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流星群になろうぜっ!  作者: まりんあくあ


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22/49

21 星は歌う 2

 ライブの興奮冷めやらぬ中、そのグループのメンバーはファミレスでライブの感想を言い合っていた。それぞれの推しについて、曲について盛り上がっていたところ、リーダー格の少女が言った。


「あの子も楽しんでるかな。まさかRYU-SAYのファンとは思わなかったよ。壱星推しっていうのもそういうことだったんだね」

「意外だよねー。彼女大人しいもん」

「だよねー」

「ライブ重なってたんじゃしょうがないよね」


 それぞれが口にしていると、華崎の娘がポツリと零した。


「あんな嘘つきだとは思わなかったね」


 その言葉を皮切りに話題が彼女の悪口へと変わっていった。やがてリーダー格の少女が切り出した。

 

「ね、じゃあちょっとハブってみる? 謝ってきたら許したげよーよ」

「あ、いいね」

「そうしよう!」

「ごめんね、て言ってきたら次は一緒に行こうよって言ったげよーよ」



「最初は軽い気持ちで始めたそうだ。だが、無視された当人がどう声をかければいいのか分からず戸惑っているうちに、それがエスカレートしていったらしい。何も言ってこないならそれでいいとSNSのグループから外され、それを知った他の男子生徒が悪乗りしてクラスのグループラインからも彼女を外したらしい。華崎の娘も彼女が登校しなくなってさすがにマズいとは思ったらしいが、自分から手を伸ばすことはしなかったそうだ」

「そう言うのって学校から指導するもんじゃねーの?」


 セイジの疑問に他のメンバーも頷く。


「俺もそこまで詳しく聞いたわけじゃねーが、母親からの連絡で一応指導はしたらしい。ただクラスのグループSNSは学校がやってるわけじゃねーらしくてな。どちらのグループにも復帰はしたらしいがメッセージが既読になることはなかったそうだ」


 再び重い空気が支配する中、ケイが口を開いた。


「あたしらのファンにそんなことがあったってのは、辛いね。だけどそれと華崎鮎美からの話がどう繋がるんだい?」

「華崎の娘は、発端を作ったのが自分の発言だということへの自責の念もあって精神的にもかなり追い詰められたらしい。今は華崎が引き取って治療とカウンセリングを受けさせているようだ。心の電話相談って知ってるか?」

「聞いたことはある、かな」

「子どもが学校から案内をもらってきてたのは見たことがあるよ」


 マルとケイが答えるとリュウヤは続けた。


「華崎の娘はその電話相談に救われたらしい。『彼女も電話していたら救われたのかな』そう零しているのを聞いて思いついたそうだ。彼女が好きだった俺たちと壱星、そして鮎美が歌うことで追悼とメッセージを送りたい、と。歌詞の原案はもらってある。ここに壱星からのメッセージを加えて曲にしてほしいそうだ」

「で、それをメテオシャワーフェスでお披露目したいってことね」

「リュウさんがそれを受け取ったってことはうちらの舞台はこれってことだね。ちょうどいいじゃん。あたしらもそんな話聞いたら断れないよ」

「んじゃ、俺はそれと壱星くんからのメッセージをMIXして仕上げりゃいいんだね。なる早でやるよー」

「そういうことで皆よろしく頼む」



 こうしてRYU-SAYのメテオシャワーフェスへの参加は決まった。RYU-SAYとしての参加はこのコラボ曲1曲となり、他数曲を華崎のバックバンドとして演奏する方向でまとまっていった。また壱星はこの曲のためにEARTH HALLで参加することとなり、残りのRiser☆sのメンバーがSUN HALLで司会役をすることになる。



 その夜遅く、ようやく祐介から連絡があった。


「リュウさん、本っ当にすいませんでした!」


 祐介の説明は華崎から聞かされた話と大差は無かった。やはりコロナ禍での延期続きが費用面でも圧迫しており、前倒し開催もやむを得ない状況になったようだ。本開催とは一線を画すため、ロゴは使用せずメテオシャワーフェスというカタカナ表記にし、前夜祭のような位置づけで開催するということだった。本来ならばリュウヤと壱星に先に報告したかったのだが、華崎が見切り発車的に先にマスコミに情報を流したらしい。それ自体は華崎のやりそうなことではある。祐介は華崎からの提案自体は知らなかったようで、前夜祭とはいえフェスの一環ではあるのでなんとか出演はしてもらいたいと言ってきた。


「それについては華崎からの提案に乗ることにした。壱星も巻き込んでな」

「ええ? それはどういうことです?」


 詳しくは華崎に聞け、と祐介からの電話を切り、ささやかな意趣返しをしてやるリュウヤだった。




 数日後、壱星から送られてきた原案と華崎の書いた歌詞を元に、セイジが歌詞を書き上げた。今までのRYU-SAYの曲調とは全く違う歌詞を前に、悪戦苦闘の末に出来上がった曲こそ、その後YouTubeだけでなく多くのメディアで使われることになる名曲となる。


『CALL No.(ナンバー)114(ワンワンフォー)』の誕生であった。




いでっち51号様からのバトンを引き継ぎました。こちらの歌詞を知りたい方は、いでっち51号様が同タイトルでアップしてくれています。

後ほど本作でも公開します。

先読みしたい方はこちらからどうぞ

CALL No.114


https://ncode.syosetu.com/n4340ij/


それではまた二週間後にお会いしましょう。

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― 新着の感想 ―
軽い気持ちの悪口がイジメへと発展していって、とめることもできず……亡くなってしまった子も華崎さんの娘さんも……辛いですね(;´・ω・)
[良い点] ∀・)いやぁ……鳥肌がたちました。正直なおはなしを言えば拙作のほうの「CALL No.114」のくだりは整理がつかないところがあってグダグダになってたところがあったのですけど、本作はしっ…
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