35 流星群になろうぜっ! 1
いよいよ最終章です。
無事MeteorShower Fes. は開催されるのか?
都内某所にて記者会見が行われていた。フラッシュライトの中心にはリュウヤと壱星、その背後にはお互いのメンバーが揃っている。
壱星がマイクに向かって声を出す。
「それでは今回開催される運びとなりましたMeteor Shower Fes.のスローガンを発表したいと思います。スローガンは、こちらです。『みんなで流星群になろうぜっ!』」
後ろにいたメンバーたちがサッと垂れ幕を広げた。
真っ黒な背景に浮かび上がる真っ白なタイトルロゴの下、今度は反対に真っ白な背景に黒々とした文字が浮かび上がる。
プロジェクト代表の白石がマイクを取った。
「まずは無事フェス開催の運びとなったことに、感謝を述べさせていただきます……」
白石がこれまでの活動への支援に感謝を述べ、コロナ禍を乗り越え無事開催されることになった経緯などを簡単に述べると、
「それでは今回のスローガンについてRiser☆sの佐ノ川谷 壱星さんよりお願いいたします」
と言葉を振った。壱星がマイクを取る。
「俺たちRiser☆s は、現在『いじめをなくそう』というキャンペーンに参加しています。その活動を通して思ったことが今回のスローガンにも繋がっています」
ここで一呼吸入れると、記者達へと真っ直ぐな視線を向けて言葉を繋ぐ壱星。
「一人一人が自分を大切にし、自らが輝く存在であるということ、そしてお互いが輝ける存在であるということを理解していれば、『いじめ』はなくなるんじゃないか。お互いを尊重し合い、お互いが支え合うことで、より大きな輝く存在になれるんじゃないか。そんな思いを込めました。
フェスを開催するには多くの人の支えが必要です。参加するアーティストだけでなく、俺たちアーティストを支えるスタッフ、運営に関わった人、スポンサー、そしてフェスに参加してくれる人、配信を視聴してくれる人。誰もがフェスを支える大切な一員だと思うんです。一人一人が大切で、輝く存在。小さな輝きも、より大きな輝きも中にはあるでしょう。でも、その輝きが全て集まって作られるのが流星群です。Meteor Showerとは流星群のことです。このフェスは、参加する人全員の輝きを集めることで大きな流星群を作ることなんだと思いました。もちろん、今この会見に来られたマスコミの方、視聴されている方、皆さん全員がフェスの関係者とも言えますよね。誰もが輝ける場所、そんなフェスにしたいと思っています」
記者会見を終え、いよいよMeteorShowerFes.は具体的に動き出した。
慌ただしく時は過ぎ、いよいよMeteor Shower Fes.の開催が迫っていた。鑑賞チケットは即完売となり、EEARTH HALL とSUN HALL近くの球場にはパブリックビューイングが設置されることになった。そちらのチケットも瞬く間に完売している。
今回はRiser☆sもRYU-SAYも、もちろん参加アーティストの中に名前がある。
参加アーティストの中にはこの一年で大きく躍進を遂げたアーティスト達がいた。昨年のメテオシャワーフェスでMOON HALLに出演していた綺羅めくる、歌う蟲ケラ、HUN:SOCKは華崎の読み通りブレイクし、綺羅めくるはSUN HALLに、歌う蟲ケラとHUN:SOCKはそれぞれEEARTH HALLへの出演オファーを受けていた。
ところが……。
「何だって? 蟲ケラがSUN HALL出演を希望している?」
『そーなんですよー。コラボ出演を希望されてましてねー、……』
恒例となりつつある月に一度のオンライン飲み会の席で祐介がぼやいた。歌う蟲ケラはれっきとしたロックバンドだが、メンバーのミオタニアンこと山田 美桜は多彩な楽曲を提供できる才能の持ち主で、綺羅めくるのセカンドブレイクも彼女の楽曲提供に依るものであったことは有名な話となっている。この一年の間にも多くの楽曲を提供しており、その枠はV-Bexだけに留まらない。
アイドルグループにも次々と曲を提供しており、今回出演するジストペリドや放課後ロマネスク☆スターも、彼女の作った楽曲を歌うことを表明していた。さらに、新曲として発表される曲を綺羅めくる、メガネアイ、そして蟲ケラのゆいまーること、平澤 唯がコラボして歌うため、SUN HALLでの参加を希望しているということだった。
『そうですね。コロナ禍以前に比べて今は音楽ジャンルの住み分けは難しくなっているかもしれません。アイドルがポップしか歌わないという感じではなくなってきていますよね』
「そうだな。で、歌う蟲ケラがSUN HALLに変更になるとして、その穴を誰が埋めるかってことが問題なのか?」
『そこはね、海外枠で調整してたんですが、Jackalは残念ながらメンバーがコロナに罹患してスケジュールが押しちゃったらしくて来日遅れるということなんですよー。今急遽別口当たってたとこなんですけど、そこにね!』
興奮した祐介が画面に顔を近づける。
「お前、ちけーよ! 何やってるんだよ」
『祐介さん、近い近い』
だが、祐介が興奮気味にまくし立てる。
『とんでもないオファーが飛んできたんですよー! マリア・カナリーがね、出たいって! ちょうどお忍びで日本に来るからコッソリ入れてくれないか?って!!』
「おいおい、まじかよ」
『ええ、本当ですか?』
とんでもないビッグネームの登場に思わず食い入るリュウヤと壱星だった。
最新話までお読みいただきありがとうございます!
フェス開催に向けて慌ただしく動き始めました。
フェスが始まると客演アーティストがどどっと増えて活躍を始めます。
今回はいでっち51号様の「歌う蟲ケラ」からインスパイアを受けた内容となっております。歌う蟲ケラ本編とは少し違った流れとはなりますが、その違いも楽しんでいただけると嬉しいです。
今回登場アーティストの本編はこちらから
いでっち51号様「歌う蟲ケラ」
歌う蟲ケラ ゆいまーる ミオタニアン
メガネアイ HUN:SOCK
https://ncode.syosetu.com/n8206ic/
山崎山様 「小さなジャンヌダルクの凱旋」
綺羅めくる
https://ncode.syosetu.com/n8181ic/
綺羅なみま様 「放課後ロマネスク☆スター」
https://ncode.syosetu.com/n8548ic/
悠月 星花様 「僕のアイドル人生詰んだかもしんない ~ 転校生は僕の運命の歌い手?! 色気あるバリトンからハイトーンまで……アイドル底辺からの下剋上の歌 ~ あれから3年流れて ~」
https://ncode.syosetu.com/n0562ih/
素敵なコラボありがとうございます。それでは、また二週間後にお会いしましょう。
ブクマ、☆、♡での応援お待ちしています。




