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まだまだ修行が足りてません

「ハガネさん、大丈夫ですか!」



 暖かい光に包まれながら、ハクの声で目が覚める。いつの間にか気絶していた様だ。背中から腹へ貫通したような痛みだった。

 いや・・・今現在痛みはハクのヒールで引いてるが、大丈夫じゃない。

 気持ち的に、完全に死んだ様な気分になったぞ。ワニも結構容赦ない・・・。楽しめたから良かったけど。



「ありがとう、ハク。何とか生きてるよ」


「もう・・・何をしてるんですか!せめて私を呼んで、シールドをかけてヒールもさせて下さい!」


「いやね・・・ここ迄やられるとは思ってなくて油断したよ。今後は確実に頼む事にする」



 焚きつけたセラが、気まずそうに遠くから見てるな・・・別に倒れたのは俺のせいだから気にしなくて良いのに。

 そう伝えようとしたが、その前にハクからセラへお小言が始まった。



「聞きましたよ、セラさん。ちょっとこちらへ・・・。今回の模擬戦はセラさんの希望で行ったそうですね。今後戦う上で必要な事なのかも知れませんが、安全には十分な配慮をしてからにして下さい!!」


「うっ・・・すまない。十分気を付ける様にする」


「それに模擬戦をするのに、何で私に声をかけないんですか。私だって見たいですし、安全の為にもですね・・・」



 ハクのお小言が長くなりそうなので、そっと意識から外す。

 セラのテンションがだだ下がりだ。ハクには俺もセラも敵わないな。



「それにしてもUAを使ってる状態で、顔に一撃入れられて驚きました。多分20数年ぶりに喰らいましたよ。凄い気迫と避け切れないタイミングでした。とてもヒーラーの動きとは思えません」


「そりゃどうも」



 そんなスキルを俺相手に使った事に喜ぶべきか、文句を言うべきか・・・ワニからお褒めの言葉は貰えたが、何にせよもっと精進しないと。

 技術をもっと磨けば、たとえステータスで劣っていたとしても、もっと戦えるはずだ。ワニは良い目標になる。

 セラにもっと色々見せてあげたいし、いずれまた再戦を申し込むとしよう。



 しかし実際UAを使われてから、最後以外かすりもしなくなったんだが。どうやって勝てばいいのやら・・・。

 回避されないように攻撃するにも限度がある。連撃を放ち、魔法を放ち、ダメージ覚悟で踏み込んで攻撃しても、かするだけとか絶望しかないんだが。

 結局杖を取り出して攻撃する余裕なんてなかったし、何か新しい武器か攻撃方法を模索するべきか。

 

 PKもかなり強かったし、ヒーラーだから攻撃力はありません。では話にならない。

 人間相手なら急所攻撃等使えば何とかなると思っていたが、ワニの様な回避力が高いPKが来ないとも限らない。

 その時にハク達を守れない事が無い様に、何か手を打たねば。


 ん~・・・そんなに簡単な事ではないよなぁ。本人に聞いてみよう。



「なぁワニ。20数年前にUA中に攻撃喰らった事があるんだよね?その相手ってどんな人なんだ?」



 あの状態のワニへ攻撃を当てるとは、是非参考に聞いてみたい。



「え~っとですね・・・お恥ずかしながら、相手は私の父親です。こういった近接格闘や短剣術、弓術等は全て父から習いました。因みにUA使用中にボコボコにされましたよ」



 笑いながら言ってるが、どれだけ父親強いんだよ!

 聞けば500歳を超えており、100歳頃からずっと武に携わっていた人らしい。何で領主が戦うんだか。

 趣味で武術を行ってるらしいが・・・ワニの婚約者にも会ってみたいが、その前に父親と一度手合わせさせてもらいたいな。


 そんなお願いをしようとしたら、セラへのお小言が終わったハクがこちらへゆっくり歩いてくる。

 下を向いてるから表情は見えないが・・・なんかヤバいオーラ出てません?



「ワニさん・・・聞いたところによると、最後に背後からハガネさんを刺したと聞きましたが・・・どういう事でしょうか」



 怖い怖い。ハクの目つきが悪い。ワニに襲い掛かりそうな雰囲気だな。



「いえ、ハガネさんが強すぎてですね。スキルも使わないとまずいと思いまして。ここ迄強いヒーラーには初めて会いましたよ。心も強いし、素晴らしいPTリーダーです!」


「え、やっぱりそんなに強いんですね!?流石ハガネさんですね!そうですよ、頼りになるリーダーですから!」


 

 おぉ、ハクがあっという間に笑顔になったな・・・。俺の事を褒められて、一瞬で上機嫌になってる。

 流石上手く躱すね。年の功ってやつか。やるな、ワニ。セラには今みたいな対応は難しいだろうなぁ。

 兎も角、無事にこの場を終われそうかな。



「もうっ!そういう話じゃないでしょ。ハガネさん、後でハクさんと私からお説教ですからね」


「はい・・・」



 ダメだった。アリアが見逃してくれなかった。頼りになるお姉さんは誤魔化せない。

 調子に乗らない様に気を付けよう。



「さ・・・さぁ。新しいメンバーも増えた事だし、狩りへ行こうか!!」



 無理やり明るく大声を出し、この場を避難する事にした。誤魔化せてる訳では無さそうだが、アリアが苦笑いしながら頷いた。

 全員のレベル上げと、スキルUPしなきゃね。早くもっと先にも進みたいし、俺も含めて強くならねば。

 決意を新たに、皆で狩りへ向かう事にした。



 このPTメンバーが誰一人かける事無く、新天地を目指していくぞ!

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