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オルフェンとの死闘 その5

 セラが地面へ叩きつけられ、胞子を巻き上げる。オルフェンが追撃を入れようと足を持ち上げた。



「ディムフォローだ!GBH(グレーターバトルヒール)



 俺は即座にディムへ頼み、セラへヒールを飛ばす。防御姿勢も無く直撃を受けている為、下手したら即死していてもおかしくない。ただ、根拠は無いがセラなら生きていると信じて、ヒールをかける。

 ヒールをかけつつ駆け寄り、ディムのフォローに回る。足を振り上げたオルフェンに対して、俺がWSを放ち、ディムが上げた足を斬りつけバランスを崩し、セラへ振り下ろされる事は無かった。

 セラの元へたどり着き、生死の確認をする。



「ミラ、リース、ジャンヌ、ディムのフォローを頼む!アタッカーはスキルを使用せず、引き続き攻撃を!」

 


 セラの頭を抱えて呼吸の確認をすると、僅かだか息がある。良かった・・・。念の為、抱えたままもう一度グレーターヒールをかける。

 だが、意識を失ってしまったみたいだ。多少の時間ならディム達で耐えられるとは思うが、やはりセラが居ないとタゲが飛んでしまう為、アタッカーが全力攻撃出来ず討伐に余計な時間がかかってしまう。

 時間がかかれば、それだけ死者が出る危険性が増える事になる。何とかセラに復帰してもらわなければ。とは言え、ひっぱたいて起こす訳にもいかんよな。


 俺は高級ポーションを口に含み、セラの頭を支える。顔を近づけ、セラの口内へ高級ポーションを少しずつ入れる。意識が無いのにいっぺんに入れて、気管に入ったら危ない。

 少しずつセラが飲み込んでくれた。良かった。全てを飲み込んでもらい、口を離す。



「うわっ!!」



 いつの間に目の前に・・・。ちょっとビックリしたぞ。ハクが顔を上げた俺の、目と鼻の先に居た。



「・・・・・・ずるいです」



 え?あ~・・・そうか。いや、でも違うぞ。俺は戦闘中だと言うのに、少し混乱してしまった。別に悪い事はしていないが、何故か冷や汗が流れる。



「どうしたハク?今はセラを起こそうとしてるだけだぞ」



 俺は発言の理由に気が付かないフリをして、真面目ぶって返答する事にした。恥ずかしがりやのハクなら、これ以上突っ込んでは来ないだろう。



「・・・・・・後で私もお願いします!」



 そう言うとハクは離れていった。え~・・・いつの間にそんな積極的に。そう言われて悪い気はしないが、なんか恥ずかしいな。

 ダメだ、こんな事を考えてる場合じゃない。



「セラ、セラ、起きてくれ」



 俺は改めてセラへ声をかけ、起きてくれるのを願った。その甲斐あってかセラの目が開く。



「今・・・ハガネは私の唇を奪ったのか」



 何で気絶してるに分かってるのかと、何故その表現をするのかと問い詰めたい・・・。



「すまない、緊急事態だったから。他意はない」


「やっぱりか!!好意があるからしたんだな!」


「いや、他意は・・・」


「私が初じゃないのか!メイン盾のご褒美か!オルフェン討伐やって良かった!」



 ダメだ、全然聞いてくれない・・・。さっき死にかけたばかりなのに、テンションが高いな。嫌がられるより、喜んでくれたのだから良しとするか。



「良し!!後は私に任せろ!」



 そういうとオルフェンの元へ凄い勢いで走っていった。あ、オルフェンからタゲ取ったな。ディム達が、セラのテンションの高さに若干引いてる気がする。

 何はともあれ、メイン盾が復活した。後はオルフェンを仕留めるだけだ。最後まで気を抜かずに行くぞ。



「皆、お待たせしました!全力で攻撃を再開して下さい!」



 俺の掛け声と共に、アタッカー達がスキルを使い出す。ディム達は一度下がり休憩だ。後もう少し・・・もう少しで敵を討てる。

 俺の個人的とも言える復讐に、数多くの人を巻き込み死者を出してしまった。せめて確実に成功させないとダメだ。死んでいった人に顔向けが出来ない。

 


 現状セラの安定感もあり、このまま討伐出来そうだ。先ほどの不快な叫びはスキルだろうな。頻繁に使ってこないところを考えると、再使用迄それなりにディレイがあるのだろう。

 連発されたら接近戦をしてる人は堪らないから、こちらにとっては都合のいい事だ。また使われてしまう前に倒してしまいたい。

 今は楽園の管理者と戦乙女が休憩し、アタッカーPT達が攻撃中だ。もう一度入れ替わる頃には、この戦いも終わりだな。



 その時オルフェンの動きが止まった。止まってから身を縮こまらせ、攻撃を受けるだけになっている。いよいよか。長かったな。

 アタッカーPT達もそれを見て、攻撃が激しくなる。今までの苦労が報われる時が来たのだ。やる気にもなるってもんだな。

 1分程その状態で全力攻撃を受けていたオルフェンが発光しだす。オルフェンも普通の魔物と一緒で、光となって消えるのか。ちゃんとドロップアイテムが出ると良いが。


 しかし、発光が収まらず、むしろ光がどんどん強くなっていく。あれ、これ死ぬ間際じゃなくて───不味い!



「全員伏せろ!!!」



 止めを刺す直前と思って、全力攻撃をしているアタッカー達の反応が遅れる。大半は何を言ってるんだ?といった顔をしているが、俺と直接の絡みがあるクリスさんとか、リリミアさんは速攻で伏せていた。

 楽園の管理者と戦乙女も離れた場所で即座に伏せている。俺に対してどれだけ信頼してくれていたかが・・・生死を分けてしまった。

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