表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/200

1vs3は厳しい

「風魔法・・・クレリックか?何故この男・・・ハガネというのか。ハガネと私が楽しんでるのを邪魔するんだ」



 いえ、俺は楽しんでませんよ。



「何で助けられて、急に戦い出すんですか!止めて下さい。ハガネさんは優しいから女性に暴力を振るったりしませんから」



 いえ、相手が悪ければ男女平等ですよ。



「そうなのか?ふむ・・・だが、何故貴方が止めるのだ。貴方はハガネの何なのだ?」


「私は───私って・・・ハガネさんの何ですか?」



 ここで俺に話を振らないで欲しい。



「ハクは大切なPTメンバーだよ」


「・・・それ以外だと?」


 納得のいかない顔で、もう一度訊ねてくる。

 え、何でエルフ騎士は居るし、周りはギャラリーだらけなのに今聞いてくるの?

 証人つくって、言質を取るつもりですか?俺は少し気持ちを落ち着かせて再度答えた。



「PTメンバーじゃなくても、大切な人だよ」


「こんなところで・・・恥ずかしいです・・・」



 顔を赤らめてそう言うが、ハクが言えって言ったんだからね!

 野次馬どもがやいのやいの声をかけてくる。うるさい。



「ふむ、では契りを交わしてる仲なのだな。それなら私の楽しみを止める権利もあるか」


「ちっ、ちぎり!交わしてないと止められないなら、今からから交わします!」



 テンパってとんでも無い事言ってるぞ。嬉しいが今この場でそんな話はしたくないな。



「ハク、落ち着いて。なんにせよ、ここまでにしましょう。話があるようでしたら、良ければ一緒に食事でも如何ですか」


「おぉ、私とも契るのか?経験が無いのだが、大丈夫だろうか?」


「そんな話はしてませんよ。ご飯食べましょう」



 こんなに美少女なのに・・・頭の中が残念なのか。天は2物を与えずだな。

 

 

 ふと、受付の方からも視線を感じてる事に気が付きそちらを見る。あれは・・・。



「アリアさん、申し訳ないのですが男の人達をお願いしても宜しいでしょうか」


「私は食事に誘わないんですね・・・処理の件は畏まりました。貴方たち、外に出してきて」



 アリアさんは事務の男達に指示すると、テキパキと処理をする。慣れているところを見ると、良くある事なんだろうな。



「助けて頂き、ありがとうございます。お忙しいとは思いますが、良ければご一緒しませんか?手伝って頂いたお礼に」



 誘っていいなら、アリアさんも誘ってみよう。



「暇です。とても暇なのでご一緒します」



 今、仕事中じゃ・・・ちょうどタイミング良く終わりなんだと思っておこう。


 

 野次馬をかき分けて、酒場の席へ向かう。

 席へついてメンツを見渡すと、なんとなく食事へ誘った事を後悔した。胃が痛くなりそうな気がする。



「皆様お騒がせしてすみません。お礼とお詫びにお好きなものを1杯、召し上がって下さい」



 場の雰囲気でそう言ってしまったが、今回俺何も悪くないな。エルフ騎士が奢ってもいいんだぞ。



「そうか、悪いな。貴方の心遣いに感謝する。そういえば、まだ名乗ってなかったな。私はセラだ。

エルフ国の騎士を目指しながら冒険者をしており、職業はエルブンナイトだ。先程の素手の戦いは祖父が好きでな。幼い頃に色々聞いてとても興味を持ち、最近練習をしているのだ。実践ではまだ使い物にならないが・・・先程見せてもらったハガネの技術は素晴らしかった!是非もっと見せて欲しいし、私の相手をして欲しい。これからも、宜しく頼むぞ。今PTには所属してないから、一緒になるのは問題ない」



 物凄い勝手にPTメンバーが増えたな。一言も話してないのに、もはや参加が決定してる雰囲気をセラさんは出している。

 実際、盾職は今絶賛募集中だ。出来ればOKしたいが、ハクに何も聞かずに入れる訳にはいかない。



「セラさん、申し出は・・・」


「セラでいい」


「・・・セラ。申し出は嬉しいのですが、まずはハクに相談してからお答えしますよ」


「私には魅力がないのか?確かにハクは守りたくなる可愛さがあるが、私も容姿には少し自信があるのだが・・・私とは一緒に居たくないのか?」


 悲しそうな目でそんな事を言ってくる。

 俺はハクをちらりと見たが・・・うん、お怒りですね。とても不満そうな顔をしてらっしゃる。



「ハガネさん、先程の件の話を後程するというのは、無くなってませんからね」


「何をしたのですか、ハガネさんは」



 アリアさんに呆れた目で見られてしまった。ハクの笑顔が怖い。



「セラさんがPTに入ってくれる事に関しては、私は賛成ですよ。今までずっとハガネさんが、私の事を危険から守ってくれましたが、魔物が強くなってきましたし、大体ローブで魔物の攻撃を受けてるところを見るのは、心臓に悪いです」



 おぉ?随分あっさり了承したな。てっきりずっと2人で居たいとか言うと思ったんだが・・・自惚れてたかな。

 そんな事を考えていたら、顔を近づけて小さな声でハクが囁いた。



「本当は。ずっと2人っきりが良いですからね」



 う・・・これは破壊力抜群だ。ハクのこういうところにぐっとくる。思わず見惚れてしまった。



「ハガネさん、最初にお会いした時にも言いましたが、見つめあわないでもらっていいですか」



 ため息交じりのアリアさんに呆れられてしまった。でも今のは仕方がないと思う。



「それでは明日にでもPT登録されますか?セラさんを加えて3人PTになりますし」


「はい、明日の昼間に登録へ参りますね」


「私はそれでいいぞ。ハクも良い奴みたいだし、私に風魔法を撃ち込んでくるぐらいハガネが好きみたいだからな。時間が出来た時に、ハガネが手合わせしてくれればそれで良い」


「あぅ・・・」



 ハクが俯いてしまった・・・フォローに回ると炎上しそうだからスルーしよう。


 後はゆっくり飲んで話して、明日の昼に3人でPT登録にこよう。

 今日は少ししか狩りしてないとはいえ、ペア狩りでもレベルが上がらなかったからな。PT経験値ボーナスが是非とも欲しい。

 それにセラが居てくれれば、安定した狩りになるだろう。ちょっとワクワクしてきたな。



 とりあえず・・・この場を乗り切って宿へ戻ろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ