お金がない
まずは防具屋に来てみた。RPG的に考えると、武器が強ければダメージを受けずに魔物を倒せる。だから防具は後回しでも良いという考え方もある。だがこの世界はターン制のバトルではないのだ。不意打ちを喰らう事もあるし、攻撃を受ければ痛い。出来れば痛い思いはしたくないし、防具は大事。だからまずは防具を手に入れたい。早速ドアを開け店の中に入る。
いらっしゃいませ~、の元気な声はなく店員すら見当たらない。
不用心だなぁ。
全部持ってっちゃうよ?
ただ、ゲームの世界だと犯罪には厳しかったな。
下手をすれば警備兵に殺されて終わってしまう。
入口に居た村人Aもきっと強いはず。
一桁のレベルでは一撃死がザラだ。
警備兵を叩いて遊んでたやつもいたが、リアルでやる馬鹿はいないだろう。
どれどれ・・・お、ローブあった!
魔法使いと言えばやはりローブですよ。
防御力は紙みたいなもんだが、詠唱速度+の服が始まりの村にはあるはず。
何も知らなかった時は、丈夫な服を購入したが詠唱が遅く、魔物にボコボコにされたのはいい思い出。
剣で戦おうとしても、全然敵に当たらずすぐ死んだ記憶がある。
ゲームと違ってリアルなら、素手でも結構いけるみたいなので、ローブだけ今は買っていこう。
買う気満々で、値札を見た。
500ゴールド
値札を見ても高いのか安いかどうかわからん。
さっきのウサギから出た魔石は、どのぐらいで買取してくれるんだろ?
「すみませ~ん」
「はいはい、今行くよ」
店の奥から人の好さそうなおばちゃんが現れた。
「魔石を買取ってもらって、このローブを買いたいのですが」
「どの魔石だい?」
俺はウサギ魔石を差し出した。
「ウサギの魔石なら、一つ10ゴールドだよ」
「え・・・」
全く足りない。これ50個も集めないと初期装備も買えないの!?
バランス悪っ。
それまで素手+普通の服とか、厳しすぎるでしょ。
「すみません、また来ます」
現実の厳しさを知った。
また木陰に戻って、座り込んだ。
どうするかな。さっきの感じだと3~4回位は頭突き食らっても平気そうだけど、痛いんだよな・・・。
何でスタート時にお金持ってないのかね。
大体これ、水も買えなきゃ食べ物も何も買えないんですけど。
所持金0はおかしくない?嫌がらせレベルな気がする。
ゲームと違って、宿とかに泊まったりもするだろう。
大体説明なさすぎ。
転生って言うなら、まずは神様or女神様的な何かから、チートもらってスタートでしょ!
・・・愚痴ってもお金はふってこないので、一先ず狩りに行く事にした。
働かざるもの食うべからず。