女性メイジと初会話☆
「すみません・・・危ない所を助けて頂き、ありがとうございます」
まずはお礼を伝えねば。実際死ぬ所だったし。片腕になってるのはお見苦しいので、隠しておこう。
視線が露骨になり過ぎないように、遠くからこちらへ歩いて来ているので、全体を見させて頂く。
ん、俺と同じメイジだな。ローブ装備でファイター系はまだ見たことないし、さっき魔法使ってたしな。そんな職業とかは今はどうでも良い!
黒髪に黒目、背は150位。胸は・・・控えめ。中肉小背というのかな。ローブがワンピースタイプで短い。長い靴下?をはいており、そのおかげで絶対領域が生まれている!素晴らしい。
今まで生死の境を彷徨っていたとは思えない程、意識が女性にいってしまう。だって、滅茶苦茶可愛いもの!
そもそもキャラクターは皆美形だったから、実際目の前に現れると正に目を奪われるな。
でも、普通こういう時は襲われてる女性を俺が颯爽と助けて、惚れられるもんじゃないのかな。
なんで俺が助けられてるんだか。
「いえ、森の付近を移動していたら、大きな声が聞こえたので。こんな所に人がいるのかな?とは思ったんですが、何度も魔物の声といっしょに人の声が聞こえてきたので、気になって確認しにきました。そうしたら・・・血まみれの人間がゴブリンに押し倒されてて驚きましたよ!慌ててヒールしちゃいました。そういえばまだ完全回復してませんよね?もう1度かけますね。『ヒール』ふぅ・・・どうです?元気になりました?まだ3回位は出来ますよ!覚えたばかりで、沢山使いたいので気にしないで下さい!でも、この森に一人で入るのは怖かったですよ~。入るとしても、最低でも4人PT~推奨ですから。仲間の方達は・・・1人だったという事はそういう事ですよね。悲しい事かもしれませんが、魔物との戦いに常に死の危険があるのは、皆さん納得の上なので落ち込み過ぎないで下さいね。私、お墓作るの手伝いますよ!あ、でも狼もいたから全部持ってかれてるかな・・・ごめんなさい、無神経な事を言ってしまって・・・」
ひと声かけたら、返事長っ!テンションの上がり下がりも激しいし。ちょっと病んでる娘なのかな。ゲームの時はそういう娘多かったけど別にそれはリアルで再現しなくて良いんだけど。出来ればただ可愛いだけの娘と出会っていきたい。
でも、助けてもらって文句を言うわけにもいかないからな。大人の対応を心がけよう。
「いえいえ。お気遣い頂きありがとうございます。ですが私は仲間が居ないので、お気になさらず。実はここでずっとソロ狩りをしていまして。ゴブリン2匹迄ならソロでも平気だったのです。Lv10になり、そろそろ狼狩りを試そうと1匹に攻撃をしたら仲間を呼ばれ、狼6匹+途中からゴブリン2匹が増えまして、流石に辛かったです。貴方が来てくれて、本当に助かりました」
「えっ!?貴方も私と同じメイジ・・・ですよね?杖は無いし、変な籠手とか爪とか装備してますけど、ローブを着ているんだからメイジのはずですよね・・・。メイジがソロをする事自体少ないですし、ヒールを覚えるようなレベルならPT狩り1択ですよ!普通は。あ・・・友達がいないのかな。可哀想です。私が友達になってあげないと!あれ・・・でも私が来た時にはゴブリン1匹だけでしたけど、他の魔物は何処ですか?はっ!もしかして、すぐ近くにいて狙われてますかね!大変っ、お話してる場合じゃないです!早く森の外へ逃げましょう!さぁ!」
いきなり左手を掴まれ引っ張られる。この娘は話が長いというより、考えてる事が駄々洩れなのか。付き合う事になったら、苦労しそうだなぁ。
地味に失礼な事も思われてるみたいだし。ボッチを憐れんだらダメだよ!
それにそっちもボッチじゃないか。偶々かもだが。
そっと握られてる手を引き、ゆっくりと離してもらう。もったいないが、仕方がない。
「先ほどの1匹が最後の奴なので、そう警戒されなくて大丈夫ですよ。綺麗な上に、お優しいのですね」
その言葉を伝えた途端に、顔を真っ赤にして俯いてしまった。純情か!
「いえ・・・そんなことはないです・・・」
声ちっさ!褒められ慣れてないのかな。まぁ全員が美男美女だもんな、この世界の人達は。容姿を褒められる事がないのかもしれん。
俺から見たらパラダイスだよ!イケメンは別にいらないが。
しかしHPが全開になっても手が生えてはこないな。これどうしよう。爪を肘先につけて、籠手を2の腕につけるかな。
いやダメだ。バランス悪いし、リーチも短くなってしまう。あの方法を試すか・・・。
その為にも片腕がばれないうちに別れよう。この状況が終わるのは惜しいが、腕優先だ。
「一度村へ戻ります。またお会い出来る日を楽しみにしております」
「はい・・・お気を付けて・・・」
いつまで照れてるんだか。とても可愛いから良いけど!
照れていると話が短くなるのね。
村で会えたら、今度はゆっくりと話をしてみよう。2人で森の外へ出てそのまま別れた。
あ、名前聞くの忘れた。
ハクの画像をのせました。