2 星の集まり
全国ツアー成功の打ち上げに、加わったのは?
『歌手になろうフェス』参加メンバーが登場します!
今回登場したのは?
それではお楽しみください!
「で、何か用事があったんじゃねーのか?」
リュウヤが水を向けると、壱星が指で涙を拭いながら言った。
「はい。俺たち今日は仕事これがラストなんで、リュウさんの打ち上げに混ぜてもらっていいですか?」
「んなの当たり前だろうが、来い来い。メンバー全員来れんのか?」
「はい。で、俺たちも乗せて行ってもらえますか?」
人気グループの移動には追っかけが付き物だ。自分たちで移動するよりはツアバスで移動する方が目立たないだろう。
「もちろんウェルカムだ」
「ありがとう御座います!」
今宵の宴は賑やかになりそうだ。そう考えていると壱星はきちんと頭を下げて踵を返した。その背にリュウヤは声を乗せる。
「ツアバスで待ってるから慌てずに来い」
はい、と元気よく返事をして去る壱星と入れ替わりにベーシストのシンが顔を出した。
「リュウさん、秋本美咲が来たいってんで、バスに案内します」
「おお、そうか。演歌界のニュースターも来るたぁ楽しみだな」
シンはそのまま秋本のところへ戻っていく。リュウヤはゆっくりと楽屋を出てバスへと向かった。
銀座のクラブ「藍」を貸切にして行われた「RYU-SAY全国ツアー打ち上げ会」は想像以上の大盛況になった。
「藍」の貸切予約はメンバーの名前で取られてはいない。大手フリマサイトの社長大森祐介の名前で入れられている。大森はリュウヤのヘビーなファンであることを自ら公言しており、ツアーの資金調達や運営の協力をバックアップしてくれてもいる頼もしい友人だ。今夜の宴にも遅れて参加してくる予定の彼は、裏方として率先して動いてもくれる。ここ数年は公私ともに世話になっている人物だ。
今回の打ち上げ費用も大森が持つと言ってくれたのだが、リュウヤはそこは丁重に辞退した。もっとも彼が到着すれば高価な酒を次々と入れてクラブを潤すことは言うまでもない。そこはリュウヤもありがたく享受させてもらうつもりだ。
リュウヤがクラブに足を踏み入れた時には、既にスタッフが勢揃いしていた。全国ツアーともなるとスタッフの数もかなりになる。皆の顔には無事やり切った充足感が現れているように見えた。
リュウヤがメンバーとRiser☆s、秋本美咲らを引き連れて店に入ると、一同がわっと湧いて立ち上がった。
「おう、みんなお疲れ!」
「皆さん、お疲れ様でしたー」
「お疲れっす」
「様でしたー」
「みなさん、お疲れさまー!」
リュウヤとメンバーが声をかけると、大きな拍手が起こった。
到着したゲストたちがそれぞれ思い思いの席につくと、リュウヤが生ビールのジョッキを片手に立ち上がる。
「あー、皆知ってると思うが俺はしゃべるのは苦手だ。えーRYU-SAY全国ツアースタッフのみんな、相棒のセイジ、マル、シン、それからケイ。お疲れ。全国ツアーは無事今日のミュージックショーアワーの出演で全て終了した。スタッフ、メンバー、本当にありがとう。いいツアーだった! センキュー」
リュウヤがそう言ってジョッキを掲げると、割れんばかりの拍手が起こる。
「今日は無礼講だ。好きなだけ飲んで騒げ! って言いてーところだが、昨今そのへん面倒くさいんでな、節度を持って飲んで騒いでくれ。今回未成年も参加してるんで、くれぐれもそいつらは飲酒するなよ? それからさせるな。特にメンバー、おまえらわかってるな?」
すると隣にいた金髪ロンゲのセイジがゲラゲラ笑いながら、
「えー? 俺ら常識人ですよー? んなことしねーよな?」
と言った。リュウヤも笑いながら、
「お前が言うと一番信用できねーわ!」
とセイジの背中をバシッとたたく。いてー! と大げさに騒ぐセイジは放っておき、
「とにかく無理に飲ませたり酔い潰れるのだけはやめろ。帰りのタクシーは好きな時に頼め。未成年のタクシー代は俺が持つ。日頃の疲れをこの機会に癒やしてくれ。チッ、こういうのは苦手なんだよ。長くなっちまったがみんな、お疲れ! 乾杯!」
リュウヤは二杯目の生ビールを片手にクラブの中を見回した。既にメンバーも散り散りになり、あちらこちらでいくつかのグループが出来上がっている。和やかに、場所によってはにぎやかに談笑している姿が見られる。スタッフ、メンバー以外の参加者は、まずはアイドルグループRiser☆sのメンバー五人。最初は全員固まっていたが、今は分かれているようだ。そして演歌歌手だが金髪碧眼の見た目を持つ秋本美咲は、ツアーの女性スタッフたちと話し込んでいる。
Riser☆sとは別会社のアイドルグループ、wing guys からも何人か参加していた。こちらはかなり若手のグループながらファン層も厚く不動の人気がある。だが最近、同年代の新星二人組、ジストペリドの人気がすさまじくヒットチャートのランキングを毎回争っているらしい。リーダーの水無月、轟、三国の顔が見える。こちらは三人固まって座っているが、水無月の顔が沈んでいるようだ。
リュウヤはクラブのママである藍を呼んだ。藍はセイジとマルの間で話をしていたが、すぐに立ち上がる。明るい茶色の髪を美しく結い上げ、ぱっちりとした目の涼しい美人だ。着物の裾を鮮やかにさばきながら近付いてきた。
今回登場していただいたのは
江保場狂壱様の
「とある動物園」より 秋元美咲さん
https://ncode.syosetu.com/n8709ib/
そして、悠月 星花様の
「僕のアイドル人生詰んだかもしんない ~ 転校生は僕の運命の歌い手?! 色気あるバリトンからハイトーンまで……アイドル底辺からの下剋上の歌 ~」
より wing guys 今回は名前だけですがジストペリド
https://ncode.syosetu.com/n5201ic/
に登場していただきました。
快くお貸しいただき、ありがとうございます!
また悠月 星花様は、この作品の続編も執筆されており、そちらにメテオシャワーフェスの記載もあります。
そして、いでっち51号様の「歌う蟲ケラ」に、リュウヤと壱星がゲスト出演しております!
https://ncode.syosetu.com/n8206ic/
コラボって楽しいです。これからも続々いろいろな作品からお借りする予定です。お楽しみに!
次回更新は二週間後を予定しています。
それではまたお会いしましょう!