見るツアーコンダクターのものだった。

「ソロン様、オダカ市は初めてでございましょうか」

「…………」

頭がついていけない。


「どうやら初めてのようでございますね。それでは私がオダカ市を簡単にご紹介いたします。

この都市はご承知のとおり、存在そのものは知られておりますが、ここまでたどりつける御方はじつに少数でございます。

それというのもこの都市の特殊性にございまして──

この都市の設計思想は『イミテーショニズム』を基盤とした後期セクルメンタル・ルネサンス理論に基づいています。

ただし、純粋なその理論ではなく、しょうしょう設計者の思想を交えたものです。

本来イミテーショニズムの思想では模倣とは真理の扉ということわざがございますが、この都市では──」

「オダカ市……オダカ市なのか? ここが……」

ソロンは興奮してガイドにまくしたてた。

「オダカ市については何も知らないんだ!

ただその名前をとある本で知って、

その都市に行きたいがために研究所の内定も捨てて、

さんざん家族や恋人に罵倒されて、

仕事もダークなのもふくめてやって……」

「申し訳ありませんが、お客様の個人的事情は斟酌いたしかねます。

ただし、オダカ市において生活するにあたって、その生活上の便宜のためお客様の特別な事情を考慮することはございます。

そのときは、ご不便のございますつど、ソクラマまでお申し付けください。」

「……生活?」

「はい、お客様はこのオダカ市における住民となるべく、まず市の状況や慣習などのご理解をしていただくため、1ヵ月の新規住民候補として生活修習を受けていただきます。

その次の3ヵ月は新規住民として登録していただき、市の……」

「いやいやいやいや、ちょっとまって……」

慌ててガイドに近づく。

「その、ボクがここの住民として暮らせということ?

いやボクはあくまでこの都市に来てみたかっただけで、べつにここの住民になりたいとはまだ……」

「申し訳ありませんが、この都市にお越しになられたお客様は、もはや元の世界に戻る方法はございません」

「……は?」


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