部屋狩り最高
やはりエンチャント+歌踊りがある状態で、タンカーがしっかり誘導し、ワニとケイトの物理アタッカーとアリア、リカの魔法アタッカーがいるお陰で殲滅するのがとても早い。
ラウラがMP管理を一生懸命行ってくれているのもデカい。
今は部屋中で2家族同時処か、4家族を随時セラが引いてくる状態だ。前の露営PTを思い出す。休む暇がないんだよな。それもセラとディムのコンビの連携が素晴らしいお陰だ。
1家族のラスト親を倒す時には、うまくセラからディムにヘイトを移し、ラスト親を倒してる間にセラが次の家族を引いてくるので、待機時間が全く出ない。
メイジ系の皆もリンク処理をうまく行ってくれ、常にタンカーと魔物が1対1の状態にしてくれている。この目まぐるしい中、素晴らしい処理能力だ。
ワニのアシストも的確で、次に行動阻害魔法が切れる魔物をしっかりと狙ってくれる。1家族位なら他アタッカーの人でも大丈夫かも知れないが、流石に常時狩り続けているこの状況で、ここ迄上手くアシスト出来る人は中々いないだろう。
日頃の行いなのか、この世界に来てからずっと人に恵まれているなぁ。もし転生チートが人徳のスキルとかだったら納得出来そうだ。
ゲームの時は中の人が見えないからか、悪人プレイをしてる人もいたが、この世界でPTに入ってる時にそんな事をしたら、次回以降PTに入れない場合も出てくるだろう。
この塔だけでも沢山の人がいるのでばれないかもだが、悪い印象は良い印象よりも残りやすい。あいつを入れるとPTの空気が悪くなるとか、手癖の悪い奴だとか噂をされたら堪らない。
俺みたいに、良い人ぶっているのが安パイだと思う。
外から他の野良PTを見ているとエンチャントの件もそうだが、動きがゲームよりダメな気がする。が、実際は野良PTを組んでいるのに指示をする人が居ないせいだな。
固定PTなら指示が無くても慣れで何とかなるが、3人PTが3PTくっついて出来た野良PT。それが2PT集まって狩りをしているのが他の野良PTの現状だ。
其処で指示役が居ないのでは、わちゃわちゃしても仕方が無い。せめて1PTずつのリーダーと全体のリーダーを決めておかないと無理なはずだ。
それでも何とかとは言え狩りが続けられているぐらいだから、個々の能力は高いんだろうな。リーダーをしっかり決めるというのもエンチャントの分担に加えて大事だと、野良で来た人に伝えていこう。
体感ではもう夜遅くになってるので、セラへ一声かける。多分一番疲れていると思うが、エンチャントが終わる度にすぐ部屋中へ突っ込んでしまう。
体力があるのは分かるが、精神的に良く平気だなぁ。ゲームの時は寝落ちする人もいたが、流石にリアルでそんな人はいない。
ただ当たり前だが、人間疲れればミスをする。小さなミスでも不安や不満が募り、PTが回らなくなる。休憩は大事だ。
ホールに戻って泊りの準備をしながら、今日の事を皆で話す。
「あんな風に1PTで4家族相手に狩れるものなのだな」
「確かにビックリした。声をかける迄はリチャージだけで良いと最初に言われていたが、今日の狩りで私はヒールを一度もしていない」
ケイトとラウラがそんな話しをすると、ディムがすぐ反応した。
「ね!凄いよね!攻撃を受けてもヒールがないから最初は少し不安もあったけど、それは自然回復で賄える位のダメージの時だったの。自然回復出来ない量のダメージを受けた時と、1家族引こうとすると必ずヒールがきたの!私一言も声をかけてないのに、何であんな良いタイミングでヒールをくれたの?」
「前衛職と違って俺は後ろで見ているだけだからね。全体を何となく見て、何となくヒールしてるだけだよ」
「でも、スリープとかもしてくれていたの見てたよ!頼りになるね、ハガネさんは♪」
「ハガネさんは、ヒーラーの高みにいますからっ!」
何故か最後はハクが答える。まだまだ高みには程遠いぞ。最近になって漸くヒーラーをやる様になったばかりだ。攻撃に参加出来ず、正直少し寂しい。
「セラとディムのコンビも阿吽の呼吸だったぞ。初対面とは思えない位良い動きだった。今日の狩りが楽だと感じたなら、それは2人のお陰が大きいと思う」
「確かにディムは上手く私に合わせてくれていたな。戦っていて気持ちがよかったぞ!」
「ハガネさん達は固定PTだって言っていたから、そちらに合わせるのが良いかなぁと思って」
そうは言っても、それが即席PTで出来る人は凄いと思う。ディム、ケイト、ラウラの3人は別に固定PTではなく、今日の野良PTで一緒になっただけだって言ってたから、数日狩りしてお互い問題なければ、勧誘してみようかな・・・。
とりあえず今日はもう寝て、明日は朝から狩ろう。3人も数日は付き合ってくれるそうなので、上手くいけば5日間このPTで部屋内狩りを続ける事が出来るかもしれない。
やはりPT狩りは楽しい。PKPTが来ない限り、このPTで壊滅する事はなさそうだが、明日も無事に終われるよう、十分気を付けてやろう。




