トカゲって凄いよね
村はずれに着いた時には、既に日が落ちていた。
今俺は、村はずれで草むらに装備を隠して初期装備になっている。籠手はくっついてた右腕を捨てて、回収してきている。
これから試す事を考えるととても恐ろしいが、このまま片腕と言うわけにもいかない。何事も試してみなければ。
レベルダウンしてヒールが使えなくなる事のない様、片腕のまま村に帰って来るまで狩りをして経験値も稼いだ。
初期装備の俺は顔に布を被り、一見しても誰だかわからないようにしている。意味が分からないだろうが、実際その状態なのだ。
これで準備は万端だ
草むらからコソコソと警備兵の様子を伺う。辺りには誰も居ない。絶好のタイミングだ。
射程距離ギリギリの位置まで近づき、おもむろに左手を警備兵に向け呼吸を整える。
さてと・・・
「ウィンドストライク!!」
俺の放った魔法が警備兵へ直撃する。この距離でも外さないとは、我ながら成長したもんだ。
言っておくが、腕が無くなったショックで頭がおかしくなった訳ではない。腕を生やしたいからだ。
え?発言が頭おかしい?まぁ知らない奴はそう思っても無理はないだろう。警備兵がとても強い事は以前話した通りだ。そんな奴に攻撃するとは、何を考えてるんだと思うよね。
後やる事といえば、うずくまって顔を見られないようにする位だから簡単なもんだよ。
足音が近づいてくる。色々と大丈夫・・・だよな?
グサッ!っと棒で背中から胸を貫かれた。嘘でしょ・・・殴打されるかと思いきや、棒で串刺しとかどんだけ強いんだよ、この警備兵は。
痛い思いをずっとするわけではないから、殴られるよりはマシかな。
「何者だ!!」
誰何したいなら、殺す前にお願いしますよ・・・。
口と胸から血が流れ、徐々に意識が遠くなっていく。もはや声も出ないので答える事は出来ない。
正体がばれるとどうなるか分からないから、答えないけどね。
結果が分かってるとはいえ、死ぬのが嫌な事には変わりないな。
あ・・・もうダメそう。そこで意識が途切れた。
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「ハガネ・・・無茶ばかりしてはいけませんよ」
目が覚めると、考えてた通り俺は教会にいた。
生き返ると教会なのは経験済みだから、きっと平気だと思ったからやったのだが、考え通りになりほっとする。
でも、復活の魔法が現状確認出来てないのに、なんで神父様は何も思わないのだろうか。世界の意思とかそういうのがあり、ゲームとの帳尻合わせでもしてるのかな?
「えぇ・・・今後は気をつけて参ります」
神父様へそう伝えると、教会の外へ出た。
早速確認すると・・・バッチリだ!ちゃんと右腕が生えている!なんで生えるのか分からないけど、大丈夫だろうと確信はしていた。
デスペナは困るが、装備を予め拾われ辛い様な所に置き、レベルダウンしないようにすれば被害は最小限だ。
死ぬのは物凄く苦しかったので、積極的に行いたい行為ではないが、片手が無いよりあった方がいい。
なんて考えてる場合じゃない。早く装備を回収しなきゃ!
生き返ったばかりだというのに、全力疾走で装備を隠した村はずれに向かった。
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無事装備を回収し、宿屋件酒場へ向かう。やっぱり両手が使えるのは良いね!
嬉しいから、ちょっと今日は贅沢しちゃおうかな!そこまでお金持ってないけど・・・。
酒場へ入り、エールと串焼き肉(なんの肉か分からない)を頼んだ。
注文を待つ間に今後の事を考える。
今回は森で死ぬ前に助けが入ったので、装備を失わずに済んだが普通なら完全アウトだ。
レベルが下がり、装備を1つ以上なくし、また狩りをしなければならない。
その場合、いずれは心が折れてしまう。
別に急ぎの旅でも、世界最高レベルを目指してるわけではない。なので、時間さえ使えば現状復旧はこのレベル帯なら可能だ。
ただ、俺はそんな事は望んでいない。順調に成長し、PTを組み、可愛い娘とイチャイチャしたいのだ。
そんな不埒な事を考えていたら、悪魔にでも願いが伝わったのか相席を申し出てくる女性が来た。
「すみません、こちら宜しいですか?」
「はい、どうぞおかけ下さい」
顔も見ずに即答した。声が可愛いから、どんな人でもOKだ!
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