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⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーン

今はちょい熱が冷めてますが、めちゃくちゃTCGにハマってた時に勢いで描いたやつです。

気軽に読んでっさい。

『テレビでも動画サイトでも大人気!KPKカード皆買ってねー買わないと痛めつけちゃうぞうふふ!!』

 人気のアイドルを使ったにしては個性的すぎるCM。KPKは俺、黒沼詩音がゲーム研に入っていた時に作ったゲームだ。


 製作者としてはこのカードゲームでCMが作られお店では開店時長蛇の列が出来、高い性能のカードはネットオークションやフリマアプリで高値で売れている現状に満足している。ただ…


「お兄が『俺が作ったものだ!』って起源主張してれば今頃上司にヘコヘコ頭を下げることもなく大金持ちになってたのにね。勿体ない。」


「確かになーあああああしんど仕事辞めてー!」


 俺はいまサークル活動で熱を出していた創作活動からは程遠い厳しい仕事をしている。そして実家暮らしの俺はよく妹にその事をつつかれるのだ。


 正直に言えばサークルの皆で作ったゲームで俺だけのアイデアではない。ただいまはKPKの大本の権利は同サークルメンバーの白竹という女が持っている。


 サークルの中でも白竹は目立った存在ではなかったが、俺達4年が大学を卒業しサークルを抜ける時に賭けをふっかけてきたのが始まりだった。


 その賭けで使われたのはゲーム研の作った携帯ゲームソフトMonster land略して『モンラン』だ。モンスターを捕まえ育てサークルの仲間同士で対戦することを目的で作ったものだが、大人気ゲームのプログラミングを真似しただけのオリジナリティの欠けたものではあったがはじめて一緒に作り上げたゲームだったしサークルメンバーの中でもお気に入りのゲームのひとつだった。


 大学の時使っていたリュックからその携帯ゲームを取り出し、データを見ると変わらず当時使っていたモンスター達がいた。


「おお!意外とピクセルアートも書き込んでいたんだ。気に入ってたモンスターはどこだっけな。」

「何やってんの?」

「あったあったネコメイド!!」

 妹が俺の丸まった背中が気になり後ろから覗いてきた。


「ちょっと!」

 無視したことに憤慨したのか耳元で大きな声をあげてきた。


「うるせえな…KPKと同じで俺らが作ったゲームをみてただけ。」

「へーこれもよく出来てそうじゃん!少し貸してよ」

 妹は小さな頃から俺の作ったしょぼいボードゲームとかも楽しそうに遊んでいた。その顔が嬉しくてゲームクリエイターを元々目指していたんだ。その目指していた夢は今や手の届かないところに行ってしまったけど、今でも喜んで遊んでくれる人が1人でもいるのは嬉しいものだ。


「そのゲームお前にやるよ。」

「え、いいの?」

「俺はもうずっと前にクリアしたし」

「やったー!家出る前までにクリアしちゃお」


 俺の妹は東京に出て女優を目指すそうだ。夢物語だとは思うが行動力には尊敬をしている。俺のクリエイターという夢にはロジックが無かった。専門学校に通うこともなければ何かしらの賞に出したことさえ無い。

 どれだけ丈夫な籠を作ってもそれを入れるために木の実を詰めなければ宝の持ち腐れ。誰にも知られぬまま使われぬままホコリを被り忘れ去られるのだ。俺はゲームクリエイターとしてはホコリを被るどころか壊れて外に持ち出すことは許されない。未練とゴミが積んであるあの家で一生後悔するのだろう。


「まもなく大通り行きの電車が参ります。黄色い線の内側まで下がってお待ちください」

駅内にアナウンスが流れる。この駅のホームは都心に向かう上り方面と郊外に向かう下り方面の2つがある。今日は休日だからか上り方面に人が多く並んでおり、俺の後ろにも長蛇の列が出来ていた。


「キ、キキキ黄色いセンンンン!!ノッウチガワワワワワワワワワワ…」

 アナウンスの様子がおかしい。スピーカーや録音機器の故障かと思ったがそういう感じでもない。録音だったらカットするであろう息継ぎの音やその他の不要なノイズが多すぎる。


「おおおおおお気持ちが悪いですね!これはつーつーぶにあげたらバズりますよ!!」

「あんたね、そういう何でもかんでも動画と結びつけるのやめなさいよ」


 隣の列では女子高生が談笑していたがいまはこの気味の悪い音声で再生数アップを狙うツインテールの女性とそれを制止しようとする眼鏡をかけ肩まで髪を伸ばした気の強そうな女性がいた。


 こんな音なんてどうでもいい。とりあえず電車、来てくれ。遅刻の連絡を入れるのも面倒なんだ。


 トンネルの奥から照らされるライトの明かりが見えた。やっと来たか

「黒沼詩音VS海善寺梨々香 バトルフィールドに移動をよろしくお願い致します。」


「なっ…!?」

「きゃ!」

 ドンッ!と背中を何者かに押される。物凄い勢いで走る電車に俺ともう1人、列の先頭にいた気の強そうな眼鏡をかけた女性が線路に倒れる。


『1ターン目梨々香様から始めます。バトル開始までつかの間の休息をごゆるりとお楽しみくださ…』


 駅から普通聞こえるはずのない個人名付きのアナウンスは最後まで聞こえることはなく、無慈悲に走り去る電車によって二人の命を攫っていった。

次話からカードバトルをすると思います(さぎじゃねえか!?)

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