38 流星群になろうぜっ! 4
SUN HALL 、続いて登場するのは……?
キメポーズで笑顔を見せた綺羅めくるに、笑いと声援が送られる。
「ちょっと、今笑ったの誰? めくるはまだまだ現役アイドルだよー、今回はスペシャルな新曲を披露します! はい、拍手ー! ……もっともっと! ありがとーっ! この曲は、フェスに相応しいコラボ曲です。うちの新人アイドルも紹介しちゃうよ、アイちゃんおいでー!」
メガネアイが少し緊張した顔で袖から出てくると、
「こんにちは、皆さん。メガネアイです。よろしくお願いします! 今日は大先輩の胸を借りて精一杯歌いたいと思います」
赤いトレードマークの眼鏡を指で抑えながらそう言ってお辞儀をするアイに、温かい声援と拍手が送られる。
「ちょっと、アイちゃんにだけみんな優しくない? 私には?」
そう言って更なる拍手を求めるめくるの隣に、ギターを外した美桜が出てくる。
「なんか、この間に入ってくの微妙に勇気いるんだけど」
そう言って観客の笑いを誘い、一息入れると叫ぶ。
「次の曲は私とめくる、メガネアイのコラボ曲だよ。もちろん作ったのは、私だー! それじゃあ早速新曲いってみよー、」
「「Bang Bang Bang!」」
めくる達のステージが終わっても、ステージ上には蟲ケラの姿があった。その時、元気のいい声が。
「さあ、ここからは私たちの出番だよ!」
声とともに五人の女の子たちが飛び出してきた。個性的な面立ちの面々が揃ってポーズを決めると、一人ボーイッシュな海原みなもが声を上げた。
「メテオシャワーフェスへようこそ! 私たち、」
「「放課後ロマネスク☆スターです」」
途端に客席からうおおー、と野太い歓声とともに五色のペンライトが光る。
続いてグループのセンターを務める天道陽那多が声を上げる。
「みんな、お待たせー! すっごいステージが続いてるけどみんな元気ー? 大丈夫? ついてこられてる?」
おー! という雄叫びに陽那多がうんうんと笑顔で頷くと、今度は一番年長の比嘉悠亜が言う。
「私たちのファンのみんなー、お待たせー! ここからは私たちが盛り上げて行くよ! それからはじめましての皆さん、こんにちはー! 今日はお暑い中、私たちのフェスにお越しいただきありがとうございます」
するとすかさず美桜が口を挟んだ。
「こらこら、さりげなく自分たちのフェスにするんじゃないよ! 私たち蟲ケラあっての、放課後ロマネスク☆スターなんだから」
「その節は本当にお世話になりましたわ。ご存知の方も多いかと存じますが、わたくしたちのデビューが決まった時に、楽曲を提供してくださいましたのがこちらの美桜さんなんですのよ? 皆のもの、頭が高い!」
美桜に答えたのは本物のお嬢様でもある、妃宮白雪。白雪の声かけにファンが一斉に片膝をつき、頭を垂れると、
「ははーっ!」
と声を合わせる。最後にグループの中で一番背が低く、妹キャラでもある伏見ことりが元気の良い声で言う。
「蟲ケラのお姉ちゃんたちはねえ、一番最初の曲のときにね、お金は要らない、これは私からの応援の気持ちだ、って無償で曲を作ってくれたんだよー、ことり、とーっても嬉しかったの」
最後に再び海原みなもが言った。
「今回は私たちが本当にお世話になっている、歌う蟲ケラさんたちとコラボ出演できることを、本当に嬉しく思います。この舞台に立てた感謝の気持ちも込めて、歌います。聞いてください、まずはメンバー紹介、行ってみよー!」
放課後ロマネスク☆スターのメンバーが円陣を組むように配置に着くと、曲が始まった。彼女たちがライブの始めに歌うこの曲は、メンバー紹介とともにライブを盛り上げる大事なコンテンツとなっている。一人一人のメンバーを、順にメンバーが入れ替わりながら紹介し、本人が歌う。それはコール&レスポンスにもなっていて、最後のフレーズは客席からのファンの声で仕上がるようになっている。
センターにメンバーが立つと、ファンのペンライトの色が変わっていく。客席とステージが一体となれる曲だ。
「待ってたよ、みんなのこと」
「早く会いたかった」
「わたしたちも おんなじ気持ちだよ」
「こっちにおいで 手を伸ばして」
「今日もスペシャルな一日にしてあげる」
五人が順に歌っていく。
「置いてけぼりはのーのー」
「仲間はずれはナンセンス」
「みんな一緒に幸せがいいね」
「私達が君のお星さま」
「願いを叶えてあげるから」
「ようこそ、放課後ロマネスク☆スター!」
最初に中央に立つのは、このグループのセンターを務める陽那多。陽那多が前に立つと、ペンライトの色が赤一色に変わっていく。比嘉が歌い、次に陽那多が歌う。
「きらきら笑顔が世界を救う! 溢れる輝き 太陽の化身 天性のセンター 天真爛漫? ごーまいうぇい! 」
「これがしたい! これもしたい! あ、これも……よおし全部やります! いいよね、やるよね? 猪突猛進 全速前進 止まりません!」
陽那多に続き、客席から声が届く。
「地球を照らせ 君がアマテラス 輝けひなたァァ!!!」
嬉しそうに陽那多が手を振ると、比嘉が入れ替わりにセンターに立つ。さっとペンライトがオレンジ色に変わっていく。
「美しさを身に纏って 優しい歌声が世界を癒やす! 謎多きみんなのお姉さん おっとり? いえいえ武闘派 黒帯です!」
「いざとなったらぁ意外と戦えます 日課は筋トレ 妹たちは護りますぅ! え、年齢ですか? えっとええっと……それは非公開の方向でぇっ」
「ビジュアル担当あなたしか ふわふわの女神 比嘉ねえェェ!!!」
比嘉の紹介を歌うのは白雪。
こうして五人の声がEARTH HALLを席巻し、フェスは更に盛り上がりを見せていくのだった。
今回の歌詞は、
綺羅なみま様の「放課後ロマネスク☆スター」から引用させていただきました。
「放課後ロマネスク☆スター」はこちらから、どうぞ。
https://ncode.syosetu.com/n8548ic/
快く使用を許可してくださりありがとうございました!
本編の方では五人全員のメンバー紹介をご覧いただけます。
次回もSUN HALLでのパフォーマンスをお楽しみいただけると嬉しいです。
それでは、また二週間後にお会いしましょう!
『歌手になろうフェス』公式様よりイラストいただきました。柚癒様作です。




