流星群になろうぜっ! 8
マリア・カナリーとRYU-SAYが歌うのは、あの曲!
ステージにリュウヤ、セイジ、マル、シン、ケイが現れると、大きな声援と拍手が送られた。
セイジ達がスタンバイするのを待ち、マリア・カナリーが言う。
「me and RYU-SAY's first song is CALL NO.114!」
一瞬のどよめきの後、大きな歓声が沸き起こった。その中でセイジの掛け声に続き、RYU-SAYの演奏が始まる。壱星のパートはセイジが代わりに歌う。
「Now I'm wondering I'm wondering just now……」
そこにリュウジが続く。
「Please somebody help me whh〜」
再びセイジのパートの後で美しく伸びやかなマリア・カナリーの声が入ってくる。
「yes, I want to escape…… to somewhere……」
「机の上はいつも落書きだらけで 俺の朝いつも消しゴムで始まる この消しゴムのように小さく小さくなって 俺も消えてなくなればいいのに……」
セイジが歌うとマリア・カナリーが受けて返す。
「When I've seen you, I thought you are thoughtful guy yes…… 」
リュウヤとセイジが時折英語を混ぜながら曲を盛り上げ、ラストは全員が指をL字形にして耳元へ持っていき、コールして曲を締めた。
「you must call soon NO.114!」
「Thank you everybody and thank you RYU-SAY!」
その後、マリア・カナリーは持ち歌の中から「Like a shining shooting star」を歌い、ステージを去って行った。
EARTH HALLも残すところRYU-SAYのステージのみ。リュウヤが客席に向けて言った。
「俺はあんまりしゃべるのが得意じゃねえ。俺たちRYU-SAYがトリだ。お前ら盛り上がる準備はできてるよな?」
観客が拍手と歓声で答えると、
「んじゃあ、始めるぞ。Meteor Shower Fes.にピッタリなのはこの曲しかねぇ。『Rock Starになんかなるもんじゃねぇ』」
RYU-SAYによるラストステージも、トリに相応しい熱狂の中、進んでいった。
一方、MOON HALL では一風変わった盛り上がりを見せていた。MCを務めるのが、なんと人気VTuberなのだ。玄姫やすむ というVTuberは秋本美咲と同じ事務所に所属している。中の人は舞台袖で生配信を行うという前代未聞のチャレンジをしていた。
玄姫やすむは小柄な体に短い金髪、日焼けした肌、じゃらじゃらしたアクセサリーを身に着けている。スタイルはいいが、胸は平たん。声は男声という変わったキャラが受けている。もちろん中の人は男性だが、出で立ちはほとんど同じ。今回はリアルやすむとしてステージでアーティストにインタビューしたりもするため、あえてキャラと格好を揃えているらしい。
「さあ、それじゃ〜、メテオシャワーフェス、始めちゃうよ〜。トップを飾るのはー、この歌姫! 金髪に青い目のお人形さんみたいな顔に似合わずー、歌うのはバリバリの演歌だよ〜。我が社の社長、秋本 美咲さんお願いしま〜す」
金色の裾がヒラヒラと広がった豪華なドレスに身を包んだ秋本 美咲がステージに上がると、伸びのあるこぶしの効いた歌声がMOON HALL中に響き渡る。
「艶姿札幌雪まつり」
「富良野路雪の宿」
など、北海道にちなんだ演歌を次々と歌い上げた。見た目と歌のギャップに観客達も大盛り上がりを見せていた。
「演歌最高ー!」
「美咲ー!」
秋本 美咲は笑顔で手を振りながら舞台を後にした。
MOON HALLは、他の二つの会場に比べて規模が小さい。客席も五百人ほどで、立ち見を入れても千人には満たない。ここはインディーズを中心に、これからメジャーデビューを控えたバンドや、美咲のように個性的なアーティストが名を連ねていた。
昨年出演した歌う蟲ケラやHUN: SOCKが、その後瞬く間に知名度を得て今年はそれぞれが小樽と旭川の大きな舞台で活躍を見せている。そのため、彼等にあやかろうと大勢のエントリーがあり、インディーズとはいえかなり厳選されたアーティスト達が名を連ねていた。
秋本 美咲の次に登場したのは、狐やひょっとこの面を被った個性的なバンド「なんくるないさー」。全員が芸術系の大学生で、先日CDデビューしたばかりのアーティストだ。
ボーカルは着物を着崩した独特の衣装におかめの面を被っていた。琉球の蛇味線を手に、沖縄独特の節回しで「ウチナンチュの子守唄」や、「ハイサイアイヤー」、途中には「エイサー」を取り入れて場を盛り上げていた。
スクリーン上ではエイサーの様子と共に、やすむが踊る様子も映し出されていた。
演奏が終わるとリアルやすむがステージに出て、インタビューも行う。
「北海道の演歌に続いて今度はいきなり沖縄ーな感じにホールがなっちゃいましたね〜。ぶっちゃけ、演奏しづらくありませんでした〜?」
おかめを被ったままボーカルが答える。
「それこそなんくるないさーですね。私たちは私たちのパフォーマンスで場が盛り上がってくれさえすればいいさー」
途端に歓客席からは口笛も聞こえ、「いいぞー」「なんくるないさー」と歓声が沸き起こっていた。
なんくるないさーはまりんあくあの創作です。
今回お借りしたのは、
江保場狂壱様
玄姫やすむと秋本美咲
作品はこちら
「セイレーンに惚れた男」
https://ncode.syosetu.com/n3339ii/
MOON HALLでも、何かが起こりそうです。お楽しみに。
それでは、また二週間後にお会いしましょう!
『歌手になろうフェス』公式様よりイラストをいただきました。柚癒様作です。




