プレイヤーキラー
残り2匹に向かおうとした所、残ってた子の1匹は既に倒し終わっていた。ラスト親1匹だけだな。
セラがラストの子を倒す前にしっかりヘイトを親へ入れていた様で、タゲが変わる事は無く親はタコ殴りであっさり片づける事が出来た。
レベルも皆上がり、全員24迄なれたな。後1レベル上げるまで、今日はここに籠ろう。
まだ魔物とのレベル差は5以上あるようなので、取得経験値がUPしてる状態みたいだし、一杯稼いでおかないとな。
その後はMP休憩を挟みつつ、危なげなく1家族事に処理をして気づけば夕方になっていた。
今日は帰って風呂に入りたいので、ラストに1家族狩って帰る事にした。
セラがタゲをとり、ハク、アリアが遠距離。俺が近距離で戦い狩り尽くす事が出来た。
残念ながらLv25にはなれなかったな。レベル上げに必要経験値多すぎるよな・・・。帰ろうとした所、近くで狩りをしていたPTから悲鳴が聞こえて来た。
嫌な予感がしつつ、隣の拠点を見ると盾役が死んでいた。安定して狩れてる様に見えていたが、この時間まで狩り続け疲労が溜まっていたせいかな。
小さなミスでいきなり死ぬ事はよくある事だ。
まだ魔物が5匹残ってる状態で、盾が死に必死にヒールしたのであろうヒーラーにタゲが飛び、あっさり死んでいた。
後残りは短剣アタッカー、ウィザード、二刀流か。ウィザード、短剣使いにタゲが跳ね、今度はその短剣使いが死に、続けてウィザードも死んでしまう。
二刀流が重装備なので、残った5匹を受けてはいるが・・・・ヒールも無しじゃダメだな。
人としてなら、ここで俺がBHをかけ、セラにヘイトしてもらう所だが、こちらもいきなり5匹が来るとPTが危うい。
非情だが、見捨てて帰ろうかと思ってたら、二刀流が逃げ出した。5匹のタゲを取ったまま。
気持ちは分かるが、こっち向かって走ってくるな。それは敵を押し付けるMPKだぞ。
直接殺したりではないが、魔物を人に押し付け他PTを倒し、遺品を拾い去ってい、忌み嫌われる行為だ。
ただ、今回は死にたくないからこちらに走って来てるだけだと思うが、それでこちらが全滅したら元も子もない。
しかし、残念ながら?こちらに辿り着く前に、二刀流はこと切れてしまう。魔物達も別PTを全滅させた為、ヘイトが0になり拠点へのんびりと帰って行った。
「助けられませんでしたね・・・私が早くヒールすれば良かったのですが」
「いや、いい判断だよ。偽善は大好きだが、それのせいで自分達のPTを全滅させてたのでは困るからね。それに人に押し付ける奴は助けないよ」
ハクは優しいなぁ。
基本的には良い人でいたいが、そのせいで仲間を殺したら目も当てられない。今後も同じ事があれば、俺は同じ判断をすると思う。
ただ、助けたい気持ちはあるので、自分がもっと強くなればいい事だ。どんな状況でも、楽に助けられるぐらいになればいいからな。
何とも言えない気持ちになりながら、帰路についた。
翌日、再度露営地へやってきた。今日居る別PTは1PTだけだな。6人PTで安定して狩れている様だ。レベルが俺達より高そうだし、今日は大丈夫だろ。
少し離れた拠点に行き、また狩りを始める。
昼頃迄特に問題なく狩れ、少しご飯休憩をしていた時だった。
「やめろ!!」
別PTの男が叫んでるのが聞こえる。そちらを見ると今まさに盾が倒れる所だった。
しかし近くにはそのPTメンバーしかおらず、魔物が見えない。どういうことだ。
戦闘準備を整え立ち上がり、盾が死んでしまったPTの様子を引き続き伺う。
メイジ系、多分ヒーラー、ウィザードが続けて倒れる。今の光は・・・ダブルショットか?何故味方の技をメイジ達が喰らってるんだ?
そんな事を考えていると、再度スキルの光がファイターに刺さって倒れて行く。
これは───PKか!!
まさかリアルでやる奴がいるとは。PKは同じ冒険者を狙い倒し、遺品回収やレベル上げをする者の事だ。
襲われると思って無い所とタイミングでやられるから、PKの勝率は高い。ただ、すぐお尋ね者になってしまい、高レベルに狩られて装備品を全て失うのが関の山なのだが・・・。
別PTが全滅し、遺品だらけになっている。しかし、まだPKの姿が見えない。こっちにも襲い掛かってくるな。
「ハク、アリア物陰に。ハクはエンチャを全員へかけ直し。アリアは姿が見えたらFBをすぐ撃ち込んでくれ。セラは2人の前で身構えてくれ」
正直勝ち目は薄い。PKは狩場にいる者達より、基本的には高レベルだ。1~2撃で倒せる奴を狙うのが基本だからな。
とは言え、ただ殺されるのを待つ訳にもいかない。
先程の襲撃を見る限りスカウト系の弓、短剣持ちだろう。接近出来れば・・・勝ち目も見えるのだが。
本当は拠点の中へ隠れたいが、魔物が沸いてきて対処してる間に襲われたら堪らない。
静かな時間が流れる・・・・・・もしかして、もう狩場を離れたか?
何とか街道迄出て、走って離れたいが後ろから撃たれるとやばい。ちょっと危険だが、おとりをしてみるか。
俺は物陰からゆっくり出て、辺りを見渡してみる。
いつでも動ける様に、少し腰を屈めて膝を曲げすり足で動く。これ、既にPKが居なかったらただの怪しい奴だな。
何処からも矢が飛んでこない。これは・・・助かったか?
その気が抜けた瞬間を狙われたのか、右手から風切音が聞こえてくる。
「ぐぅ・・・」
咄嗟に胸を手甲で庇い、急所への直撃をさける。しかし、脇腹に深く突き刺さってしまった。
「ハガネさん!!」
ハクの悲鳴の様な叫びが聞こえる。このままヒールをしたら、矢が残ってしまうので抜くしかない。ただ抜いてる最中に、追撃を受けるとまずいので、ひと先ずはこのままだ。
セラはこちらに駆け寄りたそうにしているが、後ろに2人がいる為我慢してくれている。1人で何とかしなくては。
少し高台になってる林の中で人影が動くのが見えた。あそこか!
俺はほぼ当てずっぽうだが、WSを放つ。けん制にでもなってくれれば御の字だ。
「どうした!俺はまだ死んでないぞ!」
手を広げて俺を狙う様にアピールする。このまま逃げられたら、今後ここで安心して狩りが出来ない。出来れば倒してしまいたい。
挑発の甲斐があったのか、再度風切音。真正面から飛んで来たので、今度は手甲で弾いてそらす。腹の傷に響く・・・。
大体の場所が特定出来た。
「アリア!合わせてくれ!」
今度は当たりを付け、再度WSを放つ。ちゃんと準備して待っていてくれたのだろう。アリアもすかさずFBを放つ。
俺の魔法と違い、アリアの魔法は威力も範囲も全然違う。多分PKにも当たってくれているだろう。だが、あれだけでは倒せない。
再度アリアと合わせ、崖際を狙う。狙い通り崖の一部が少し崩れると・・・PKが崩れた崖と共に落ちてきた。
エルフの男か。足も速いし厄介だな。ただ姿が見えているなら何とでもなる!
「セラ!!」
「おぉぉぉ!!!」
気合の叫びと共にPKに向かい猛ダッシュする。崖下へ追い詰める形で、俺もセラの後ろに隠れつつ接近する。
苦し紛れに矢を放ってきたが、セラは問題にせず走りながら盾で弾き落とす。
「さてと・・・ここで仕留めるぞ」
俺はセラへそう声をかけ、PKと対峙した。