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流星群になろうぜっ!  作者: まりんあくあ


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29/49

28 星は歌う 8

メテオシャワーフェス閉幕。

ラストを飾るのは……

「ご清聴ありがとうございました。この歌は本日より配信開始となります。また、この歌の収益は全額『いじめから守る』活動の支援金として関係諸団体に寄付されることをお伝えします」


 優雅に礼をした後、華咲はそう話し始めた。


「いじめにより傷を負うのは、いじめられた本人だけではありません。ご家族様はもちろんのことですが、今回のようにいじめを受けた本人が自ら命を絶ってしまえば、傍観者であった同じクラスの生徒たちだけでなくいじめの当事者であった生徒たちも少なからず傷を負います。それは彼ら、彼女たちのこの先の人生にも大きな傷跡を残すことになります。もちろんいじめという行為をした報いであり当然のことだと思われる方々もおられるでしょう」


 華咲の言葉は続く。淡々とした表情で言葉を紡いでいく。リュウヤも壱星も黙ってその様子を見つめている。


「私がリュウヤと壱星とともにこの舞台に立つことを決意したのは、私のファンからの訴えがきっかけでした。彼女はいじめをした当事者で、亡くなった彼女と同じグループにいたそうです。彼女もまたそのグループにいるためにRiser☆sのファンであるフリをしていました。グループの中では普段大人しく目立つことのなかった友人が初めてRYU-SAYのファンであることを告白し、仲間に快く送り出される様子を羨ましく思った彼女は、コンサートの帰り道、グループの仲間に彼女は『嘘つき』だと言ってしまいました。その言葉をきっかけにグループ全員が無視をするという行動に向かいました」


「もちろん彼女に友人を死に追いやる気持ちなど微塵もありませんでした。ですがその火はどんどん大きくなり、クラス全体にまで燃え広がりました。彼女にその火を消す力はありませんでした。そして、とうとう友人は亡くなってしまいました。彼女は今も罪の意識に囚われています。そんな彼女を救ったのも『電話相談』でした。誰にも吐き出せない自分の気持ちを吐き出したことで、自分の罪と向き合って生きていく道を選んだそうです」


「いじめの被害に苦しむ人、または関わってしまった人、どちらの心の闇もコールすることで救われるかもしれません。彼女たちのように苦しみ続ける未来を持つ人が一人でも少なくなることを切に願います」


 そこで壱星が口を開いた。


「俺たちのメッセージにどれだけの力があるかはわかりません。ですが俺も、華崎さんも、リュウヤさんも、この話を聞いて何かできることはないかと考え、この歌を送ることにしました。いじめに苦しむ全ての人が少しでも救われることを願って。この歌はCMとして動画配信サービスでも本日から流れることになっています。コール先の電話番号は『こころの電話相談』窓口となっています。CMは三人のバージョンが配信されます」


 そのときスクリーンにRiser☆sのメンバーが映ると、透夜が言った。 


「俺たちRiser☆sもこのSECRETの活動を応援します。まずは三人のCMをこれから一挙に放送しますので、皆さんもご視聴してください」


 そうしてスクリーンにCALL NO.114の曲を使ったCMが三本続けて流れた。それぞれのパートをモチーフにした宣伝で、最後は一人一人が左手をl字形に耳に当て、『今すぐコールしろ』『今すぐコールして』と言ったところで数秒画像が止まり、コール先の電話番号が表示される仕様となっていた。


 CMが終わるとリュウヤが言った。


「こういうCMを見たら面白半分にかけてみようと思うやつもいるだろう。だがな、命をオモチャにするようなマネはロックじゃねぇ。本当に必要なやつがかけられるように、余計なことはするなよ。誰にも言えないって悩んでるなら、『今すぐコールしろ』、な」


 再びマイクを持った華咲が言った。


「私たちの行動が少しでも誰かの生きる力になれば、そう願って止みません。それでは最後の曲をお送りします。コロナ禍、この曲に元気をもらった方も多いのではないでしょうか。今回はロックバージョンでお送りしたいと思います。聞いてください『上を向いて歩こう』」


  

 こうしてSECRETの舞台は終わった。この曲に対する反応は賛否両論あり、誹謗中傷も多くあったが、『こころの電話相談』への通話数は大幅にアップした。またこの動画で繰り返される『今すぐコールしろ』というフレーズとポーズはSNSで拡散され、その年の流行語大賞にもノミネートされることになる。


 その後のメテオシャワーフェスは盛り上がりを見せ、特にMOON HALLでのHUN:SOCKのパフォーマンスは観衆の度肝を抜いた。激しいラップと奇抜な出で立ちに、インディーズ離れしたパフォーマンスと大きな話題になった。


 EARTH HALLでもBenzaiが圧巻のパフォーマンスでチャット欄を沸かせた。弁財秀人は最後に、

「それじゃあ、みんな、次はリアルなMeteor(メテオ) Shower(シャワー) Fes.(フェス)で会おう。合言葉でシメようぜ! We are members of Meteor shower.  みんなで流星群になろうぜっ!! ありがとう!」

読んでいただきありがとうございました。

物語はここからMeteor Shower Fes.開催に向けて動き出します。


それではまた二週間後にお会いしましょう。

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― 新着の感想 ―
電話相談をすすめるCMを流すと、それに面白半分で電話するような輩がでてきてしまいますよね、きっと……。 それに対してリュウヤさんが「命をオモチャにするようなマネはロックじゃねぇ」とクギを刺したところ、…
[一言] 一人の力だけでは食い止められなくなってしまう大きな渦、もし自分がそれを起こしてしまったとしたら、悔やんでも悔やみきれないと思います。 こうやって著名なアーティストが語りかけることで救われる命…
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