表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
流星群になろうぜっ!  作者: まりんあくあ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/49

20 星は歌う 1

華崎の話とは?

今回少し重めです。

 リュウヤは華崎鮎美が語った内容をメンバーに話した。それは、ある高校で起こった出来事だった。


 ── 高校二年生の女子生徒、RYU-SAYファンのその生徒の属するグループはクラスでも派手な生徒達がいることで目立っているグループだった。彼女自身は大人しいタイプであったが、人当たりが良くグループの誰とも仲良く過ごしていたという。


 そのグループの中心となっていた生徒がRiser☆sのファンで、ライブ再開を待ち望んでいた。コロナの蔓延が落ち着き人数制限はあるもののライブが再開されるようになり、彼女達の近くのコンサートホールでも行われることになった。


「皆で一緒にライブに行こうよ!」


 久しぶりの大きなイベントにグループ全員が沸き立つ中、その女子生徒一人が戸惑っていた。彼女はグループの皆に推しは壱星だと伝えていた。アイドルグループにほとんど興味は無かったが、壱星がRYU-SAYのファンであることから親近感を持っていたからだ。皆に混じってRiser☆sの曲を聞くうちに、彼女もそれなりには好きになっていた。


 だが、そのライブのある日は折り悪くRYU-SAYのファン感謝イベントが東京で開かれる日と重なっていた。 結成三十周年記念のそのイベントは、コロナ明け初の野外ライブだった。彼女はコロナ禍の間に貯めたお小遣いでそのライブに参加するため、ようやく両親を説得しホテルも取ったところだった。


 悩んだ彼女は思い切ってグループの皆にそのことを告白した。すると彼女達は快く送り出してくれたのだった。


 ところが彼女がイベントを満喫し、意気揚々と登校した日、クラスの雰囲気が一変していた。その日から彼女は孤立した。グループからは無視され、そのグループの影響力に日和見したクラスメイト達からもあからさまに避けられるようになったのだ。


 しばらくして彼女は学校を休むようになった。そして一ヶ月ほど経ったある日、自宅近くのマンションから飛び降りた。彼女の自宅には遺書が残されており、両親への感謝と謝罪の言葉とともに、グループのメンバーに当てて「隠していてごめんない」という詫びの言葉が添えてあったそうだ。


 彼女の机の上にはRYU-SAYのディスクと並んでRiser☆sのディスクも残されていたという。 ──


 話を聞いたメンバーは重苦しい空気に包まれていた。やがて二児の母でもあるケイが大きなため息を吐いて言った。


「やり切れないね……親としてはたまんないよ。で、そのグループに華崎の娘もいたってことかい?」

「彼女、娘いたんだ」

「でも、そこって東京とはえらく離れてるよな?」

「確か彼女の出身地がその辺りだったんじゃないか?」


ケイに続けてシン、セイジ、マルも思い思いの言葉を口にした。


「鮎美はシングルマザーだそうだ。子どもが小さい頃から実家の母親に面倒を見てもらっていたらしい。鮎美自身は休みには帰省して娘と過ごしていたらしいが……」


 リュウヤは鮎美の言葉を思い出していた。


「あの子は私が愛した人の娘よ。結婚することはなかったけれど、彼も娘の誕生を心待ちにしてくれていたわ。生まれてしばらくは実家で暮らしていたのだけれど、思いがけずV−bexを継ぐことになって。私はまた表舞台に立つことになったわ。娘には普通に暮らして欲しかったから、マスコミに追われないためにも母親に面倒をみてもらうことにしたの。仕事の休みの時には帰省して一緒に過ごして……でも、だから娘をつい甘やかして育ててしまったわ。普段寂しい想いをしているだろうからと、娘が欲しいと言ったものは直ぐに買い与えてしまって。母親にも注意はされていたんだけれど、ついね」

「そりゃあ、かなりの我儘になったんじゃねーか?」

「どうかしら。私からすれば可愛い娘よ。今でも買い物には一緒に行くし。私が帰ると笑顔で迎えてくれて……喧嘩なんてしたこともなかったわ、最近までね」

「……いろいろ思うことはあるが、お前に言う筋合いじゃねーな。で、最近喧嘩したってのは?」

「それがね、原因はLAST BULLETSなの」


 LAST BULLETSは元V−bexに所属していたロックアーティストだ。ボーカルとギターのユニットで、二人のルックスと技術力の高さにファン層は厚い。最近独立して独自で活動を始めたばかりだった。


「娘は彼らの熱狂的なファンなの。デビュー当初から注目していて、近くで彼らが活動する時にはチケットを準備してやったりもしていたわ。けれども独立したらそういうことは出来ないでしょう? 彼らが独立したのが今年の初め、娘が一年生の終わりごろね。春休みに帰省した時に初めて怒鳴られたわ。『どうして追い出したの!?』って」


 そう言って華崎は苦笑していた。その後二年に進級した華崎の娘は、グループのリーダーと仲良くなり、リーダーに合わせてRiser☆sのファンの振りをしていたらしい。自分よりも大人しく、普段はにこにことして話を合わせていた彼女がRYU-SAYファンであることを告白し、ライブに行くことを告げたことで心に大きな棘が刺さってしまった。その場では快く送り出すフリをした華先の娘の心中は穏やかではなかったらしい。


 事の始まりはRiser☆sのライブ後にファミレスでグループが話したことがきっかけだった。

いでっち51号様の「歌う蟲ケラ」よりも重めのストーリー展開となっています。次回も重めの展開となります。華崎の娘が事件にどう関わり、その後は? それと華崎の依頼との関わりは?


お読みいただきありがとうございます。ぜひいいね、ブクマお願いします! 感想もお待ちしています


それではまた二週間後にお会いしましょう


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
うーーーーん、これは辛い(;´・ω・) 誰のファンかというのが仲間意識に繋がってしまっていたのかな……。
[一言] ゆったりペースですがここまで読みました。 LAST BULLETSを出演させて頂きありがとうございます(*´ω`*) それ以外にも企画参加作品から続々とゲストが出てきてとても豪華ですね(`・…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ