効率が良すぎるPT
狩場へ向かいつつ、軽く打ち合わせをする。
打ち合わせも何も、盾のセラがFAして、ヘイト管理をしてるところに背後から俺が接近戦+WSで攻撃。ハクは遠距離からWSとヒール。位だが。
殲滅速度は確実に上がるし、ダメージも俺より受けるのは圧倒的に少ないから、MP休憩も少なく済むはずだ。
狩場の林へ到着し、早速セラがウェアウルフ3匹を見つけてヘイトをかける。
エルフの美少女に人型のオオカミが群がる絵面は、色々とまずい気もするが仕方ない。
最初の一匹が接敵すると、セラが早速シールドスタンを使う。少し後ろにオオカミが弾き飛ばされ、目を回してる。盾職固有のスキルで、盾で相手を殴りつけ気絶させる技だ。
その間に残り2匹がセラへ攻撃を仕掛けるが、体捌きと盾使いで上手く受け流しつつ避けてもいるな。
流石本職だ。俺のへっぽこ受けとは違うな。
セラがしっかり受けてくれてるので、何も気にせず攻撃が出来る。目を回してる奴は後回しにして、セラを攻撃してる奴を狙う。
背後から接近しつつ詠唱し、至近距離でWSを後頭部へ当てる。
後頭部に衝撃を受け前につんのめったところに、膝裏へ足刀を入れる。所謂膝カックンだな。
膝を地面につき頭の位置が低くなった所へ、逆足で側頭部へ一撃。こちらを狙って来ないから、いきなりの大技でも余裕で当たるな。
俺の廻し蹴りが当たると同時に、ハクからWSが飛んでくる。相変わらず良いタイミングで。
横倒れになった所へ顔面に鉄槌を入れる。
おぉ・・・ノーダメージで一匹倒せたな。これは良い!ガツガツいけそうだ!倒すまでがとても早い。
セラも攻撃を受けながらも、ちょいちょい攻撃してくれているのもデカいな。
それに、ハクもヒールをまだ使っていない。セラのダメージが少ないからだ。その分ハクも攻撃に回れる。
最初にシールドスタンを食らい目を回してた奴が復活し、再度セラへ襲いかかる。ただ、また1対2だからセラは余裕そうだ。
この感じだと4~5匹同時でもいけそうだ。次は少し増やしてやってみよう。
セラがまたシールドスタンを使い、復活した奴を再度動けなくする。
そちらを放置してもう1匹を倒し終わると同時に、セラが何処かへ行ってしまった。
ん、もしかして・・・。俺は特に呼び止めず、目を回してる奴をハクと二人で倒す。
そのタイミングで、セラが新手を3匹引き連れて戻ってきた。
良いね!ラス1になったら、残りは他のPTメンバーに任せ、新しい魔物を連れてくるのは俺も良くやっていた。
もう一人アタッカーか盾が居れば、その人が連れて来たりして、魔物を探す時間を省略するのだ。
セラはめちゃ当たりの盾様だな!!ただ・・・一言声かけは欲しかったが。もう信頼されているのかね。
そんな感じでほぼ休憩なく、夕方迄狩りを続けた。
結果25匹も倒せた。レベルも皆21になり言う事無しだ!経験値取得ボーナスもデカいのが十分わかった。
ただ盾職が増えただけではこうはならない。セラがPTに加わってくれたお陰だな。嬉しいから今日も夕飯御馳走しちゃお!
意気揚々と港村へ戻り酒場へ行く事にした。
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「セラは凄いな!ここまで安全かつ、効率良く狩りが出来るとは思ってなかったよ」
「そうなのか?私はPTを組んだ事がなかったからいまいち分からないが、敵を倒すのが早かったのはわかった。それにしても、やはりハガネの技術は凄いな!とてもヒーラーとは思えない。ハクのヒールをするタイミングも絶妙だった。体力が全回復しない程度のタイミングで、かけてくれていたろう」
「私はそれしか出来ませんので。セラさんが居てくれたから、安心してヒールと攻撃魔法が出来ました」
皆で褒めあう事になるとは。良いPTになれそうだ。
アリアに報告したら魔石の量が多いので、驚いていたからな。これならクエストの100匹はあっという間だろ。
そう言えば・・・少し気になった事を聞いてみよう。
「セラが倒しきる前に、次の魔物を連れて来てくれただろう。あれのお陰で効率良く狩れたよ、ありがとう。ただ、何も言わずに連れてきたのはビックリしたよ」
「え、だってハガネなら伝わるだろう?それに1匹残しなら、2人が居ればなんの問題もあるまい」
やはり信頼のなせる業か。情けない所を見せないよう、常に精進しないとね。
「まぁ確かに。俺の見立てだと、セラは5匹位なら平気じゃないか?」
「ウェアウルフだけなら平気だな。明日はそれでやろうか。ハガネの技術をもっと見たいからな。たまに手合わせする約束を忘れるなよ」
約束はしてないけど・・・その位の希望は叶えるか。セラの加入は素晴らしい事だからな。
「もちろんだよ。城下町へ行く段取りが出来たら、出発する前に一度手合わせしようか」
「応!」
とても良い笑顔を見れた。周りの人が振り返る程の美少女なのは間違いない。ただ、笑顔の理由がなぁ・・・。
明日に備えてそろそろ宿へ帰るか。明日は朝から夕方迄ガッツリ狩るぞ!!
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「セラさん、一度休憩しましょう!」
翌日狩場で、楽しそうにウェアウルフを引き連れてくるセラに対し、ハクがお願いをしている。
今日は、予定通り朝一から狩りを始めたのは良いが、セラが全く止まらない。
1~2匹を残したまま、次から次へと新しい魔物を連れてくる。
昨日話しをしていた様に、4~5匹の集団を常時連れてくるのだ。こちらとしては、連れてくるのだから倒すしかない。
今は1匹残して、また魔物を連れてこようと走り出したセラに対し声をかけたところだ。
俺は2人の話しを聞きながら、ラスト1匹を倒す。
「何故だ?まだMP休憩も必要ないだろ?ハクはヒールのタイミングが上手いからな」
「確かにMPは平気ですけど、もうお昼をきっと過ぎてますよ!朝から全然休んでないじゃないですか」
「心配無用だ。この程度で疲れる程やわではない」
それを聞いたハクがちょっと引いてるな。
「いや、俺が疲れたから少し休憩させてくれ。飯位は食べよう」
正直俺もセラ側で、休憩せず狩り続けたいが、ハクがかなり疲れてきているからな。
つまらないミスで、全滅など冗談ではない。この世界はやり直しがきかない。
「そうか・・・ハガネが疲れたりする事もあるのだな」
「そりゃあるよ・・・さ、休もう」
林から出て、少し離れた所で飯の準備をする事にした。