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狼はやっぱり嫌いだ

 一度休憩し、狩り方を話してからは安定するようになった。今はゴブリンだけなら、5匹纏めてでも問題がない。

 このペースなら経験値とゴールドが1人の時に比べて1/2になるとはいえ、時間効率がとても良い。これでこそペア狩り!!


 最初はコミュニケーションもとれてないので、かなり不安ではあったが、いざ流れに乗ればこの娘は素晴らしい。

 

 性格的なものだとは思うが、周りが見えなくなりやすくマルチタスクには向かないが、定点狩りのみに集中する分にはどんどん動きが良くなっていく。女性相手だと誉め言葉に聞こえないが、猪突猛進や一点集中などの単語が似合う娘だな。

 内向的な性格が良い方向に働いていればかなり強い。



「ヒール!」



 今も欲しいタイミングでヒールが飛んでくる。最初はヒールのタイミングを口頭でお願いしていたが、今となっては何も言う必要がない。

ヘイトを奪わず、魔法攻撃と回復魔法を使ってくれるので、ペア狩りの相手としては最高かも?



「まさかこんなに短時間で、神の祝福が受けれるなんて。この間ヒール覚えたばかりなんですよ!」

「ハクさんが素晴らしい動きでフォローしてくれているからですよ。初めてのペア狩りでここまで上手くいくと思ってませんでした」

「そんな事ありませんよ・・・ハガネさんが全部の魔物を集めてくれるから、今までずっとあった恐怖心がないんです。それに魔法使用のタイミングとその理由も全部教えてくれたから、動けるんです。こんなに狩りが楽しいと思ったのは初めてです!」



 そろそろ日が落ちてきたので村へ向かい出した時に、ハクがテンション高めで話しかけてきた。昨日から考えると人が変わったようだ。

 多分本来はこういう人なのだろう。人見知りな性格と、今まで組んだPTで疎まれたりして積極的に会話が出来なかったんだと思う。

 色々な事を抱え込み、考え込んでいるから独白の様な形でしか吐き出せなかったのかな。



「そういえば、私の事は呼び捨てで大丈夫ですよ。なんてったってペア狩りの仲間ですし!それに呼び捨てされるのに、憧れてて・・・」

「分かりました。それでは、ハク。これからも宜しくお願いしますね」

「・・・ハイ」



 自分で言って照れないで!こっちも恥ずかしくなるから。思い返してみると、今までも多分声が小さくなるような時は、恥ずかしかった時とかか。そう考えると昨日の反応も頷けるな。やっぱり可愛いなぁ。なんかイジメたくなるな。



「やっぱりハクは可愛いですね。こんなに可憐な方と、二人で狩りが出来るのは幸せです。是非この後、またお食事もご一緒しませんか?」

「・・・・・・ハイ」



 嫌われてないとわかれば、ガンガン攻めていこう!照れてる顔が、とても良いからな!

 急に楽しくなってきたぞ。やっぱり異世界は最高だ!!




 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




 さて、あれから2週間程経ち、稼ぎが大分安定してきた。今まで以上に連携が取れるようになったので、これなら狼もいけるだろう。

 レベルは今、二人とも14迄上がっている。上がり方がかなり遅くなってきたが、後1つ上がれば、攻撃力向上の補助魔法が覚えられる。

 そうしたら初ダンジョンに挑戦する予定だ。


 今更だがスタート地点のここは、離れ小島だ。その中に教会、始まりの村、狩場の草原や森、ダンジョンがある。

 ゲームと同じであれば本土があり、そちらはとても広大な土地だ。今のレベルで行ったら即死すると思うが。

 何故か細かい所を含め、ゲームよりも断然厳しい。装備品も普通に壊れるから、買い直してると全然お金が堪らず、新装備の購入が出来ない。


 きっと本土に渡ると、今まで以上に大変だと思う。ゲームの時でさえ辛かった覚えがあるからだ。

 まずはこの島でLv20に上げ、転職を目指そう。Dグレ(Lv20~の装備)購入は本土に渡ってすぐ出来るように、ここで貯めてから向かう事にした。


 体感的には、今日でLv15迄行けそうなので、ラストの森を楽しみますか!

 ちょっと冒険しちゃお!



 やっぱり調子に乗ったらダメだな・・・。

 狼2匹から始まり、狼2匹→狼6匹+ゴブリン4匹になっている。ハクは遠目に見てもテンパっている。

 狼めっ!仲間毎回呼びすぎだろ!

 でも、今までと違い俺にも仲間がいるから、返り討ちにしてやるからな!



「ハク!このぐらいなら俺は受けれる。気にせずいつも通りやれ!」

「はい!」



 流石に余裕は無いので、口調が荒くなってしまった。後で謝ろう。


 既に魔物に囲まれている状況だ。魔法を撃ちこみ、飛び込んでくる敵だけ迎撃する。

 深追いはしない。深追いすれば、すぐに1~2匹は倒せるが、その後俺が死ぬ。俺が死ねばハクも死ぬ。

 間違ってもヘイトをハクに奪われない様注意しているが、今の所連携には問題ない。今日までの成果だな。


 ハクにはヒールを最低限してもらい、ヘイトを稼ぐ為にも隙を見てセルフでヒールする。

 ただ、そろそろMPが怪しくなってきた。動き出さないとまずい。ちまちま攻撃して、狼3とゴブリン2匹は倒せたが・・・。

 賭けに出るとしよう。



「俺が声をかけるまで、絶対ヒールするな!死にそうになってもだ!」

「え・・・わかりました!」



 魔法にはディレイ(再使用迄の時間)があるし、詠唱中に攻撃を受けると止まってしまう場合がある。

 乱戦中にセルフヒールするのは難しいので、ハクからヒールをもらう事になる。

 今まで通りすぐに倒せていれば良いが、戦闘が長引くとハクにタゲが移ってしまう。それならば・・・。



「ヒール!・・・ヒール!ウィンドストライク!!」



 残りのMPを使い切り、ヘイトを出来る限り俺に向けた。



「おぉぉぉぉぉ!!!」



 叫んで注目を集めつつ、正面に突っ込む。突っ込んだ先の魔物は怯んでくれたが、その分後から襲い掛かってくる。

 流石に360度の攻撃を捌ける程、達人の域には達していない。

 後頭部や頸椎に重たい攻撃を受けないよう、常に上半身を動かしつつ、敵を倒していく。

 それでも徐々にHPが低下していくのがわかる。このペースでは倒しきれないな。



「ハク!攻撃魔法!」



 手近な敵を指し、叫ぶとすぐに魔法が飛んでくる。準備して、待っててくれたのだろう。流石だ。


 右手側に隙間が出来たので、囲いの外に出る事が出来た。

 そのまま目の前の魔物を壁にして、追加で襲い掛かろうとしてくる魔物の攻撃を防ぐ。



「ハク!」



 すぐさま、まごついていた魔物に魔法が命中する。良いね!

 このギリギリを乗り越えるのが、何より楽しい!!

 

 ハクの素晴らしフォローもあり、何とか全滅させる事が出来た・・・が、流石にきつかったな。



「ハガネさん!大丈夫ですか!」



 ハクが心配そうに駆け寄って来てくれた。人に心配されるのは、少し恥ずかしい。

 問題ない事を伝え魔石を回収し、村へ帰る事にした。

 レベルもキッチリ上がり、二人とも神の祝福を受ける事が出来た。


 これでいよいよダンジョンに挑めるな!

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