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流星群になろうぜっ!  作者: まりんあくあ


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26 星は歌う6

今回から少し重めの展開となります。


 EARTH HALLの舞台で新たなセットが組まれている間に、スクリーンにはSUN HALLの司会席が映し出されていた。同時刻、MOON HALLでも同じことが起きている。メテオシャワーフェス上で大掛かりなパフォーマンスが始まろうとしていた。


 Riser☆sの四人がにこやかな笑顔で手を振っている。透夜が口火を切った。


「改めまして、メテオシャワーフェスをご覧の皆様、SUN HALL司会のRiser ☆s香月かつき 透夜です。どの会場も盛り上がってきましたね! さて、ここからしばらくの時間は三会場同じSECRETのプログラムとなっています。演奏はEARTH HALLのものを残り二会場には中継してお届けします。このプログラムの司会はRiser☆sが務めさせていただきます。篤志、このSECRETが全会場同時中継なのはなぜか知ってる?」


「はい。実は今回のメテオシャワーフェスは三年以上前から僕達Riser☆sとRYU−SAYが発起人になっているもう一つのMeteor Shower Fes.のプレフェスという位置づけで開催されています。本来のフェスは観客を目の前にして開催したいという僕達の思いから、今回無観客での開催を別枠開催という形にさせていただきました」

「それで? 翼」


「はい、そのため僕達Riser☆sもRYU−SAYも、今回のフェスでは盛り上げる裏方に徹しようと決めました。そこで僕達Riser☆sはここSUN HALLの司会を務めさせていただいています。そしてRYU−SAYはEARTH HALLでバックバンドとしてサポートをしてくれています。ね、悠人」


 濃い紫の髪の悠人は俯いていた顔を上げると、落ちてきていた前髪をそっとかき上げて言った。


「はい、そしてボーカルのリュウヤさんはこのSECRETのパフォーマンスに参加されます。SECRETのパフォーマンスはSUN HALL、MOON HALLにも中継される一大イベントとなっています。後は透夜、よろしく」


 人前で話すのが苦手な悠人は急いで透夜にマイクを回した。後を引き継いだ透夜は笑みを浮かべながら悠人に頷いて見せると言った。


「さて、EARTH HALLの方の準備も整ったようです。それではSECRETのパフォーマンスをお願いしたいと思います。まずは、この方がステージに帰って来ました! 華咲 鮎美さん、曲は」

「「Revolution」」


 鮎美は真っ白なロングドレスに身を包み、ステージ中央に立った。ブランクを感じさせない力強い歌声が響いていく。身体の動きに合わせて銀の光沢がキラキラと光る。見る者の目を惹きつける圧巻のパフォーマンスにチャット欄が湧く。


 高らかに歌い上げた鮎美は、語りかけた。


「メテオシャワーフェスをご観覧中の皆様、ご視聴いただきありがとうございます。華咲鮎美です。最初にコロナウイルスの感染により亡くなった方々に慎んで哀悼の意を捧げます」


 そう言うとゆっくりと目を閉じる。しばらく祈りを捧げてから続ける。


「また後遺症に苦しんでいる方、未だ感染中の方。そしてご家族が今まさに感染し看病されている方。そんな方々がこのフェスをご覧になり、少しでも生きる力を得ていただけたならとても嬉しく思います。皆様の願いに少しでも力を与えられたならこれ以上の喜びはありません。そして、」


 華咲がゆっくりと手を挙げると、ケイが次の曲のメロディーを静かに弾き出す。


「先日私は哀しい出来事を知りました。一人の女子生徒が自らの命を断ちました。彼女は好きなロックバンドのコンサートに行ったことが原因でクラスにいられなくなりました。誰もが心置きなく参加できる時であったならこのようなことは起こらなかったかもしれません。ようやく開かれたコンサートは、彼女のいるグループのメンバーが好きな別のアイドルグループのコンサートの日と重なっていました」


 華咲は静かに語り続ける。


「彼女は悩みました。そのアイドルグループのことも嫌いではなかったからです。悩んだ末に、大好きなバンドのコンサートに行くことを選びました。グループのメンバーは快く送り出してくれたそうです。けれども彼女が学校に行った時、彼女の居場所はなくなっていました。楽しかったライブに彼女もいたらもっと楽しめたのに。そんなちょっとしたすれ違いが、気付いた時には大きないじめという問題にまで発展してしまいました」


 鮎美は見えない観客に語りかけ続ける。


「彼女のいたグループのメンバーが気付いた時には、もう取り返しのつかない大きな流れへと変わってしまった後でした。その頃にはもう彼女は登校しなくなっていました。そうして、彼女は命を終える選択をしてしまいました」


 ケイは黙って『翼をください』のメロディーを弾き続けている。鮎美はまた語り始めた。

 華咲鮎美の語りが次回も続きます。いよいよコラボ曲が登場します。


 いいね、感想お待ちしています。


 それではまた二週間後にお会いしましょう。

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― 新着の感想 ―
このフェスがたくさんの人たちの心に寄り添うものであることを感じて、私もコロナ禍で大変な思いをされた方々のことを考えながら読みました……。
[一言] ∀・)もうね……まりんあくあさんの書かれる華崎鮎美さんがカッコよくて美しくて。応援しております。歌手になろうフェスを続けてくれて本当にありがとう☆☆☆彡
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