違和感
ソロンが一番気になっていたのは、サトー市の東区、蕃地6683内のとある1平米ていどの土地だ。
そこはなにもないただの更地なのだが、直感的になにかがおかしいことを感じていた。
なにしろその周りにあるのが──
「ショッピングモールの店内になぜ未舗装の地面?」
奇妙なのは、このショッピングモールにいる者が誰もその謎の更地について認識しないということだ。
インフォメーションに聞いても知らないと言い、さらにはその更地のそばを歩いている人に聞いてもまったく知らぬ存ぜぬのてい。
だが、誰もがその更地を踏まずに避けて通っている。
「わからない……」
ソロンはその更地の土を触ってみた。
少し違和感があった。
「細粒の工業ダイアモンド……?」
ただの砂とは思えなかった。
「わからない……」
みんなー! あつまれー!
ボリューム調整を間違えた突然のアナウンスに、ソロンは驚いて、おもわずその更地に足を踏みこんでしまった。
「あっ」
その瞬間、すべての人が消えた。
ほんとうに、ただの一瞬で、人の存在がすべてなくなった。
ただ目の前を進んでいたベビーカーは、そのベビーカーだけを残して、カートを押していた親も、そのカートに座っていた子もなかった。
状況をのみこめないソロンの前にあらわれたのは──